厚生労働省労働局長登録教習機関
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林業作業は、作業場が山中ということもあり、どこから危険が来るのか分かりにくいといえます。
作業する場所が頻繁に変わりますし、天候の影響も受けるので、毎日のように 作業環境や条件も異なります。
そのため作業場から危険を取り除くのではなく、危険があるを前提として、作業者自身がいかに安全を確保するのかということが大切になりそうです。
安全対策は、現場ごとに異なります。周りの状況を見、周りの作業者の配置などを確認しながらの作業でないと、自分も周りの人も危険に巻き込んでしまうのです。
安衛則では、林業作業中の安全確保について、規定されています。
【安衛則】
修羅とは、大きな岩や木材を運ぶ、ソリのことです。
木を切ったままでは、運ぶのが困難ですが、ソリに乗せると摩擦を低下させられるので、比較的小さな力で運べるようになるのです。
この技術は古くからあり、古墳時代にはあったようです。確か古代エジプトでピラミッドを作る際、巨石を運ぶのにも使われていたはずです。
ちなみに、なぜ修羅というのでしょうか。
一説によると、大石(おおいし)は読み方を変えると、「たいしゃく」とも呼べます。この読み方を、仏教で「帝釈天」に引っ掛け、その帝釈天に闘いを仕掛け、動かすものである「阿修羅」になぞらえたからだそうです。
帝釈天(大石)を動かす阿修羅で、ソリのことを修羅と呼ぶようになったのだそうです。
修羅は、木材を上に載せ、滑って移動させるものです。比較的小さな力で運搬できる装置とはいえ、非常に重いことには違いありません。
斜面で勢いよく滑り落ちると、制御不能になります。制御不能になった場合のことも考えた上で、使わなければなりません。
修羅に木材を載せて滑走させている間は、進行方向に作業者を入らせてはいけません。
また途中で停止させ、木材を扱わせる時は、滑走させている作業者に合図し、確実に停止してから、行わせます。
途中で扱うというのは、ロープを縛り直したり、進行方向を修正する、障害物を取り除くなどがあります。
かなりの重量があるため、一度動き出すと、簡単に停止することはできません。斜度のきついところでは、勢いがつきすぎ、進行方向に人が横切ろうものなら、急に止めることは不可能です。
車と同じように、進行方向に入るのは、危険極まりないのです。
(悪天候時の作業禁止) 第483条 事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、造林等の作業の実施について危険が 予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。 |
山の天気は変わりやすく、雨が降ったら仕事になりません。
濡れた斜面は足元が覚束なくなり、伐倒した木も滑りやすくなります。またチェーンソーなどの電動機械による感電の危険が出てきます。
建設業よりも、天気に左右される仕事といえます。
少々の雨などであれば、作業もできますが、荒れた天気になると山に入ることさえも危険になります。
強風、大雨、大雪などの悪天候のときは、作業してはいけません。
作業中も、天候が荒れてきそうなら、切り上げることも重要です。
(保護帽の着用) 第484条 事業者は、造林等の作業を行なうときは、物体の飛来又は落下による労働者の危険を防止するため、 当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない。 2 前項の作業に従事する労働者は、同項の保護帽を着用しなければならない。 |
山中での作業は、周囲に危険があります。
斜面の上から木が滑ってくる危険もあれば、頭上から何か落ちてくる危険もあります。
山中などで作業を行う時は、飛来・落下からの危険から頭を守るために、保護帽を着用させなければなりません。
木の枝などが降ってくるだけでなく、木や枝が密集しているところをかい潜って現場に向かうことも少なくないので、頭の保護は重要なのです。
林業は、どうしても設備などで安全を確保するのではなく、安全意識や心がけにより危険を回避しなければなりません。少しの油断で大事故という可能性もあります。
そのため、作業者一人一人が、安全に作業を行なう必要があるのです。
まとめ。
【安衛則】
第482条 修羅による集材又は運材の作業を行なうときは、滑路に立ち入らせないなどの措置をしなければなりません。 |
第483条 強風、大雨、大雪等の悪天候が予想されてるときは、作業させてはなりません。 |
第484条 造林等の作業を行なうときは、物体の飛来又は落下の危険を防ぐため、保護帽を着用させなければなりません。 |