厚生労働省労働局長登録教習機関
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クレーン作業は、物を吊る作業です。吊るためにはワイヤーやナイロンスリングなどの吊具が必要になります。
それらの吊具で物をくくったり、縛ったりすることを玉掛けといいます。
玉掛けは、数ある資格作業の中でも基本となるものといえます。
クレーン作業だけでなく、土木、建築といった作業でも必要になります。先日、「鳶 上空数百メートルを駆ける職人のひみつ」という本を紹介したのですが、とびの職人が最初に取得する資格も玉掛けの資格だそうです。
重いものを持ち上げる作業は、あらゆる作業で必要になるのです。
何より玉掛けはクレーン作業では欠かせません。
そのためクレーン関係の法律をまとめたクレーン則でも、玉掛けについての条文がまとめられています。
【クレーン則】
第8章 玉掛け
第1節 玉掛用具 (玉掛け用ワイヤロープの安全係数) 2 前項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を、当該ワイヤロープに |
玉掛けは重量のある物を、ワイヤーロープなどでくくり、吊り上げます。
そのため玉掛けでもっとも重要なものは、ワイヤーロープといえます。
ワイヤーロープが貧弱だと、吊っている最中にちぎれ、物が落下します。機械で吊るような重量物が落下するということは、危険極まりないことは分かりますよね。
ワイヤーロープは何より丈夫でなければなりません。
ワイヤーロープの丈夫さは、安全係数というもので確認します。安全係数とは、ワイヤーロープの切断荷重の値を、ワイヤーロープにかかる荷重の最大の値で除した(割った)値です。
安全係数の値は、使い続け、古くなると下がります。そのため古くなったワイヤーロープの強度には注意が必要です。
玉掛けで使用する吊具には、ワイヤーロープ以外もあります。ワイヤーロープ以外でよく使うものとして、チェーン・鎖があります。
太いチェーンであれば、重いものも吊ることができます。しかし重いものを、細いチェーンで吊ることはできません。もしそんなことをすると、吊り上げている途中で切れてしまいます。
つりチェーンを使う時は、一定の安全係数以上の物を使用しなければなりません。
つりチェーンの安全係数はワイヤーロープよりも複雑です。
つりチェーンの安全係数は一定の条件を満たした場合は4以上で、その条件を満たさない場合は5以上です。
一定の条件とは、
1.切断荷重の2分の1の荷重で引っ張った場合において、その伸びが0.5パーセント以下のものであること。
2.引張強さの値が400ニュートン毎平方ミリメートル以上であり、かつ、その伸びが上記の表の引張強さの値であること。
を満たすことです。
条件が色々あるので、チェーンの仕様や劣化状態を確認しなければなりません。
(玉掛け用フック等の安全係数) 第214条 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具であるフック又は シャックルの安全係数については、5以上でなければ使用してはならない。 2 前項の安全係数は、フック又はシャックルの切断荷重の値を、それぞれ |
玉掛けの用具には、ワイヤーロープやチェーン以外にもあります。
それはフックやシャックルといったワイヤーロープと物をつなぐものです。
これらはいわば物を固定する用具といえます。
フックやシャックルなどの用具の安全係数は、5以上でなければなりません。
ワイヤーロープと同じ安全係数ですね。
安全係数の値の出し方は、ワイヤーロープなどと同じです。
ワイヤーロープなどの吊具は、玉掛け作業を行う上で最も重要なものです。
何より丈夫でなければなりません。
やわな吊具を使用していたら、途中で切れて落下してしまいます。
用具の確認は十分に行わなければなりません。
まとめ。
【クレーン則】
第213条 玉掛用具であるワイヤロープの安全係数は、6以上でなければなりません。 |
第213条の2 玉掛用具であるつりチェーンの安全係数については、区分に応じ、必要な値以上でなければ使用してはなりません。 |
第214条 玉掛用具であるフック又はシャックルの安全係数については、5以上でなければ使用してはなりません。 |