崩壊・倒壊○事故事例アーカイブ

塀が倒れ男性死亡 いわきでブロック塀の近くで計測作業(福島県いわき市)

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工事現場では、墜落・転落事故や機械との接触事故は多いのですが、倒壊・崩壊事故もそれなりに発生しています。
建物の解体工事では、壁や天井を崩していくので、そもそも崩れた壁などの下敷きになる危険があります。

しかし危険はそういった解体作業だけではありません。

建築作業以外の土木作業でも起こるのです。
土木作業時に注意しなければならないのが、穴を掘った時に土砂崩れが起こることです。そしてもう1つ注意が必要なのは、穴を掘っている場所の近くの壁が崩れることです。

福島県いわき市で、工事作業中にブロック塀が倒れてきて、下敷きになるという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

塀が倒れ男性死亡 いわきでブロック塀の近くで計測作業 (平成28年2月15日)

15日午前10時50分ごろ、いわき市の工事現場で作業していた会社員が倒れてきたブロック塀の下敷きになった。被災者は全身を強く打って死亡した。

いわき中央署によると、被災者はブロック塀の近くで計測作業をしていた。

福島民友ニュース (記事リンク切れ)

この事故の型は「倒壊・崩壊」で、起因物は「ブロック塀」です。

この事故では、ブロック塀の近くで工事しており、被災者は計測作業を行っていたということ以上の状況はわかりません。
事前測量だったのか、それとも塀の近くで掘削などの作業をしていて、その最中だったのか。これらの状況によって、原因は大きく異なるでしょう。

同様のケースと照らし合わせてみると、ブロック塀の近くを掘っていて、崩れるということが多いです。
そういった事例もあることから、おそらく塀のすぐ側を掘っていた時に、崩れてきたのではないかと考えられます。

そのため、確かなことは分かりませんが、 この事故はブロック塀の近くを掘削していた時に起こったと考えて話を進めたいと思います。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

ブロック塀のすぐ近くで作業していた時に、塀が崩れた原因は2つ考えられます。

1つは穴を掘られたことにより、地中に埋まっていた部分が露出し、支えを失ってしまったこと。
もう1つは、作業時の振動により、き裂が広がるなどしたことです。
どちらも考えられそうです。

崩れやすい状態になっていたところに、運悪く人が近づき、巻き込まれてしまったのかもしれません。

ブロック塀などは見た目が丈夫そうに見えるのですが、支えをなくすと案外もろく崩れてしまいます。
今まで塀の両側からがっちりと押さえつけていたのに、片側の押さえがごっそり失くなったならば、バランスも崩れます。

崩壊した原因は、作業の進め方、作業時に塀をどのように支えるかという計画がなかったことが考えられるのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

ブロック塀の支え方の計画がなかったこと。
作業機械で、振動を与え崩れやすくしたこと。
崩壊する可能性のある塀に作業者を近づくにあたり、見張りなどがいなかったたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

掘削作業を行う場合は、事前に周囲に何が支障になるものがないか確認しなければなりません。
この事故の場合であれば、掘削箇所のすぐ側にブロック塀があったことです。

ブロック塀のすぐ側を掘削する場合は、塀が崩壊するかもという危険を検討しておく必要があったかと思います。

ブロック塀は普段自立しているものです。そういった状態を知っているので、多少周りを掘ったところで、短時間根入れが浅くなったからといって、また少々ショベルカーが振動を出したところで、塀が崩れるとは思わないでしょう。

しかしどんなに少々のことと思っていても、塀などはこちらの都合を聞いてくれません。
何かタイミングが合えば、崩れ落ち、人を巻き込んでしまいます。
そしてそれはいつ起こるか、誰にも予想はできません。

このような事故を防ぐために、可能性のある危険は対処を考えておく必要があります。
ブロック塀がすぐ近くにある場合は、倒壊を防ぐための対処方法の検討が必要です。

ブロック塀の自立を崩さない程度の距離まで掘削位置の変更ができるかの検討ができたかもしれません。
どうしても位置の変更ができないのであれば、塀が崩れないようの対処を考える必要があります。
例えば、壁を支えてやる方法です。具体的には、壁を支える壁を作るなどです。

短時間の作業であっても、崩れる可能性はあります。
そのため、短時間の作業であっても対処が必要になるのです。

また作業者自身も、作業現場にどのような危険があるかを把握して作業する必要があります。

対策をまとめてみます。

事前に作業場の危険を把握し、計画を作成する。
ブロック塀の倒壊防止のための措置を行う。
作業場の危険についてKYや安全教育を行う。

掘削作業は、土木作業では日常的なものですが、作業する場所は毎回条件が異なります。
条件にあった対策を、その都度考えなければなりません。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】

第362条
埋設物等又はれんが壁、コンクリートブロック塀、擁壁等の建設物に近接する箇所で明り掘削の作業を行なう場合において、損壊等の危険を防止するため、これらを補強し、移設する等当該危険を防止するための措置が講じられた後でなければ、作業を行なってはならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

掘削作業等での安全対策について

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