厚生労働省労働局長登録教習機関
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機械の操作は通常の使い方をしている限り、よほど特殊な使い方をしなければ、危険はありません。
機械が危険度を増すのは、修理やメンテナンスなどといった、通常とは異なる作業する時です。
また機械を設置したり、撤去したりする作業も危険が伴います。
千葉県木更津市で機械の解体作業中にはさまれるという事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
機械に挟まれ男性死亡(平成28年2月20日)
20日午前8時55分ごろ、袖ケ浦市南袖のセメントリサイクル会社敷地内で、石灰などを船から積み下ろす機械の解体作業をしていた50代ぐらいの作業員男性が、接続部分の部品に挟まれているのを近くで作業中の同僚が見つけ、119番通報した。
男性は胸を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。木更津署は男性の身元確認を急ぐとともに事故原因などを調べている。 同署によると、男性は機械に重油を送るホースを切断する作業を行っていた。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「機械部品」です。
事故は石灰などを船から積み下ろす機械を解体を行っている最中に起こりました。
重油を送るホースを切断していたところ、部品にはさまれたのでした。
部品にはさまれたというのは、下敷きになったというものではないかと推測されます。
この部品は相当重いものだったはずです。
被害にあわれた方は亡くなってしまいました。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
機械の解体作業では、組み付けられていたものを取り外していきます。
取り外された機械は支えをなくします。そのため支持をとらないと、落下してしまうのです。
部品が軽いものであれば、手でも支えられまでしょうが、重いものは手で支えるのは無理です。
支持を取るためには、宙ぶらりんとなる部品をクレーンで吊ったり、仮設で支持架台を取り付けたりします。しかしこの事故では、支持があったのかは不明です。
支持については、作業計画や手順で検討されていなかったのではないのでしょうか。
また作業を1人で行うのが適切だったかも検討が必要です。重いものを扱うのであれば、人手が足りなかったのではないでしょうか。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 取り外した機械の支持がなかったこと。 |
2 | 撤去の計画や手順が決められていなかったこと。 |
3 | 作業を1人で行っていたこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
解体撤去は、安定している状態を崩していく作業です。
地面を掘り、安定を損なうと、土砂崩れが起こります。機械の安定が崩れると、部品などが落下したり、崩壊したりします。
機械の解体の時は、落下したりしないようにしなければなりません。
作業前には、落下を防止する支持を検討します。
支持架台を設けたり、クレーンなどで吊ったりがそれに当たります。
作業の位置も考えなければなりません。落下物の下敷きになるような位置に立たないように注意が必要です。 どうしても落下物の下敷きになる位置取りをしなければならない場合は、落下防止の角材などを支えを置くなども検討しておく必要があるでしょう。
また重量物を扱う作業は、1人で行うのではなく、2人以上で作業するのがいいです。
1人では何かあった時に対応ができなくなります。
対策をまとめてみます。
1 | 解体物の支持の計画を作る。 |
2 | <b>はさまれる恐れのある位置では、角材などで支持する。 |
3 | 作業は複数で行う。 |
機械の分解は部品の落下の危険があるので、それに対しての対処を検討しておく必要があります。
機械の通常とは違う作業ですし、おそらく設備業者が作業していたのでしょうが、事前の検討と作業時の仮設が安全を確保するものでなければならないのです。