厚生労働省労働局長登録教習機関
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機械の用途外の使い方をするのは、時として危険が伴います。
クレーンで人を吊り上げる、ショベルカーのバケットに人を乗せ運ぶなどは、危険を伴います。
フォークリフトも荷物を2本の爪に乗せ、運ぶものです。
この用途以外の使い方をすると、思わぬ危険があるのです。
大阪府堺市でフォークリフトの用途外使用をしていて事故がありました。
この事故では、営業所長が書類送検されました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
用途外リフト使用、容疑で書類送検(平成28年3月4日)
堺労働基準監督署は4日、労働安全衛生法違反容疑で、堺市のメーカーの所長ら3人を大阪地検に書類送検した。
容疑は、同営業所で昨年4月、フォークリフト運転手との運送会社のトラック運転手が木製パレット(重さ約800キロ)を降ろすため、用途外なのにリフトでけん引。所長は用途外使用を知りながら、防止に必要な措置を怠ったとしている。 同署によると、この作業で、リフトは旋回して建物の柱に激突。リフト運転手が骨盤を強打して死亡した。 |
この事故の型は「激突」で、起因物は「フォークリフト」です。
会社社長、工場長長や営業所長などの責任者は、作業者の安全確保する義務があります。
それは危険作業をしていたら、すぐに是正させることも含まれます。
この事故では、フォークリフトで重さ約800キロの木製パレットをけん引、つまり引っ張っていた時に起こりました。おそらくパレットにワイヤーを巻き、爪に掛けて引っ張ったのではないでしょうか。
これはフォークリフトの用途外の使い方です。
そしてどうやらこの作業は、普段からよく行われていたようでした。責任者である所長もこの作業を知っていたようですが、これを是正指導することはありませんでした。
結果、ワイヤーが外れたのか、バランスを崩したのかは不明ですが、フォークリフトは旋回、つまりくるくる回り柱に激突しました。運転者はその衝撃で亡くなられたのでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
事故の原因はフォークリフトの用途外の使用方法です。
木製パレットの移動には、クレーンなどを使用することが適正だったのではないでしょうか。
この作業場に使えるクレーンがなかった、またはわざわざ使うまでもないと思っていたか、理由は伺い知れませんが、フォークリフトでけん引という作業方法を行っていたのでした。
このような使い方は、物を運ぶ機械であるフォークリフトには不向きです。というよりそのような機能も装置も備わっていません。
運搬する作業での安全装置は備わっていますが、けん引の安全装置はないのです。
フォークリフトなどの荷役運搬機械は作業指揮者を必要とします。
この事故の時にはいないようでした。
用途外の使用法はしないことはもちろですが、もしそのような様子を責任者が発見しても放置することは、暗に容認してことにもなるのです。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | フォークリフトの用途外の使い方をしたこと。 |
2 | 責任者が不安全行動を放置したこと。 |
3 | 安全教育などがされていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
まず機械の用途外の使用はダメです。
今までやってきて特に問題はなかった、手っ取り早いなどの理由があるかもしれません。
しかし、あえて危険を犯す必要はないのではないでしょうか。
荷役運搬機械は作業指揮者を定め、指揮されます。
指揮者が配置されていたならば、事故はなかったかもしれません。
作業者がこのような用途外使用をするのは、社内での安全教育が十分でなかった、または危険を見落とした教育内容だった可能性もありそうです。
何より事業者、責任者は危険を放置してはいけません。
作業場巡視や安全パトロールで発見した問題は放置せず、解決するのが事業場責任者がやるべきことです。
対策をまとめてみます。