厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第79話「猫井川、ブルーシートに潜む刺客にプスリとされる 」 |
擁壁工事も全て完了したので、猫井川は元請業者がいる現場事務所まで報告に行きました。
現場事務所の扉を開けると、白髪交じりの監督が事務作業をしていました。 「失礼します。HHCの猫井川です。 元請業者の監督員、野虎(のこ)は、事務の手を止め顔を上げると、 「おお、そうか! と、快活に答えました。 「ええ、順調に終わってくれて良かったです。」 「他の作業が遅れ気味だから、助かったよ。 そう言うと、野虎は靴を履き、猫井川と一緒に擁壁工事の現場まで行きました。 擁壁のある場所には、鼠川が片付けをしていました。 「お疲れ様です。 と話しかけます。 「お疲れ様です。 「いやいや、俺はそんなに急かしていないですよ。」 「ははは。いや、でも猫井川君が早くしっかりと進めてくれて助かりますよ。 野虎の言葉に、鼠川は、 「そう言っていただけると、私らもやってよかったと思いますよ。 と答えます。 「ええ、猫井川君はこまめに連絡をくれるし、しっかりやってくれましたよ。 野虎が突如、聞いてきました。 「何でしょうか?」 「いやね、この敷地内は最後に舗装で仕上げるんだけど、猫井川君のところでできないかな? 「舗装ですか。ここ結構広いですよね。 「そうだな。 と、鼠川は考え込みます。 「やっぱり無理ですかね?」 野虎はどうしたものか、悩ましい表情を浮かべます。 「うーん、ちょっと舗装班に聞いてみます。 「ええ、それは。出来るなら、都合に合わせます。」 「そうですか、一旦会社に持ち帰って相談してみますので、返答は明日でもいいですか?」 「それで構いませんよ。それじゃ猫井川君、また連絡もらってもいいですか?」 「分かりました。確認して、すぐ連絡します。」 「うん。頼むよ。 そう言うと、野虎は現場事務所に引き上げていきました。 「さて、これを言ったら、馬万が怒るかもな。」 舗装班のリーダーは、犬尾沢の同期の馬万ヒヒンでした。 「まあ、わしも口添えするから。」 そう言うと、2人は後片付けをはじめました。 現場で使った残材をダンプに載せていた時のことです。 「いて!」 と大声を上げました。 何が刺さったのかと手元をよく見てみると、ブルーシートを突き破り細い番線が突き出ていたのでした。 しかもその先は、切られているので尖っています。 「どうした?」 猫井川の声で、鼠川も近づいてきました。 「見て下さいよ。ブルーシートの中に番線があって、突き出しるんですよ。」 「誰かが中に放り込んだんじゃないか。」 「今回は番線使ってないのです、他の会社の人が捨てたのかもですね。 「何があるかわからんからな。 そうして、2人は片付けを終え、帰っていったのでした。 夕方、みんなが現場から帰ってくると、猫井川は馬万に、今日のことを聞きました。 「すぐにやるのか? 話を聞くと馬万は、いきり立ちました。 「もちろん、分かっていはいるのですけども。」 馬万の迫力に、しどろもどろになる猫井川。 その様子に、鼠川が口をはさみました。 「確かに、今は忙しいのはわかっているんだがな。 どこも日程の開きはなさそうか?」 「予定表見てもらったらわかりますけど、いっぱいですよ。 「土日か。道路じゃないから大丈夫かと思うが。 「はい。」 猫井川が、野虎に電話し、確認すると、 「入ってくれるなら、OKだそうです。」 との回答がありました。 「馬万、土日でもいけるか?」 「うーん、来週末なら何とか。 でも少々の雨でもやるからな。大雨だったら、諦めてくれ。」 「分かりました。野虎さんにはそう伝えます。」 早速、猫井川は野虎に連絡したのでした。 「まあ、あいつの初めての担当現場だからな。 猫井川が電話をしている最中、鼠川がぼそっと言いました。 「まぁ、仕方ないですね。その代わり2人も休日出勤してもらいますよ。」 「ああ、わしも猫井川もそのつもりだ。 鼠川と馬万は、電話をする猫井川の背中を見つめるのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
擁壁工事が無事終わったところ、次は舗装工事を頼まれてしまいました。
きちんと期待に応えると、次に繋がるのです。こんなに直ぐにというのも珍しいでしょうけど。
というわけで、猫井川の次の仕事は舗装工事になります。
普段一緒に仕事をしない舗装班との仕事です。馬万ヒヒンをはじめとして、濃い面子が揃っていそうです。
さて、今回のヒヤリ・ハットはブルーシートの潜む番線、つまり太めの針金です。
まさか何かがはさまっているとは思わなかった猫井川は思いっきりブルーシートの束を抱えてしまい刺さってしまったのでした。
普通は何かあるとは考えません。
おそらく誰かがゴミだと思ったブルーシートに番線を捨てたのでしょう。捨てた本人も、まさかそれで怪我をする人がいるなんて思わなかったはず。しかし思いもよらないことが巡り巡って、怪我を引き起こすこともあるのです。
昔、ブルーシートの片付けようとしたら、中にクワガタがいて、はさまれたという話を聞きました。
今回はそのことを思い出して書いてみました。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | ブルーシートの束を片付けようとしたら、中にあった番線が突き出してきて刺さった。 |
対策 | 1.片付ける前に、中に何かないか確認する。 2.現場でゴミと、そうでないものを分けて保管する。 |
擁壁工事は終わり、舗装に入ります。
また、土工とは違うヒヤリ・ハットが生まれそうです。