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事故が起こると、事故を起こし巻き込まれた本人も大きな被害がありますが、それでけれとどまりません。
被災した作業者を雇用している事業者も大きな影響を受けるのです。
事業者は管理責任があります。適正に作業者の安全確保に努めていなかったことの責任が問われるのです。そのペナルティは決して軽いものではありません。
重い行政処分になることもあるのです。
埼玉県所沢市の建設会社で、墜落事故があり、結果として事業者が書類送検される事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
墜落防止の措置怠った疑い 建築会社など書類送検/所沢労基署 (平成28年3月11日)
所沢労基署は11日、労働安全衛生法違反の疑いで、所沢市の建築会社と現場代理人の男らをさいたま地検に書類送検した。
書類送検容疑は昨年4月8日、同市下富の保育園の解体工事現場で、派遣労働者男性が屋根から落下し死亡した事故で、手すりや囲いなどの墜落防止措置を設置しなかった疑い。 同労基署によると、男性は解体工事で防音パネルを運ぶため屋根の上を歩き、バランスを崩し落下したという。頭などを強く打ち、搬送先の病院で死亡した。業者は「安全を軽視してしまった」と容疑を認めているという。 |
この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「建物」です。
この事故は、保育園の解体工事現場で起こりました。
屋根の上での作業があったにににも関わらず、墜落防止の手すりなどを設置していなかったため、派遣の作業者が墜落してしまったのでした。
墜落対策の不備が事故を招いてしまったのでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
高所作業では墜落の危険があるため、墜落防止の対策を行わなければなりません。
しかしいざ現場でそのような場所で作業する時、作業効率が優先され、墜落防止まで手が回らなかったりします。
今回の事故では、屋根の上でパネルを運んでいる時に、バランスを崩してしまいました。 普通に歩いている分には、そうそう墜落の危険はないでしょうが、物を運んでいたり、足元に物がたくさんあったりすると、その危険度は何倍にもなります。
落ちる可能性がある場所では、その可能性を小さくしなければなりません。
そのためには、まず作業する場所を調査し、計画を立てることが重要です。
この事故現場では、計画が十分検討されていなかったのではないでしょうか。
また、作業者への安全教育や作業前のKY活動などで、どんな危険があるかなどを教えることも事故防止になます。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 高所作業で墜落対策がされていなかったこと。 |
2 | 作業前の調査、計画が行われていなかったこと。 |
3 | 安全教育やKYが行われていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
作業を行うにあたっては、事前に作業環境などを調査し、作業方法や安全対策をけんとうしなければなりません。これは工事の施工計画書や作業要領書という形でまとめられるはずです。
これら計画書や要領書の多くは今までのコピペというのも少なくないでしょうが、押さえるところは押さえましょう。
特に、墜落など危険がある場所の安全対策はしっかり計画しておく必要があります。
そして計画を立てたら、実行する必要があります。墜落防止のための手すり設備などはしっかり行わなければなりません。
また作業者の安全教育もしっかりおこなければなりません。
今回の事故で被災したのは派遣労働者とのことですので、作業の勝手も十分理解されていなかったのかもしれません。しっかり危険について教育が必要です。
対策をまとめてみます。
1 | 作業前に調査と計画を作成する。 |
2 | 高所では墜落防止対策を行う。 |
3 | 作業者の安全教育やKYを行う。 |
高所作業は建築でも解体でも必要です。
解体では、建物を崩してしまうので、手すりなどの設備の設置と撤去のスパンが短くついつい省略したくなるかもしれません。しかしどんなに短期間であっても、危険は変わりません。
手すりなどの設備を省略してはいけません。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第519条 高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。