厚生労働省労働局長登録教習機関
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事故が起これば、どんなことになるのか?
これは実際に事故にあった経験がなくとも、想像できると思います。
程度の差はあるでしょうが、間違いなくよいものではありません。
まず怪我をします。
その怪我が酷いものであれば、障害が残ることもます。障害が残ってしまうと、事故の前のように活動できないこともあります。
さらに酷いものになると、命を落とすこともあります。
これらのことは、決して遠いところの出来事ではありません。
なぜなら毎年約1000人が労災事故で亡くなり、約11万人が休業を必要する大きな怪我をしているのです。
休業を伴わないような軽微な怪我であれば、さらに何倍もの数になるはずです。
確かに事故にあったら、とても辛いものです。
大怪我をして入院ともなると、治療に時間がかかります。労災保険があるとはいえ、治療費もままなりません。さらに休業になるので、収入も減るでしょう。
もし死亡ともなると、もう何もかもが終わってしまうのです。
事故が起こるのは、一瞬の出来事です。
しかし本人が支払う代償は、あまりに大きくなるのです。
事故が起こるまで、まさか自分の身に降りかかるとはと思うでしょう。
おそらく事故にあった全ての人がそう思っていることでしょう。
しかし想像しようがなかろうが、条件さえ整えば事故は起こります。
そして多大な代償を要求するのです。
そしてこの代償は、事故に巻き込まれて本人だけに及びません。
被災者を中心として、とても広い範囲まで及ぶのです。
事故の影響はどこまで広がるのか |
まず大きな影響を受けるのは、被災者の家族です。
もし自分の家族が事故にあったら。テレビやドラマなどでもよく見かけるシーンですが、これが現実になるのです。
大切な人が大怪我をして病院に運ばれる、命を落とす。ショックは計り知れないものがあるはずです。
ただショックを受けるだけでは済まないのが現実です。
休業による収入減、かさむ治療費は家計を圧迫します。
収入を他でカバーしようとしても、療養中の介護などがあれば十分に時間を取るのも困難です。
もし死亡となると、ローンを残すこともあるでしょう。
保険である程度まかなえるでしょうが、十分な補填にならないこともあります。
家族に対して、相当の影響を与えてしまいます。
家族以外にも会社や同僚への影響も小さくありません。
もし事故現場に居合わせたのであれば、目の前で仲間が大怪我をするのです、それは大きなショックを与えるでしょう。
場合によっては、相当のトラウマになってしまうこともあるはずです。
目の前で同僚が亡くなったので、仕事が怖くなり、退職したという話も聞いたりします。
ずっと一緒に仕事をしていた仲間を失ったり、大怪我をするのです。
その衝撃は、十分に心を傷つけてしまいます。
事故を起こした会社(事業者)が受ける影響は、深刻です。
これは使用者責任、安全配慮義務があるので仕方がないのかもしれませんが。
事故があると、事業者は労働基準監督署に報告しなければなりません。
そして調査の結果、大体の場合において書類送検されます。送検され起訴されると、裁判になります。
また建設業であれば、自治体から指名停止処分を受けることになります。
指名停止処分を受けると、工事の受注が出来ません。下請けに入るのも嫌がられたりします。
半年や一年など、自治体によって期間は違いますが、仕事が受注できないのは、相当のダメージです。
指名停止は取引先や銀行などの態度も変えます。
取引を控えられることもあるでしょうし、ひどい時は融資の返済や売掛金の回収を迫られたりすることもあります。
仕事はなくとも、社員の給与や固定費などの支出は減りません。さらに被災者への補償などの支出もあります。
また事故の再発防止のため、機械を買い換えたり、設備を新しくする必要もあるのでか、出費は重なるのです。
事業者が事故によって受ける影響は、計り知れません。
体力がない事業者だと、事故1つで倒産ということもあるのです。
事業者は事故の影響を十分に理解しておく必要があります。
確かに安全対策は、費用対効果の面では見えにくいといえます。安全設備を充実させても、作業効率は上がりません。むしろ効率を損ねることも少なくありません。
多大な投資をしても、事故が減ったのか、効果があったのかの検証も分かりづらいです。
また安全対策をあまりやらなくても無事故ということも多いです。
そのため安全に力を入れなくともと考えてしまうのかもしれません。
事業者が安全対策を行うのは、作業者のいのちを守ることと、会社を守るためです。
作業者が安全対策するののは、自分自身を守ることと、家族や仲間を守るためです。
規則だから、指示されているからだけではありません。
守るべきものがあるから行うのです。
安全対策は費用がかかります。下請けで仕事を受けている場合、値切りを受け、安全に回す費用がないこともあるでしょう。こういった社会構造上の問題もあるのですが、自分の身は自分で守らなければならないのが現実です。
事故防止にかかる費用と、事故によって支払う費用ではどちらの方が小さいか。
間違いなく防止にかかる費用です。
つまり安全にかかる投資は、結果的に費用対効果がよいものになるのです。