○現場の安全

リスクアセスメントとKYについて。混ぜるな、面倒くさい。

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KYT(危険予知トレーニング)、KYK(危険予知活動)は、製造業や建設業などに限らず、現場で行う安全活動として、広く浸透しているものだと思います。

私は建設業にいますので、日常的な安全活動として馴染みがあります。工事の竣工検査の時には、安全管理書類の1つとして、発注者(自治体)に提出しています。(自治体によっては、提出は不要で、検査時に見せるだけでもよいところもあるようです。)

しかし、このKYは実際にやってみる、または監督者としてやってもらうにあたって、問題があります。
今回は、そんな現場でのKYについての考えてみたいです。

先に結論めいたことを書いておきますが、KYが意味がないとはいいません。
ただ、目的とやり方をよくよく考えないと、ただの形式になってしまいます。

index_arrow 問題点1 「手間がかかる」

作業者にとっての大きな問題。それは朝の準備が忙しい時に、KYを記入するのは手間がかかるというものです。

KYのやり方については、別のエントリーなどでも書いていますので、ここでは省きますが、色々かかければなりません。

かなり端折っても、記入するのには時間がかかります。

朝は忙しい時間です。これは朝起きてから、顔を洗い、身支度し、朝食を食べて出かけるまでの間に、ちょっと今日の予定を手帳に書き込む時間をとるようなものです。もちろん、そんなのやっているよという人もいるでしょうが、結構慌ただしく準備してるという人も少なくないのではないでしょうか。

ミーティングで作業内容の打合せ一緒にKYを行うのはともかく、とにかく手間を取るのが、書くという行為です。

KYの記入用紙として、全建様式を使われているところも多いと思います。
使っている方には共感を得られるかと思いますが、とにかくいっぱい書かせます。 リーダーは一苦労です。

そして近年の流行りはKYとリスクアセスメントを合わせたものです。
このコラボにより、さらにKYの負担が増しているのではないでしょうか。
ここで、タイトル通りKYとRA(リスクアセスメント)は混ぜるな、面倒くさいになるのです。現場にいると、ほんと面倒くさいです。

元請けがKY+RA様式を使っていて、指示されているならば、従うしかないですが、全建様式は決して義務ではないですからね。
工事管理書類にKYが含まれていても、様式までは指定されていませんからね。
つまりアレンジしてもよいということです。

ちなみに私の会社では、KYは独自の様式を作り、使用しています。
最低限必要な内容以外、そぎ落としています。RAの要素は入れていません。

これは、自分自身の負担を減らすためのものに作ったのですが、まだ記入内容は少なくて済んでいます。
しかしまだこれでも書くのが負担なんですけども。

ちょっと2時間おきKYなんてのを作ってみましたが、目的はともかく、負担はひどく増えてしまいました。

RAをやるなら、KYとまぜるのではなく、月次の安全教育や安全大会でやるほうがじっくり考えられるのではないでしょうか。

index_arrow 問題点2 「マンネリ」

毎日同じような作業を行っていると、考えられる危険はだいたい出尽くします。 KYイラストを見せて、この時にはどんな危険があるかを話し合うというのもありますが、そんなにバリエーションはないでしょう。

例えば、足場で作業する場合であれば、こんな感じでしょうか。
「予想される危険 : 足場上で歩いているとき、足がつまづいたので、墜落する」
「対策 : 足場の通路上に荷物を置かない。安全帯を使用する。」

KY用紙には、これが毎日書かれます。
同じことを書くのに、飽きてきます。KYの多くは手書きだと思うので、コピペもできません。せめて昨日と同じと書きたいですが、手抜きと言われるので、それもできません。

同じことを、何日も書く。
元請けなどに、他に何かないのかと言われなも、そうそう思いつきません。
そしてこれは工事が変わっても、続きます。

このようなマンネリになっている会社は多いのではないでしょうか?
私の周りでは、軒並み陥っています。

マンネリになるのは仕方ない面もあります。
しかし注意しなければならないのは、変化があったときです。

製造業であれば機械のメンテナンスを行う時、建設業であれば仕事内容が変わる時は、マンネリ気分を変えなければなりません。

マンネリは仕方ないけれど、作業内容に変化があるときは、KYをしっかりやる必要があります。

他にも、問題はあるでしょうが、大きく2つに絞ってみました。

KYも広く広く浸透し、建設業にいる身として、KYは身近なものです。
作業前に危険を予知し、回避するという安全意識の向上がとても意味があるのも承知しています。

しかしかなり浸透した結果、管理書類としてのKYを記録することが、かなりのウェイトが占められていることも確かです。
安全管理に限らないですが、管理者の立場からすると、記録にはあれもこれもと書かせたくなります。管理者の気持ちも分かりますが、実際に書く人の負担も考えましょう。

負担を減らすためには、記録用紙の内容をじっくり検討し、項目をシェイプアップしなければなりません。

「世界のトップを10秒で納得させる資料の法則」という本がありますが、これは多忙を極めるソフトバンクの孫正義社長にプレゼンするためには、ダラダラと内容を伝えられません。内容を削りに削り、核になるポイントを明確にして伝える必要があります。

KYに限らないのです
が、作業者が安全に作業するためには何が必要か、しっかり考え、不要なものは削るのも大事なことです。
管理項目が増えすぎると、頭はいっぱいになり、意識が分散されます。
安全に作業することに集中させるために出来ること。記録はきちんと残すけれども、必要最小限の負担とすること。
これも安全管理として考えてもいいのではないでしょうか。

 

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