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クレーンでの事故は、吊り荷の落下というものがあります。
多くの場合、重く巨大なものを運びます。そのため落下した時の衝撃は、大変なものになることが多いです。
移動式クレーンを使用しているときは、地形や環境などに応じた使い方が必要です。
地盤がゆるいところでは、荷物を支えることができないからです。
一方決まった場所で使用する天井クレーンについても、周囲の確認などが欠かせません。
変わらないように見える環境や作業方法も、一つ間違えば危険を伴うことがあるのです。
秋田県井川町で天井クレーンで運んでいた鋼材が落下するという事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
秋田で鋼材落下 作業の2人死亡 (平成28年3月29日)
29日午前8時35分ごろ、秋田県井川町浜井川の工場から、鋼材の積み降ろし作業中に作業員が下敷きになったと119番があった。同社社員2人が秋田市の病院に搬送されたが、いずれも死亡が確認された。
同署と湖東地区消防本部によると、2人は工場の倉庫内で、天井クレーンを使ってトラックから鋼材の束を降ろすため、荷台などで作業していた。 |
この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「鋼材」です。
この事故は、天井クレーンで鋼材の束をトラックの荷台から下ろすときに起こりました。
直径5センチ、長さ7~8メートルの鋼材20本を束ねたものを吊り上げたところ、落下しました。
鋼材は荷台で作業していた作業者2人の上に落下しました。
荷台の上ということは、おそらく吊り上げた直後に落下したものといえそうです。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
吊り上げた直後、荷台の上に落下したということは、そもそもバランスが悪かったと言えそうです。
これは玉掛けが適切でなかったのではないでしょうか。
鋼材、これが丸鋼なのかH形鋼などなのか分かりませんが、長尺物の束を吊り上げるのですから、バランスが大事なのは言うまでもありません。
また吊り荷の下に作業者がいたことが被害を大きくしました。
吊り荷の真下、または周辺にいると落下した際に巻き込まれてしまいます。この事故では、作業者が荷台な上にいたため、落下に巻き込まれました。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 玉掛けが悪かったこと。 |
2 | クレーンの作業範囲に作業者がいたこと。 |
3 | 作業手順などの教育がされていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
作業前には作業方法、作業者の配置位置などの計画を立てなければなりません。もし作業計画があるならば、作業者は従わなければなりません。
その計画に、作業者はクレーンの作業範囲に入らないことも決めておく必要があります。
クレーンの吊り荷の真下や周辺からは退避しなければなりません。
天井クレーンですのである程度は荷物に近い場所で作業することになりますが、適度な距離は必要です。
荷崩れさせないためには、玉掛けを確実に行うことが大事です。
玉掛けし吊り上げる前には、地切りしてバランスを確認します。
ポイント、ポイントで確実に確認することが大事なのです。
対策をまとめてみます。
1 | 事前に作業計画を作成する。 |
2 | 吊り荷の下に入らない。 |
3 | 玉掛けは地切りでバランスを確認する。 |
クレーン作業は荷の落下に気をつけることが大事です。
そして吊り荷の下に入らないようにしなければなりません。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【クレーン等安全規則】
第29条 クレーンに係る作業を行う場合であって、荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。