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クレーン作業で注意すべきことは、何と言っても吊り荷が落下することです。
しかし危険はそれだけに留まりません。
ユニック車を使用していて、意外に多いのが車体と吊り荷に挟まれるという事故です。
これはクレーンの操作部が車体の横という構造上おこりやすい事故といえます。
埼玉県東松山市で吊り荷とユニック車との間に挟まれ亡くなるという事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
クレーンで作業中、男性死亡 ユニットハウスと車に頭挟まれ (平成28年2月9日)
9日午後2時ごろ、東松山市で、小型クレーン付き車でユニットハウスの移動作業をしていた作業者が、ユニットハウスと車体の一部に頭を挟まれて死亡した。
東松山署によると、車の後部でクレーンを操作、右側に折り畳まれてあったユニットハウス(長さ7・1メートル、奥行き2・3メートル、高さ0・45メートル)を左側に移して組み立てる作業をしていた。 同署で詳しい事故原因を調べている。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「移動式クレーン」です。
この事故は、クレーン装置付きトラック、つまりユニック車で吊り荷作業をしている時に起こりました。
ユニック車のクレーン操作部は、運転席と荷台の間にあります。車体の左右どちらかに立ち、操作するのです。この事故の時、作業者は車体の左側に立っていました。
組み立て式のユニットハウスを車体の右側から、左側に移動させる際に事故は起こりました。
ユニットハウスとユニック車の間に頭が挟まれてしまったのです。
この事故によって、作業者は亡くなられました。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この事故は、クレーン作業中にユニットハウスの一部に挟まれたことによって起こりました。
ハウスの材料は、ユニック車をはさみ、作業者の反対面にありました。
つまり荷物を吊上げ、自分がいる方に旋回していたのでした。
旋回する位置が体に近いところだったのでしょう。
吊り荷作業中は、風などで揺れます。その揺れで体に接触したということも考えられそうです。
またこの事故では、頭が挟まったとしか書かれていないのですが、作業者の近くに荷物が来た時、吊り荷がずれたという可能性もあります。荷物の位置が変わったために、頭に接触してしまったというものです。もしそうなら玉掛けが不十分だった可能性があります。
この事故時作業は1人で行っていたのか、2人以上かは記事からは分かりません。
1人なら目測を誤ってしまった、2人なら誘導が悪かった可能性があります。
作業時の立ち位置など、問題があったように思われます。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | クレーンの旋回位置が、体に近いルートを通ったこと。 |
2 | 玉掛けが緩かったこと。 |
3 | 合図者、誘導者がいなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
クレーン作業を1人で行う場合は、荷物を運搬するルートをあらかじめ決める必要があります。
少なくとも旋回ルートは、体から離れた安全なルートを通らせなければなりません。
2人以上で行う場合は、1人が荷物の確認し、合図しなければなりません。
玉掛けも有資格者が行う必要があります。
もし吊っている最中にずれてしまうと、荷がずれたり、落下したりすることがあります。
対策をまとめてみます。
1 | 旋回ルートなどあらかじめ計画する |
2 | 合図者、誘導者を配置する。 |
3 | 玉掛けは有資格者が行う。 |
1人でクレーン作業を行う時は、周囲の状況を確認するなど、慎重に作業する必要があります。
慎重さを欠くと、とても危険なことになるのです。
そして操作している自分自身も作業範囲に入ってはいけないのです。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第74条 事業者は、移動式クレーン労働者に 危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。