厚生労働省労働局長登録教習機関
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4月28日はILO(国際労働機関)が定める「World Day for Safety and Health at Work」というものだそうで、この話題の記事をいくつも目にしました。
私も今までこんな日が定められていたのは知らず、今日たまたま見かけた次第です。
せっかく関わりのありそうなイベントを知ったので、これ幸いと何か書いてみようと思います。
ちなみに紹介しているページはこちらです。
World Day for Safety and Health at Work
欧米などの海外では何やら大きく取り上げられていますが、日本ではさほど知られているものではありません。
まあ、毎日が世界何とかの日なんてのに定められているでしょうから、網羅することなど不可能なのですが。
日本では7月第1週が全国安全週間で、10月第1週が全国衛生週間で、こちらの方が有名ですね。
そして本週間の1ヶ月前は準備期間になっています。
そのため6月は多くの事業所で安全大会などが催されています。
ちなみに今年(平成28年度)のスローガンは、「見えますか、あなたのまわりの見えない危険 みんなで見つける安全管理」だそうです。
労働安全コンサルタント資格を受験するなら覚えておくといいですよ。たまに面接で聞かれてりするようです。
さて、本日の世界職場安全衛生の日ですが、こららにも今年のテーマというものがあります。
それは「Workplace Stress: a collective challenge」、訳すと「職場のストレス:みんなで取り組んでいこう」(意訳)といったところでしょうか。
つまりメンタルヘルスへの取り組みがテーマのようです。
今年のテーマはメンタルヘルス |
昨年、平成27年12月1日より、50人以上の事業場ではストレスチェックが義務化されました。
これにより職場でのメンタルヘルスも管理しましょうということになってきたのです。
背景にあるのは、仕事でうつを患い、自殺するというケースが増えてきたからでした。
少し古いデータになるのですが、内閣府が自殺者の分析をした資料があります。
これによると平成24年の自殺者は27,858人で、動機としては「健康問題」、「経済問題」、「家庭問題」、「勤務問題」が多数を占めています。特に高齢になるほど、「健康問題」が占める割合が多く60代以上では、50%を超えます。そしてこの動機は、働き手の主流になる30代、40代でも40%近くを占めているのです。
「健康問題」の内訳を見ると、圧倒的にうつによるものが多く、全世代で約6,000人を占めます。これは全自殺者の約21%にもなります。つまり5人に1人はうつなどにより自ら命を絶っているのです。
うつの原因の一端は職場でのストレスがあるのは間違いありません。
最近は、低賃金で長時間労働を強いるブラック企業という言葉も一般化してきました。過酷な労働環境で精神的に追い詰められるケースも後を絶ちません。
今年もひどい話があって西日本高速では退勤のタイムカードを押してから、8分後に出社させるなどの業務を行わせ、自死させたというが労災認定されたという事件がありました。
西日本高速で男性過労死 退勤8分後に出勤も(神戸新聞NEXT)
亡くなられた方はずっと「忙しくて休めない」などと言われていたそうです。異常なまでの労働を強いていたことになります。
おそらく、このようなケースは少なくないのかもしれません。
過剰なまでのストレスが、作業者を精神的に追い詰めてしまい、うつに追いやり、最終的に命を奪ってしまうこともあるのです。
このような背景があって、ストレスチェック制度が始まったのでしょう。
作業場のストレスが問題になっているのは、日本だけではないようです。
国際的にもどうようの問題に直面しているようです。
原因としてあげられているのは、厳しい国際競争、シビアな雇用条件、長時間労働などがあります。
日本と状況はさほど変わらないようです。
そのような状況を踏まえての今回のテーマ設定になったようです。
ストレスチェックは50人以上の労働者がいく事業場では義務ですが、それに含まれない事業場でも対策は必要です。
少人数のため1人にかかる負担が大きく、残業残業という職場も多いのではないでしょうか。
ストレスチェックについて、厚生労働省に「こころの耳」というページがあります。
こちらには自分でできるチェックなどもあるので、参考にしてみてください。
心に障害を負うのも、事故です。
石綿の影響はすぐには出ません。しかし厳しく規制されています。
心に負う障害も、石綿のようにジワリジワリと蝕んでいくものではないでしょうか。
負担が掛かり過ぎる仕事は、どこか間違っていると思います。
私は気合、根性という言葉はあまり好きではありません。
これらの言葉に幻想を抱いてはいません。
あと頑張るという言葉も好きではありませんので、あまり使わないようにしています。
個人に過度の負担を強いるような仕事は、システム自体を見直すべきです。
人を増やせないのなら、業務を効率化するためにシステム作りに投資するべきだと思います。
作業での安全で大事なことは、心に余裕を持つことです。
焦りなどは思わぬ事故を招きます。
これは建設現場や工場作業だけ以外でも同じです。 メンタル面での安定は、安全な作業だけでなく、効率も上げてくれるでしょう。
「World Day for Safety and Health at Work」はあまり馴染みはないかもしれませんが、安全大会や講和の話のネタに、ストレスチェックなどと交えて話してはいかがでしょうか?