○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

保楠田、シャックルにトーンされる

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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第86話「保楠田、シャックルにトーンされる」

猫井川は保楠田に指示を受けながら、何とかバショベルカーのアタッチメントの取り換えを終えました。
途中で少しびっくりすることともありましたが、とりあえずこれで作業はできます。

アタッチメントの取り換えが終わると、犬尾沢たちも準備を終えたようでした。

「それじゃ、保楠田さんはショベルカーで石をダンプに積んでいってください。
 兎耳長さんはダンプで運んでいってください。
 あまり時間がないから、段取りよくやっていくぞ。

 猫井川は保楠田の手伝いな。」

犬尾沢が各人の作業分担を指示すると、それぞれは作業にあたることにしました。

保楠田はショベルカーに乗り込むと、エンジンをかけました。
ゴゴゴゴとエンジンがかかると、ショベルカーは動き始めました。

保楠田はショベルカーのアームを持ち上げると、河川敷を掘削し始めました。
ショベルカーのバケットは網状になっているので、大きな石は残るものの細かな土砂はバラパラと落ちていきます。

石を載せたバケットはぐるっと旋回すると、兎耳長が運転するダンプの荷台に下ろしました。

ガゴゴと大きな音を立て、石が荷台を転がりました。
この石をすくい、載せる作業を繰り返すこと数回。荷台は石でいっぱいになりました。

そうなるとダンプは動き出し、石を搬出に向かいました。
ダンプが走りだすと、保楠田は一旦ショベルカーを止めて下りてきました。

猫井川と保楠田は、ショベルカーが掘り返した穴の周りをジョレンとスコップで整えるのでした。

「掘るとすぐに水が溜まるね。まあ川だから当たり前だけど。
 どれくらいの深さを掘るんだっけ?」

「確か、1メートルくらいでよかったはずですよ。
 石しか取れないですけどね。」

「そうなると、この水で見えにくくなるかもしれないね。」

「うーん、少しそうかもしれませんね。」

掘った穴には濁った水たまりができています。

「水ポン掛けますか?」

猫井川が尋ねました。

「まあ、このまま続けて、様子を見よう。」

保楠田はそう答え、ショベルカーに乗り込むと兎耳長の戻りを待つことにしました。

30分後、兎耳長が戻ってくると再び石を載せる作業を行いました。
ショベルカーは再び穴の中にバケットを突っ込むと、石をかき出そうとしました。

しかし水が濁っているので、石がある場所がよくわかりません。
そのためバケットに入る石が少ないのでした。

「ダメだ。見えないね。
 水ポンをかけよう。」

保楠田がそう言うと、水中ポンプを取りに行くことにしました。

猫井川と保楠田が水中ポンプのところにいきました。
ショベルカーで水中ポンプを吊って、運ぼうとしたのですが、

「ありゃ、ワイヤーが短いのしかない。
 参ったな。」

保楠田はワイヤーを手に取ると、困った様子です。

「こんなワイヤーだけじゃ吊れないね。どうしようか。」

すると、猫井川が、

「これがあるみたいなので、これでつなぎますか?」

とシャックルを手に取り言いました。

「そうだね。それでワイヤーを継ぎ足そう。」

そうしてシャックルのネジを緩めると、ワイヤーのアイプライス通しをつなぐことにしたのでした。
保楠田がシャックルを開き、ワイヤーに通そうとして時でした。

手を滑らし、シャックルを落としてしまったのです。
シャックルは保楠田の足元に落ち、安全靴の鉄板に当たるとトーンと乾いた音を立てたのでした。

跳ね返ったシャックルは、保楠田のすねに当たってしまいました。

「あ、いて」

保楠田は弁慶の泣き所を打ったため、大きく顔をしかめたのでした。

「大丈夫ですか?」

猫井川が尋ねます。

「だ、大丈夫。でもちょっと待って。」

しばらく悶絶していた保楠田でしたが、再びシャックルを拾うとワイヤーをつなぎ、水中ポンプを持ち上げるのでした。

猫井川は、水たまりの側で水中ポンプの到着を待っているのでした。
そして、ほんのりとすねの痛みを想像するのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回のヒヤリ・ハットは玉掛けの時のことです。
玉掛けでは、シャックルという道具を使用しますが、このシャックルも正しく使わなければなりません。

方向を誤ると、荷重に負けてしまうこともあるのです。

そして、しっかり持たないと落としてしまうこともあります。
シャックルは鉄で出来ているので、足の上に落ちると、指くらいなら折れてしまいます。

しかし安全靴があったればこそ、被害を防ぐことができましたね。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット シャックルを留めようとしたら、足の上に落とした。
対策 1.安全靴を履く。
2.滑り止めのついた手袋を使う。

シャックルのなどの小さな道具は落としやすいです。
小さくとも鉄の塊ですから、安全靴でしっかりカバーする必要があるのです。

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