厚生労働省労働局長登録教習機関
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グラインダーは高速で歯(ディスク)を回転させる機械です。
どうやって回転させるかというと、電気を使ってです。
電気を使うということは、感電の危険があるということです。
感電は電気を使うときには、常につきまとう危険です。
通常使う分には、問題はありませんが、電気ケーブルに破損していたりすると感電します。
100Vの低圧でも命を奪うに十分な力を持っています。
今回は、ディスクグラインダーでの感電事故の事例を紹介し、その原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
今回は厚生労働省の労働事故事例かち参照にしています。
労働事故事例
溶接部分の研磨中、ディスクグラインダーの漏電によって感電
災害の発生した事業場は金属製品等の加工、修理等を行っており、溶接後、溶接の部分の研磨とサビ落としをディスクグラインダーを使用して行うものであった。
事業場の床面は、そのほとんどが鋼板で敷きつめられ、その上で作業が行われるようになっていた。 被災者が使用していたディスクグラインダーにはコード先端に漏電用アースの取り付けクリップが付いていたが、この漏電用アースは使用されていなかった。またこのグラインダーは感電防止のための二重絶縁構造のものではなかった。 事業場内の電気配線は、工場機械用に200Vの配線と、照明用の100Vの配線がなされていた。200Vの配線は工場内に設置された機械に接続されており、配電盤には漏電遮断装置が付いていた。 一方、100Vの配線は、工場内の照明用に使用されているほか、100V用の電動工具に接続され、漏電遮断装置は接続されていなかった。グラインダーはこのソケットより延長コードを介して100Vの電源をとっていた。 |
この事故の型は「感電」で、起因物は「電気工具(ディスクグラインダー)」です。
この事故は、グラインダーで溶接部分の研磨をしている時に起こりました。
グラインダーはこの時漏電しており、感電しました。
事故の時に使用していたグラインダーは、二重絶縁構造ではなく、アーククリップは使用されていませんでした。
さらに作業場の床は鉄板が敷かれていました。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この事故の原因は、グラインダーが漏電していたことです。
破損していたり、電源ケーブルの被覆が破損してなどの点検が十分できていませんでした。
また電源側に漏電しゃ断器がなかったこと、またグラインダーが二重絶縁構造でなく、さらにアースが付けられていなかったことが、漏電時に感電になってしまったのです。
工具だけでなく、鉄板の上で作業していたことが、感電被害を大きくしてしまったのでした。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | グラインダーが破損していたこと。 |
2 | 漏電しゃ断器、アースが取り付けられていなかったこと。 |
3 | 鉄板の上で作業していたこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
グラインダーなどの電動工具を使用する場合は、作業前に点検をしなければなりません。
点検ではグラインダーの試運転を行いますが、その前にケーブルの破損なども確認しなければなりません。
もし破損している箇所があれば、使用を控え、修理しなければなりません。
万が一漏電することに備え、電源側には漏電しゃ断器を取り付け、グラインダーにあるアースをとりつけなければなりません。
また工具は二重絶縁構造のものを使用になります。
作業場も鉄板敷であれば伝導性が高いため、感電しやすくなります。
そのため電動工具を使用する場所では、足元をゴムなどの絶縁構造にしたり、絶縁の靴や手袋を使用します。
対策をまとめてみます。
1 | 作業前の点検を行う。 |
2 | 二重絶縁構造の工具を使用し、漏電しゃ断器やアースを取り付ける。 |
3 | 絶縁の手袋や靴を着用する。 |
電動工具は電気で動きます。電気を使う以上問題になるのは、感電です。
感電を防ぐためには日々の点検が大切です。さらに万が一に備え漏電しゃ断器の取り付けやアースの取り付けを面倒がらずに行うのが重要です。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第333条< 電動機を有する機械又は器具で、移動式若しくは可搬式のもの、湿潤している場所などで使用する場合は、漏電による感電の危険を防止するため、感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。