厚生労働省労働局長登録教習機関
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粉じん作業とは、作業中に細かな粒子を発生させてしまう作業のことです。
細かな粒子が発生し、辺りに撒き散ってしまうと、呼吸器や肺に障害をもたらしてしまいます。
そのため局所排気装置、除じん装置などで、粉じんを除去して、作業環境を整える必要があるのです。
しかしせっかく粉じんを取り除く集めたとしても、その取り扱いを間違えると別の事故を招いてしまうこともあります。
その事故とは、集まった粉じんが元で起こる火災や爆発です。
今回は、粉じんによる火災事故事例を紹介し、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
今回は厚生労働省の労働事故事例かち参照にしています。
労働事故事例
木材加工工場の集じん装置で火災が発生し火傷
この災害は、木材加工工場の木粉を集める集じん装置で火災が発生し、作業者2人が火傷を負ったものである。災害発生当日、突然、工場内の集じん装置から爆発音が起こり、集じん装置から炎が上がった。
当該集じん装置は、木材加工を行うベルトサンダーにより発生した木粉を集め、集じん装置下部のスクリューコンベアを経由して、別のタンクに木粉を運ぶ構造であった。 なお、当該工場では、摩擦熱が発生する可能性が高いスクリューコンベアを使用する集じん装置等の機械設備の発火源対策が不十分であり、火災発生に備えた消火体制や連絡体制も定めていなかった。 |
NO.101213
この事故の型は「火災」で、起因物は「集じん設備」です。
この事故は、木材加工工場の集じん装置で火災が起こったものです。
木材の加工で発生した粉じんを集じん装置で集め、その粉じんを別のタンクに運ぶとき、機械の摩擦熱で火災が発生しました。
この機械では、発火源対策や火災時の対策も不十分でした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この工場では、木材加工の際に発生する粉じん(木粉)を集める装置はありました。
しかし集じん装置下部のスクリューコンベアが摩擦熱を発生させるにも関わらず、使用されていたことから集じん装置そのものに問題があったといえます。堆積した粉じんが着火しないような発火源対策が不十分であったことは間違いありません。
また作業者に粉じんの堆積状態などの点検や、危険性の確認などの安全教育がされていなかったことも問題でした。
さらに火災発生時の消火体制や連絡体制も不十分だったようです。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 集じん装置の発火源対策が不十分だったこと。 |
2 | 作業者の安全教育が行われていなかったこと。 |
3 | 火災発生時の体制が不十分だったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
何よりの対策は、集じん装置が火災や爆発が起こらないような仕組みにすることです。
粉じんが堆積する場所にスクリューコンベアのような摩擦熱が発生する装置を使用しないことです。摩擦熱が発生しないような装置にしなければなりません。
また木材加工作業において、安全衛生教育をしっかり行う必要があります。
そして火災に備え消火設備などを用意しておく必要があります。そして作業者に避難訓練などを行う必要もあります。
対策をまとめてみます。
1 | 集じん設備は発火源対策を行う。 |
2 | 作業者に安全教育を行う。 |
3 | 火災発生に備え、消火設備を設置し、避難訓練などを行う。 |
粉じん作業では、集じん、除じん設備を備えます。
しかし粉じんを集めただけでは、この事故のようなことも起こるのです。
そのため、火災対策や爆発対策も考えなければなりません。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第279条 危険物などがあり、爆発又は火災が生ずるおそれのある場所においては、火気を使用してはならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。