○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

鼠川、飛来するクギが顔をかすめる

entry-660

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第87話「鼠川、飛来するクギが顔をかすめる」

鼠川は普段は、猫井川の教育係として一緒の現場に行くことも多いのですが、今日は別々の現場に行くことになりました。
羊井が担当している現場の手伝いとして、参加することになったのでした。

現場に着くと、羊井が鼠川に今日の仕事についての説明をしました。

「鼠川さん、おはようございます。
 来てくれてありがとうございます。

 今日の仕事なんですけど、型枠を作って欲しいんですよ。
 コンパネはあっちにあります。図面はこれです。」

図面を受け取りながら、鼠川は、

「わかった。コンパネを切って、桟木をつけていけばいいんだな。」

「ええ、お願いします。
 牛黒さんにやってもらおうと思っていたのですけど、ちょっと別のことをやってもらうので。」

「そうか。型枠は全く手つかずか?」

「ほとんどやってないですね。それほど数はないから、現場で加工しようと思いまして。」

「よし、わかった。
 それじゃ、はじめて行くよ。」

やることを確認すると、鼠川は車から丸のこを取り出し、コンパネがある場所まで向かいました。
作業所に行くと、早速コンパネを切断する作業台を準備しました。

作業台の上にコンパネを置き、寸法を測り、墨を出していきました。
何枚ものコンパネを取り替え、墨出しすると、桟木の墨出しも行いました。

次は切断です。
作業台の上にコンパネを置き、クランプで固定すると、丸のこを動かし切断してきいました。
何枚ものコンパネと桟木を切断しました。

材料を切り終えると、次は組立です。
コンパネに補強となる桟木をクギで打ち付けていきます。

鼠川は、釘打ち機を持ってくると、パシュン、パシュンとクギを打っていきました。
こうして型枠を作っていくのでした。

こうして型枠作りが完了すると、羊井に報告しました。

「型枠終わったぞ。次はどうする?」

「ありがとうございます。今牛黒さんが、捨てコンの型枠を組んでいるので、てつだってもらっていいですか?」

「わかった。どうやら手間取ってそうだな。」

「そうなんですよ。もうすぐしたらコンクリートが来るので、ちょっと急ぎでお願いします。」

鼠川は牛黒の近くに行くと、

「どうだ?どこからやればいい?」

と聞きました。

「あ、そっちの一角をお願いします。」

牛黒は自分がやっている場所から少し離れた場所を指さしました。

そこには、墨出しはされているけれども、まだ型枠が組まれておらず、材料だけが置かれている状態でした。

「それじゃ、やっていくか。」

そうつぶやくと、鼠川は型枠の取り付けにかかっていきました。

型枠というものの、均しコンクリートようなので、複雑な形ではありません。
幅10センチのコンパネを墨にそって立て、固定するだけです。
そして、コンクリートに負けないように、桟木で押さえてやります。

桟木の固定は、付近のコンクリート構造物に取り付けることになりました。

「うーん、かましだけではグラグラするな。一応、クギで留めておくか。」

鼠川はコンクリートクギを取り出すと、桟木の端を構造物に固定させていきました。

カンカンと音を立て、型枠支持の桟木が固定されていきます。
その時、鼠川はクギの仮置きとして、近くの桟木の上に並べていました。

何本目かのクギを打ち込んだ時でした。
手元を誤り、クギを仮置きした桟木を勢いよく叩いてしまいした。

ヒュッと鼠川の顔をかすめる何か。
何か?と気になったのですが、そのまま進めていきました。

一通り固定作業が終わり、確認をしてみると、型枠に1本のクギが突き立っていました。

「何だこれ。」

よくよく見てみると、それはコンクリートクギでした。

どうやら先程顔の側をかすめたのは、このクギだったようです。
鼠川の顔の直ぐ側を通り、型枠に刺さったようでした。

「こんなに勢いよく刺さっていたのか。」

もし顔にあたっていたらと、想像するとぞっとして、何やら冷たい汗が背中をつたう鼠川なのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回は鼠川のヒヤリ・ハットですね。
工事現場では、クギを打ったりすることが多いです。普通にしていると、怪我などもないですが、自分に向かって飛んでこようものなら、刺さる可能性があります。

型枠に刺さるほどの勢いとなると、よほどなのですけども、跳ね飛んだクギが手や足に刺さる可能性はあるかもしれません。

クギをあちこちに置かないこと、それが大事なことになります。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット クギが跳ねて、顔をかすめた。
対策 1.くぎをあちこちに置かない。
2.顔を保護するシールドを着用する。

鼠川も歳のせいか、思いもよらぬ危険を引き寄せてしまうこともあるようです。
そろそろ猫井川の次なる仕事も進めていかないとです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA