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高所から墜落するという事故は、足場などを頻繁に使用する建設業で多いです。
確かに建設業で多いといえば、多いのですが、当然それ以外の業種でも発生しています。
工場作業でも、天井付近に設置されているキャットワークを通行するなどがあるので、高所作業と無縁ではありません。
高所があれば、その側には墜落の危険があります。
工場内でも墜落や転落の危険は、あるのです。
千葉県袖ケ浦市で、工場内で墜落する事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
工場で28メートル転落か、男性作業員が死亡 (平成28年5月5日)
5日午前、千葉県袖ヶ浦市の工場で男性作業員が倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。高さおよそ28メートルの場所にある通路から転落したとみられています。
5日午前9時半ごろ、袖ヶ浦市北袖の工場で男性作業員が倒れていると消防に通報がありました。消防が駆けつけたところ、男性は意識不明の状態で、その後、搬送先の病院で死亡が確認されました。 死亡したのは、工場の設備を補修する会社に勤める20代の男性で、当時、原材料を保管する建物にかけられた高さおよそ28メートルの通路で作業の下見をしていたということです。 「ドスン」という音がした後に男性が地面に倒れているのが見つかったことなどから、警察は誤って転落した可能性もあるとみて、事故の原因を詳しく調べています。 |
この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「通路」です。
この事故は、工場設備の補修工事で、高さ28メートルの通路で作業の下見をしている時に起こりました。
通路は原材料を保管する建物に掛けられた通路ということなので、別途足場を組んだのか、元からあったものなのかがはっきりしません。
下見ということなので、元々あった通路なのでは、推測し、検討したいと思います。
何が原因で墜落したのかは、記事からは読み取れませんが、28メートルの高さから地上にたたきつけられると、体は無事ではすまないのは確かです。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
事故は作業者が高さ28メートルの通路からの落ちてしまったことで起こりました。
この通路が備え付けのものであったならば、おそらく幅も40センチ以上、手すりなどの墜落防止設備も備えていたのではないかと推測されます。
しかし、手すりが外れている箇所があったり、床に穴が空いていたなどの不備があった可能性はあります。
設備に問題がなかったとすると、作業の仕方に問題があったのかもしれません。
墜落という結果になりましたので、この作業者は安全帯を使用してなかったのではないかと思われます。
調査の際、通路から身を乗り出すような格好をしていれば、墜落の危険は非常に高かったのではないでしょうか。
この通路は建物に掛けられてもののようなので、屋外にあったものと推測されます。事故当時の天候、特に風が強かったならば、体のバランスを崩す原因になったのではないでしょうか。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 通路の設備に不備があったこと。 |
2 | 安全帯を使用していなかったこと。 |
3 | 強風に煽られたこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
通路には墜落を防止するための手すりなどが必要です。しかしただ付いているだけではダメで、常に機能しなければなりません。そのため常日頃から点検しなければなりません。
また作業前にも、危険がないことを確認しなければなりません。
作業時には、安全帯を着けて、フックもしっかり掛けなければなりません。
特に身を乗り出すようなことがあるときは、安全帯は必須です。
強風が吹いているようなときは、高所での作業は控えなければなりません。
地上でそれほど強くないと感じていても、高所に行くと体が煽られることもよくあります。
対策をまとめてみます。
1 | 作業前に通路の点検を行う。 |
2 | 安全帯を使用する。 |
3 | 強風時には、高所作業を控える。 |
高所に行くことは、常に墜落のリスクが伴います。
本作業前の調査や下見の段階でも、
必ず安全帯を使い、墜落防止をしましょう。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第518条 高さが2メートル以上の箇所で作業を行なう場合は、足場などの作業床を設けなければならない。 |
第519条 高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない。 |
第520条 労働者は、安全帯等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。 |
第521条 高さが2メートル以上の箇所で作業を行なう場合で、労働者に安全帯等を使用させるときは、安全帯等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。