コラム

重いものを取り扱う場所にも色々ありますが、その１つが港湾でしょう。
港湾では船で移送されていた荷物がコンテナに詰められ運ばれます。

コンテナの移送時には、荷役運搬機械やクレーンを使うのです。

これらの機械は、重い荷物を持ち上げる作業です。
重い物が地面から離れている状態なので、もし落下しようものなら、大事故になります。

取り扱う荷物１つ１つが、もし落下すると致命的になる。港湾作業での注意点であると言えます。

横浜でコンテナが落下し、作業者が下敷きになのという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

コンテナの下敷きで作業員死亡　機械の操作ミスか （平成２８年５月３日）

３日午後２時１０分ごろ、横浜市中区本牧ふ頭で、コンテナを船に積むための準備作業をしていた作業者が、重さ約４トンのコンテナの下敷きになり、搬送先の病院で死亡が確認された。 山手署によると、一緒に作業していた作業員が荷役機械を使って持ち上げたコンテナの下部に、被災者が器具を取り付けようとしていたところ、下敷きになった。 同署は機械の操作ミスとみて詳しい事故原因を調べる。

日刊スポーツ（記事リンク切れ）

この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「コンテナ」です。

この事故は、コンテナの移送作業中に起こりました。
コンテナを荷役機械で運んでいたところ、コンテナの下敷きになったものです。

港湾での荷役機械というと、まずフォークリフトでしょう。それ以外の機械ならストラドルキャリア、リーチスタッカーといったものかもしれません。いずれにせよコンテナを持ち上げて、運ぶ機械です。

事故はコンテナを持ち上げて、その下で作業している時に起こりました。
コンテナの下に器具を取り付けようとした時、何らかの原因でコンテナが落下し、作業者が下敷きになったのでした。

それでは、原因を推測していきます。

事故原因の推測

この事故の直接的な原因として、記事では機械の操作ミスではとしています。
荷物の下に作業者がいたときに、何らかの操作を行い、コンテナが落ちてしまったようです。

しかし元はというと、持ち上げた荷の下で作業していたことが原因と言えます。
荷役運搬機械の荷の下に入ってはいけません。
コンテナの下に器具をつけるにしても、作業方法に問題があったといえそうです。

また、荷役運搬機械の作業中は作業指揮者が必要です。
この作業では、運転者と作業者以外に指揮者はいなかったようです。

持ち上げた荷物の下に入り込むなどの作業方法を行うなど、安全な作業計画が定められていなかったとこが事故を招いてしまったといえそうです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

１	荷役運搬機械が持ち上げた荷物の下に作業者はいたこと。
２	作業指揮者がいなかったこと。
３	作業計画が定められていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

対策の検討

まず、荷役運搬機械が持ち上げた荷物の下には入ってはいけません。
荷の下に器具を取り付ける必要がある場合は、機械で持ち上げたままにするのではなく、どこかに仮置きするなどします。
仮置きといっても堅固な場所でなければなりません。そのような崩れる恐れがない場所に置き、下に入り込んで作業をします。

つまり確実に落下しない状態を確保して、作業するのです。またこのような作業をさせるのではなく、安全な作業を計画することが重要です。そして荷役運搬機械の作業では、指揮者に合図させなければなりません。

対策をまとめてみます。

１	持ち上げた荷物の下に入らない。
２	安全な作業計画を作る。
３	作業指揮者を選任し、合図させる。

荷役運搬機械で持ち上げた荷物の下に入ってはいけません。
少しバランスを崩すだけでも、下敷きになるからです。

そのためには安全な作業計画を作成することが必要です。

違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第151条の9 車両系荷役運搬機械等のフォークなどに載せている、荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。 修理などで、立ち入る場合は、安全ブロックなどを使用する。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に荷役運搬機械を使用するための措置