厚生労働省労働局長登録教習機関
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毎年7月の第1週は、安全週間です。そして6月いっぱいはその準備期間になります。
大体安全週間の準備期間のこの時期に、昨年の労災状況の統計がまとめられて、公表されます。
先日、平成27年度の労災統計が発表されました。
さて、今回の統計には非常に目を引くことがあります。
それは、労災による死亡者が、1000人を切ったことです。
これは統計を採り出して以来、初めてのことです。
平成27年度の労災死亡者は、972人。
一昨年の平成26年度の死亡者は、1,057人でしたので、85人減です。
また労災事故全体も減少しており、休業4日以上の事故は116,311人です。
これを平成26年度の119,535人と比較すると、3,224人減です。
3人以上が巻き込まれる重大事故も14件減りました。
労災事故自体が減少に転じたと言えそうです。
特に目覚ましく死亡者が減少したのが、建設業です。
平成26年377人だったのが、327人となり、50人も少なくなっています。
しかし依然として、死亡者の約30%を占めており、比率は高いと言えます。
次いで大きく災害を減らしたのは製造業です。平成26年度180人から150人となり、30人も少なくなってきています。
一方で、あまり変化の見られない業種もあります。
それは、第3次産業といわれるものです。具体的には小売業や飲食業などのサービス業です。
こちらの死亡者は、平成26年259人から248人と、やや減という感じです。
社会福祉業に至っては、年々増加傾向です。
第3次産業は、休業4日以上の労災については、全体の約半数を占めるほどになっています。
比較的対策などが進んでいないのか、足踏み状態です。
昨年はなぜ減ったか |
第3次産業はともかく、建設業などではなぜ災害が減ったのでしょうか。
みんなの安全意識が高まったから、といいたいところですが、それは1年やそこらで劇的に変わるものではありません。
もちろん一定の効果はあったはずですけど。
事故の型別で比較してみます。
事故の型 | 平成26年度 | 平成27年度 | 増減 |
墜落・転落 | 263人 | 248人 | -15人 |
交通事故(路上) | 232人 | 189人 | -43人 |
はさまれ・巻き込まれ | 151人 | 128人 | -23人 |
激突され | 97人 | 67人 | -30人 |
崩壊・倒壊 | 58人 | 65人 | +7人 |
その他 | 256人 | 241人 | -15人 |
顕著なのが、交通事故と激突されですね。
つまり重機事故などの減少が大きく貢献しているようです。
建設業では、ショベルカーなどの重機をよく使用しているので、接触事故が減ったことが大きいのかもしれません。
重機作業中の立入禁止、合図者の徹底などを行うのが増えていたならば、理想なんですけども。
足場の法改正のあった墜落・転落はやや減なので、法改正が劇的に効果を発揮したわけではなさそうです。
また東北での工事も一段落しつつあり、仕事が落ち着いてきたことも、建設業での事故減少に関係あるかしれません。
しかし熊本地震により、今後は九州での復旧、復興作業が増えてくるため、事故は増えるかもしれません。
労災事故は長期的には右肩下がりではあります。
しかし平成26年度は25年度に比較し、災害数は増えました。ですから、もしかすると今年はまた1000人台に戻る可能性もあります。
なるべくなら、災害は減らしていきたいもの。
去年、効果のあった災害防止対策もたくさんあるはず。
私もそんな情報をゲットしたら、すぐに公開したいと思いますので、今年も事故が減るといいな。