厚生労働省労働局長登録教習機関
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安衛法の目的は、労働者が安全で健康的に働けるようにすることです。
しかしどんなに注意しようとしても、そもそも作業自体が危険で有害なものもあります。
建設業の重機作業や高所作業は、危険を承知で行う作業といえます。
同様に有害な環境で作業せざるを得ないこともあります。
例を挙げると、福島第一原発事故に伴う除染作業など、危険極まりないけど、やらなければならない作業と言えます。
どんなに有害な環境で作業するといっても、出来る限り安全で衛生的な環境を作ることが重要ですし、事業者はそういった取り組みをすることが求められています。
衛生管理は、健康的に作業するために重要なものなのです。
安全と同様、衛生についても安衛則では、多くの条文を割いています。
【安衛則】
第3編 衛生基準
第1章 有害な作業環境 (有害原因の除去) |
過酷な環境で行わなければ、ならない作業はあります。
トンネル工事では地中にいなければなりません。
低酸素の場所もあれば、有毒ガスが充満しているところ、また騒音が溢れている場所。
こういった場所でも、作業者は作業をすることがあります。
このような環境で、何の対策もなければ、健康を害します。
作業者にとって非常に辛いものですし、リスクが大きすぎます。
作業は必要でしょうが、何の手立てもなく放置していいものではないでしょう。
何らかの対策が必要です。
有害な作業場では、その原因を除去する措置をとらなければなりません。
有害な作業場とは、こんなのがあります。
・有害物の取扱い
・ガス、蒸気、粉じん
・有害な光線または超音波
・騒音または振動
・病原体に汚染される
など
いずれも人体に多大な影響をあたえる環境です。
除去する措置にはこんな手段があります。
・有害物を害の小さい代替物にする
・作業の方法を見直す。
・機械等の改善
など
とにかく作業者に、害を及ぼさないよう可能な限り有害物を取り除くことが重要なのです。
(ガス等の発散の抑制等) 第577条 事業者は、ガス、蒸気又は粉じんを発散する屋内作業場においては、 当該屋内作業場における空気中のガス、蒸気又は粉じんの含有濃度が有害な 程度にならないようにするため、発散源を密閉する設備、局所排気装置 又は全体換気装置を設ける等必要な措置を講じなければならない。 |
有害な環境としては、ガスや蒸気、粉じんが満ちているところがあります。
粉じんなどを吸い続けると、じん肺など健康を害してしまいます。
そのため、これらは取り除くことが重要です。
ガス、蒸気、粉じんの濃度が高く有害な環境では、発散源の密閉、局所排気装置、全体換気装置などの措置をとらなければなりません。
一番いいのは密閉するなどして、発散させないことです。
それができない場合は、局所排気装置で発生と同時に吸い取ってやることです。
全体換気装置は、いわゆる換気扇なので排出効果は薄いため、補助という感じです。
排気装置を使うときは、なるべく局所排気装置かプッシュプル型排気装置を使うようにしましょう。
(内燃機関の使用禁止) 第578条 事業者は、坑、井筒、潜函、タンク又は船倉の内部その他の場所で、自然換気が 不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない。 ただし、当該内燃機関の排気ガスによる健康障害を防止するため当該場所を 換気するときは、この限りでない。 |
狭く、密閉された場所で火を燃やすとどうなるか。
酸素が減って、呼吸もままならなくなりますよね。しかも低酸素のため、一酸化炭素も発生してしまいます。
密閉された換気の悪い場所で、燃焼させるのは危険なのです。
密閉された作業場というと、トンネルやタンクの内部などがあります。
このような場所では、風通しが悪く、自然換気が期待できません。
トンネルで、もしエンジンを使うと。
危険なのはわかりますよね。
杭や井筒、タンクの内部のなど自然換気が不十分な場所では、内燃機関がある機械を使ってはいけません。
内燃機関はエンジンです。当然排気ガスも出すので密閉された場所で使用するのは危険なのです。
使う場合は、換気装置をつけるなどの対先が必要です。
内燃機関の排気ガスが、作業者の健康を害さない程度に換気は必要なのです。
有害な環境、作業は多々ありますが、その有害物を最小にして作業させることが求められるのです。
まとめ。
【安衛則】
第576条 有害な作業場においては、その原因を除去する措置を講じなければならない。 |
第577条 ガス、蒸気又は粉じんを発散する屋内作業場においては、換気装置を設ける等必要な措置を講じなければならない。 |
第578条 自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない。 |