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産業用機械やロボットは人の力よりも遥かに強い力を持っています。
そう考えると、機械の近くで作業するということは、常に機械の脅威に晒されているともいえます
。
とはいうものの、確かに大きな力があるのですが、通常はカバーや囲いを取り付けられているので、脅威にさらされることは少ないです。
しかしもしカバーを乗り越え、機械に近づき過ぎると、機械に巻き込まれることもあるのです。
機械の力に巻き込まれると、人の体は用意に壊されてしまいます。
埼玉県深谷市で、ペットボトルの圧縮作業中に巻き込まれるという事故があります。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
プレス機に頭挟まれ、女性死亡 ペットボトルの圧縮作業中 (平成28年6月1日)
1日午前10時40分ごろ、埼玉県深谷市長在家の産廃回収運搬業の敷地内で、ペットボトルの圧縮作業をしていたパート従業員がプレス機に頭を挟まれ、死亡した。
寄居署によると、プレス機にペットボトルを入れていた被災者が、何らかの原因で同機械に挟まれたという。 事故当時、敷地内には被災者と男性社長の2人がいたが、圧縮作業は1人が行っていた。周期的に発生するはずの機械音がしないことに社長が気付き、プレス機に近づいたところ、機械に挟まれている被災者を発見、119番した。同署で事故原因を調べている。 |
埼玉新聞
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「プレス機」です。
ペットボトルの圧縮作業を行った時、何らかの原因でプレス機に頭が挟まれてしまったというものです。
作業は、被災者1人で行っていました。
頭が挟まったということは、プレスする箇所に入り込んだということです。原因ははっきり分かりません。何か挟まっていたため取り除こうとしたのか、何かしらのメンテナンス、修理をしようとしたのかもしれません。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
なぜ機械に入りこんだのかは記事からは分かりませんが、挟まったものを取り除こうとしてたとものではないかと推測して、原因を検討していきます。
プレス機に頭が挟まれるということは、頭を機械の中に入れたということです。
この時、機械は停止していませんでした。
機械のメンテナンスや修理などを行う時、機械が動いたままの状態で行うと、稼動部に挟まれたり、巻き込まれたりするおそれがあるのです。
また1人で作業を行っていたことも、被害を大きくしてしまいました。誰も監視する人がいなかったからです。
修理などの手順が定めされていなかったことも、問題でした。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 機械を停止せずに、修理したこと。 |
2 | 1人で作業していたこと。 |
3 | 作業手順が定められていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
プレス機などの機械を修理したり、メンテナンスするときは、機械を停止して行わなければなりません。動いている機械の中に入るのは、危険なのです。原則として電源を切り、他の誰も電源を入れられないように施錠などの措置が必要です。
どうしても機械が停止できない場合は、プレス機が挟まらないような支持物を取り付けなければなりません。
また機械の操作の時、近くで社長が作業していたとのことですが、作業自体は1人で行っていました。そのため修理するときも1人で行うことになったのでした。もし側に人がいれば、監視することができたのでした。
機械に挟まったものを取り除くなどの作業を行う場合は、その方法や手順を決めなければなりせん。
その手順の中には、機械の停電についても書いておく必要があります。
対策をまとめてみます。
1 | 機械は停止してから、修理する。 |
2 | 1人作業は行わない。 |
3 | 作業方法、手順書を作成する。 |
機械の作業では、定常作業の時ではなく、修理などの非定常作業の時に危険が大きくなります。
非定常作業の時は、あらかじめ手順書を作り、1人で作業しないことです。
1人だと事故があった時、対応ができないからです。
何よりも機械に近づく時は、必ず停止しなければなりません。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第107条 機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止させなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。
第131条の2 動力プレスの金型の取付け、取外し、調整の作業を行う場合、体の一部が危険限界に入るときは、スライドが不意に下降することによることを防ぐため、安全ブロックなどを接地しなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。