厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第91話「猫井川、グラインダー粉じんに目がくらむ」 |
猫井川は、今度の工事の調査を行い、それを元に準備にかかりました。まずは図面を描くことからですが、これがなかなか進みません。 自分の席で頭に抱えながら唸っていました。 「あー、進まない。」 猫井川は唸っていました。 「どうだ、進んでいるか?」 「描いていますけど、難しいですね。」 「そうか、まあ時間には余裕があるから、がんばれや。」 「手伝ってくれませんか?」 「手が空いたらな。でもやれるところまで、1人でがんばれ。 「図面描いてますけど、時間はあります。 「そうか、1つ頼みたいことがあるだが。 「はい。先月特別教育を受けましたよ。」 「それじゃ、グラインダーは使えるな。 「寸切りを切るんですか?」 「そうだ。M20のを250ミリくらいの長さで切って欲しいんだが。 「50本ですか。かなり多いですね。 「いや、寸切りを買ってきてくれ。」 「わかりました。」 「頼むよ。」 こうして猫井川は、製図作業を一旦中止し、ボルト作りに向かいました。 材料となる寸切りを買うと、工場に行きました。 材料の準備ができると、グラインダーの準備をしました。 「新しいディスクも買っておいてよかった。」 先ほど寸切りを買った時に、ディスクをついでに買っておいたのでした。 「よし、それじゃ試運転しようかな。」 電源を入れると、スイッチを入れました。そしてそのまま数分間回したのでした。 「これで3分間くらい回したのかな。」 新しいディスクを取り替えた後の試運転をしっかり行うと、次は寸切りにポルト長に印を付けました。 「50本も切ると大変だ。」 50本もの寸法を書くと、いよいよ切断です。 手袋をはめると、グラインダーを寸切りに当てるとスイッチを入れました。 ギュイーンと大きな音が鳴ると、ガリガリと寸切りを切りはじめました。 1本、2本と切っていくと、当たりに金属を切断した時の独特な匂いが立ち、黒い煙がたちました。 「煙いな。」 猫井川はそう思いましたが、気にせず続けました。 10本、20本と切っていくと、煙もかなり立ちました。 「うーん、眼と鼻がしょぼしょぼする。」 さすがの猫井川もそう思いました。 「メガネとマスクしよ。」 いよいよ煙に辛くなった猫井川は、車に戻り、保護メガネと防じんマスクを取りに行きました。 「あー、煙たかった。空気がうまいなー」 呑気にそんなことを思うのでした。 その後、保護メガネと防じんマスクを着けて作業を再開し、1時間ほどで50本の寸切りを終えたのでした。 「おう、お疲れ。どうしたその顔は?真っ黒だぞ。」 犬尾沢は猫井川の顔を見て言いました。 「結構、粉じんが立ってしまって。辛かったので、途中からメガネとマスクしました。」 「グラインダーを使う時は、基本的にはメガネとマスクはしなきゃだめだぞ。」 「はい、こりました。」 そんな話をしながら、犬尾沢がポルトを袋から取り出すと、 「ん?」 と怪訝な顔をしました。 「これは切ってもらってるけど、バリが残ってるな。 せっかく終わったと思ったのに、手直しとはとがっかりする猫井川。 ボルトを受け取り、加工場に戻ろうとすると、背後から、 「保護具はきちんと着けろよ。」 と、犬尾沢のエールが投げられたのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回のヒヤリ・ハットやや地味な感じで、粉じんのヒヤリ・ハットですね。
グラインダーのディスクは、少しずつ壊れながら、金属を切ったり、磨いたりします。
ディスクが崩れる時、細かな粉じんが煙となって立ちます。
これは金属の粉じんです。吸込み続けるとじん肺など肺に障害をもたらします。
目に入ると目にもよくはありません。
また、もし運転中にディスクが割れたりすると、目に刺さったりします。
吸い込んだり、破片が目に刺さったりしないようには保護具を着けなければなりません。
保護具には、ゴーグルなどの保護メガネ、防じんマスクなどがあります。
ほんの小さな作業であっても、グラインダー作業では保護具が不可欠なのです。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 保護具なしで、グラインダー作業をしていたら、目がしょぼしょぼした。 |
対策 | 1.グラインダー作業は保護メガネと防じんマスクを着ける。 2.換気を行う。 |
グラインダーは誰でも使える機械です。簡単に見える作業だからこそ、侮らず保護具は着けなけれはなりません。