厚生労働省労働局長登録教習機関
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私は様々な現場に安全パトロールに伺う機会が多いです。
ほぼ建設業の現場なのですが内容は土木、建築、設備、規模としてはゼネコンの大きな現場から直轄の小さな現場まで見ます。
訪問するのは、外部のコンサルタントに依頼をされる会社なので、どこもしっかりと安全対策をされています。
是正するところや、より安全性を高めるためへの工夫などを話したりしています。
現場担当の方は真剣なので、必死に見て回ります。
そして全く指定する箇所がないと、焦ったりもします。本来ならそこまでの取り組みに対して賞賛べきことなのに、なんとも器の小さなことですが。
建設業の工事現場や製造業の工場などでは、大なり小なり安全衛生についての取り組みをされています。
その取り組みの1つが安全掲示です。
安全に関する掲示物には市販のもの、自作の物を含めて多数あります。
工事現場であれば、作業主任者、玉掛け点検色、ワイヤーの廃棄基準、クレーンの合図、足場の荷重制限などがあります。
クレーンの合図などは、法律で掲載が義務付けられているものですが、熱中症対策についてなどは、事業場のより安全意識を向上させる目的です。
この掲示ですが、使いようによってはより効果的になります。
それが、「安全の見える化」というものです。
危険を見える化、対策を見える化 |
見える化とは、近年流行っていますね。
ポイントとしては、問題を明確にして、共有することでしょうか。複雑で曖昧なものを、誰にでも理解できるようにするのも見える化の1つではないかと思います。
この見える化は、安全活動にも応用できるのではないでしょうか。
一例を上げると、足場の重量制限についてです。
多くの場合「1スパン250kgまで」などと掲示されています。しかし250kgとは、どれほどの重さでしょう?すぐにわかりますか?即座には浮かばないのではないでしょうか。
しかし作業者1人の重さを腰道具込みで80kgとして、4人以上乗るのは禁止と書かれていると、すぐに分かりますよね。
つまり曖昧なものに、明確な基準を設けてやることで、分かりやすくなるのです。
こういった掲示方法の工夫も見える化の1つではないでしょうか。
もう一例を上げると、今年の夏は猛暑が予想されているので、休憩と水分・塩分補給によほど注意しておかないと、熱中症にかかってしまいます。
もし、こまめに休憩と水分補給をしてくださいと指導しても、「こまめ」の解釈は人によって異なるかもしれません。
人によっては10分おきと考えるかもしれません。10分おきに仕事をししていたら仕事になりません。また2時間程度と考えている人ならば、捕球が間にあわず脱水状態になるかもしてれません。
こういった解釈の曖昧さを取り除くのも、管理者の責任です。
30分ないしは40分に5分休憩し、コップ1杯以上の水分と塩飴1つを摂ってくださいとルール化すると、明確です。さらに実行したかどうかも、見て分かります。
見える化で大事なことは、曖昧さを極力なくし、具体的な行動にすることです。
管理できるのは行動のみです。頭の中は、管理しようがありません。
見える化の本質は、仕事の見直しだと思います。
安全な作業体制になっているかなど見直し、作業者が確実に安全に作業できるように知恵を絞るのも管理者の務めではないでしょうか。
もちろん、これは私のようなパトロール員の責務でもあります。
私はパトロールに行くときも、講習を行うときも、自分に言い聞かせていることが、1つあります。
それは、「今日会う人、全てを事故にあわせない」というものです。
現場に到着するまでの間、車の中で声に出して、言い聞かせています。
今後ますます経験を積むと、ある種の慣れであったり、これくらいならいいかなと妥協してしまうところも出てきがちです。
私はすぐに調子にのる質なので、気を引き締めないと自戒しないとなのです。
アファーメーションというものがあります。簡単に言うと、自分自身への言い聞かせでしょうか。
自己啓発セミナーなどでは、「私はできる」、「私は幸福だ」などと言い続けろと教えられたりします。
この効果はともかく、「今日会う人、全てを事故にあわせない」というのは、私にとっての重要なアファーメーションになっていると思います。今から関わる現場や人に、全力を尽くそうとするモチベーションにもなりますし、手を抜くことで事故を招くかもしれないという戒めにもなっているのです。
安全に関わる仕事は、私には楽しくやりがいがありますが、一方で事故を防げなかった場合のことを考えると怖いですし、責任を感じます。
実現したいのは、少なくとも関わる人の事故は絶無にしたいことです。
そしてなるべくなら私が出来ることで、貢献したいと思います。
私は稚拙ながら安全啓発の掲示を作ったり、工夫をしたりするのが好きです。
安全見える化の手伝いも、私ができることの1つかなと思います。
でもまだまだ、知識を披露しているだけとか、無理やりアラ探しをしていることもあります。
とはいうものの、思いは1つ。
見える化を考え、ツール化することも事故を減らすことにつながるならば、やっていきます。
そして、今日も出会う人が今後ずっと無事故であることを実現していければと考えて、パトロールに向かいます。