厚生労働省労働局長登録教習機関
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荷物を扱う場所では、フォークリフトなどの機械で運搬することが多いです。
その時に注意が必要なのこととして、機械との接触です。
機械に接触すると人の体は、簡単に吹き飛ばされていまいます。
また、壁や別の機械、荷物などに挟まれてしまうこともあるのです。
周辺をよく見てというのはあるのですが、人と機械の間には、十分な距離が必要です。
栃木県那須塩原市の産廃処理施設で、機械の間に挟まれる事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
産廃処理工場で作業事故、男性死亡 (平成28年7月19日)
19日午後1時55分ごろ、那須塩原市鳥野目の産業廃棄物中間処理工場で、会社員男性がホイルローダーとアームロールの間に挟まれ、間もなく死亡した。
那須塩原署によると、工場通路で別の会社員が搬入された木くずをホイルローダーで運搬中、後退させた際に停止していたアームロールとの間に、64歳男性を挟んだ。同署で事故原因を調べている。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「荷役運搬機械」です。
アームロールとは、可動式コンテナを積んだトラックです。コンテナ部分が後方にスライドし、中身を降ろすことが出来る構造になっています。
ホイールローダとは、トラクターショベルというとイメージがつきやすくなるでしょうか?車体の前方に大きなバケットが付いていて、荷物の運搬に使用します。
被災者はバックしてきたホイールローダと、停車していたアームロールの間に挟まれてしまいました。
間もなく死亡が確認とあるので、スピードもそれなりに出ていたのではないかと思われます。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
まずホイールローダがバックしてきているところを通行しようとしていたことが問題です。
進行方向に入ることは危険極まりありません。
運転者も後ろの確認を怠っていたのか、死角に入っていたからかはわかりませんが、安全確認が不十分だったようです。
そして、誰も指揮する人がいなかったことが、機械と人との接近を許してしまいました。
また、作業計画や手順などが定められていなかった、または守られていなかったのではないでしょうか。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | ホイールローダの進路に入ったこと。 |
2 | 運転者が後ろを確認していいなかったこと。 |
3 | 作業計画や体制が不十分だったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
機械の近くで作業する場合は、接触しないように作業区画を分離しなければなりません。
機械の通路と作業者の通路が区分されているのは、接触を防止するためです。この区画があれば守ります。
機械に近接して作業する必要がある場合、合図を行い、運転者との意思疎通を行います。
よくグーパー運動というものがありますが、このような方法を使い、コミュニケーションします。
そして荷役運搬機械を用いて作業する場合は、作業指揮者が必要です。
作業指揮者は、危険行動をさせないように、十分に注意を払ってやる必要があるのです。
また作業計画、作業手順を作り、それを守ってもらわなければなりません。
確認のために、日頃から作業場の巡視等を行い、指導するのも大事です。
対策をまとめてみます。
1 | 機械と人の作業区画を分ける。 |
2 | 作業指揮者、合図者が監視する。 |
3 | 作業計画、手順を定め、守らせる。 |
機械と人が接近する作業に慣れていると、危険意識が薄くなります。
油断もしますが、接触すると大事故になるので、作業範囲内は立入禁止としなければなりません。
違反している法律 |
【安衛則】
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第151条の3 車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、あらかじめ作業場所を調査し、作業計画を作成し、作業すること。 |
第151条の4 車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、作業の指揮者を定めて、指揮させなければならない。 |
第151条の7 車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、接触するおそれのある場合は、誘導者を指名し、誘導させる。 |
第151条の8 車両系荷役運搬機械等について誘導者を置くときは、一定の合図を定めなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。