厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
手溶接にはいくつかの種類があります。
工事現場でよく使用されるのが、電気を使用したアーク溶接ではないでしょうか。
アーク溶接は鉄骨などの鉄溶接でよく使用されます。
しかし異種間金属を溶接したり、薄い金属を溶接するのは苦手です。
そのような溶接を行うときは、ガス溶接が向いています。
ガス溶接では、可燃性ガスを使います。このガスにはアセチレンなどがあります。
ガスは容器の中で保管しておかないと、すぐに拡散してなくなります。
そして溶接時に高温を発するものですから、取り扱いを誤ると大爆発を起こしかねません。
取り扱いには慎重さを要します。
そのためアセチレンなどを使用したガス溶接については、安衛則で規定されているのです。
【安衛則】
第6節 アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置
第1款 アセチレン溶接装置 (圧力の制限) |
アセチレンは気体のままでは、不安性なので、アセトンなどの形で容器に保管されています。
そのため、アセチレンガスのボンベのなかには、アセトンが入っています。
このボンベとトーチ、そして管などをあわせて、アセチレン溶接装置と呼ぶのです。
気体を保管している容器内は、加圧され、高い圧力になっています。圧力がかけられているので、バルブ・コックを開くと、ガスが勢いよく出てくるというわけです。
高い圧力がかけられていますが、上限があります。
アセチレン溶接装置で溶接などの作業を行うときは、ゲージ圧力で130Pa(パスカル)を超える圧力で使用してはいけません。
あまりに高い圧力だと、ガスが大量に噴出し、火災や爆発の危険が高くなるので、圧力調整が必要なのです。
アセチレンは非常に不安定な物質です。
そのため普段は、安定した物質で保管し、必要時にアセチレンを発生させます。
アセチレンを発生させる装置のことを、アセチレン発生器と呼びます。
主なアセチレン発生器は、カーバイド(炭化カルシウム)と水を反応させるものです。
化学式で書くとこんな感じでしょうか。
CaC2+2H2O → Ca(OH)2+C2H2
C2H2がアセチレンです。昔はカーバイドを使ったカーバイドランプというものも使われていました。
アセチレンは非常に燃えやすい物質ですので、発生器の取り扱いも注意が必要です。
アセチレン発生器は、専用の発生器室内に保管しなければなりません。
そしてこの発生器室が屋内にある場合は、爆発時に備え直上に階がなく、火気からも離しておきます。
また屋外に設ける場合は、開口部を他の建築物から1.5メートル以上離さなければなりません。
発生室は、爆発に備える必要があるのです。
発生器室を設ける場所には、爆発延焼が起こりにくいところにしなければなりません。
そして、位置だけでなく、構造にも決まりがあります。
発生器室は、爆発や延焼に備えた構造でなければなりません。
この構造としては、次のものです。
1.不燃性で、強度のある構造。
2.屋根や天井は薄鉄板などの軽量のもの。
3.排気管を設け、その開口部は出入口や窓などから1.5メートル以上離す。
4.出入り口の扉は鉄板か、不燃性の材料のものとする。
5.壁と発生器の間は、作業に必要な距離を取ること。
細かい数値も決められていますので、それらの基準を満たした構造でなければなりません。
屋根が軽量のものとは、爆発時の抜け道とするためですね。
(格納室) 第304条 事業者は、移動式のアセチレン溶接装置については、第302条第1項の規定にかかわらず、 これを使用しないときは、専用の格納室に収容しなければならない。 ただし、気鐘を分離し、発生器を洗浄した後保管するときは、この限りでない。 2 事業者は、前項の格納室については、木骨鉄板張、木骨スレート張等耐火性の 構造としなければならない。 |
大型のアセチレン発生器は発生器室に据え置きとなります。
しかし工事現場などに持ち運ぶ移動式のものもあります。
これら移動式のアセチレン溶接機も、取り扱いに注意が必要です。
移動式のアセチレン溶接機は、使用しない時は専用の格納室に収納しなければなりません。
ガスボンベなどは、この格納室に保管するということです。
この格納室も耐火性を備えたものでなければなりません。
アセチレンを用いたガス溶接は、火災や爆発の危険を伴うので、専用の部屋などで取り扱わなければならないのです。
まとめ。
【安衛則】
第301条 アセチレン溶接装置を 用いて金属の溶接、溶断又は加熱の作業を行うときは、ゲージ圧力130キロパスカルを超えてはならない。 |
第302条 アセチレン発生器は、専用の発生器室内に設けなければならない。 |
第303条 発生器室は、不燃性の材料を使用するなどの措置をとらなければならない。 |
、移動式のアセチレン溶接装置は、用の格納室に収容しなければならない。 |