厚生労働省労働局長登録教習機関
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ベルトコンベアーは物を運ぶ機械です。
作業によっては、コンベアーの側で作業することもあります。
もし重いものを運んでいて、ベルト部から落ちてしまうと、下敷きになる危険があります。
千葉県袖ケ浦市で、コンベアーからの落下物で作業者が下敷きになる事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
重石落下し男性死亡(平成28年8月17日)
17日午前8時45分ごろ、袖ケ浦市北袖の肥料製造会社で、ベルトコンベヤーに設置していた重石が落下し、作業中の下請け会社の社員が下敷きになった。病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。木更津署が事故原因を調べている。
同署によると、ベルトコンベヤーの連結部から落ちる原材料の燐鉱石の破片などをかき出す作業をしていた。重石(横約130センチ、高さ約70センチ、奥行き約70センチ)は、重さ約1トンのコンクリート製とみられ、ベルトのたるみを調節するために使われていた。ベルトが切れて高さ約3メートルから落下したという。 |
この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「ベルトコンベアー」です。
被害にあった作業者は、ベルトコンベアーの連接部で鉱石の破片を集める作業をしてました。
おそらく通常作業だったと思われます。
その作業の最中、ベルトのたるみを調節するために使用していた重石のコンクリートが落下し、作業者の上に落ちてしまいました。
原因はベルトが切れたことです。重石を載せられたベルトは摩耗していたのかもしれません。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この事故は、おそらく通常作業していた作業者の上に、重石が落下し、下敷きにしてしまったことです。
重石に使われていたコンクリートは、重量が約1トンありました。
長年、ベルトには常時1トンの荷重がかかっていました。その荷重はベルトを摩耗させていた可能性があります。
機械の点検時にベルトの状態まで見れていなかったかもしれません。
また重石は本来ベルトコンベアーに付属しているものではなかったと思われます。このような改造を行う場合に、リスクアセスメントをして安全対策を検討されていなかったのかもしれません。
作業者がいた場所も重石落下の範囲内だったので、作業方法も十分検討されていなかったのかもしれません。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | ベルトコンベアーの点検がされていなかったこと。 |
2 | 機械改造のリスクアセスメントを行っていなかったこと。 |
3 | 作業計画が不十分だったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
機械の点検は日常的に行う必要がありますが、それだけでなく定期的により綿密で大々的な点検も行う必要があります。このとき重石も下ろし、ベルトの状態なども確認する必要があります。
機械に改造を加えると、どのような危険があるのかを確認する必要があります。そのためにはリスクアセスメントを行います。リスクアセスメントを行ったのであれば、ベルトが切れた場合の重石落下を防止する対策が検討できたかもしれません。
また作業方法や作業場所を検討し、危険箇所には入らないようにするなどの対策が重要です。
対策をまとめてみます。
1 | 定期的に機械の点検を行う。 |
2 | 機械の設置、改造時はリスクアセスメントを置こな。 |
3 | 作業方法、作業場所を決める。 |
通常作業で危険に巻き込まれるのは、作業の仕方自体に問題があります。
リスクアセスメントを行い、危険に知り、対策することが何よりも大切です。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第102条 通路又は作業箇所の上にあるベルトの、ベルトの切断による危険の防止のため、下方に囲いを設けなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。