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作業中、意図しないものが頭上から降ってくるという事故は、予期していない分だけ避けることは困難です。しかし頭上からの落下物のリスクがある作業場というものは、少なくありません。
トンネルなどの坑内作業や、足場の作業、またクレーンを使用した吊り荷作業でも頭上からの危険があります。
また地盤が崩れたりして、埋まってしまうことも上から降ってくる危険といえます。
このような事故については、現場の確認と対策、そしてリスクアセスメントなどで、十分な危険対処が必要になります。
滋賀県大津市で、地下で作業中に、上からコンクリートが落下し、下敷きになるという事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
コンクリの下敷き、配管作業中に死亡(平成28年8月18日)
18日午前10時ごろ、大津市のマンション敷地内で、京都市の配管工の男性が工事用に掘った穴の中で、崩れ落ちてきたコンクリートの下敷きになった。男性は病院に運ばれたが間もなく死亡した。
大津署によると、男性はマンションの古い配水管を交換する工事を請け負った会社の仕事で作業中、マンションの基礎部分とみられるコンクリートが穴に落ちてきたという。 |
この事故の型は「崩壊・倒壊」で、起因物は「コンクリート構造物」です。
マンションの古い配水管を取り替えるために、地中で作業していたところ、マンション基礎のコンクリートが落ち、その下敷きになった事故でした。
マンションの解体工事ではありませんでした。
おそらく地下にあった配管の工事中に起こった事故といえます。そして基礎コンリートの近くを掘削したために、コンクリートの一部が崩れ落ちたようです。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
事故の直接的な原因は、作業者の上に崩れたコンクリートの一部が落ちてきたことです。
掘削時の衝撃でコンクリートが崩れたのかもしれませんし、以前からコンクリート自体にき裂などがあったのかもしれません。
作業者が穴の中で作業する前に、掘削面周辺の調査が十分でなかったため、危険が察知できなかったのではないでしょうか。
またコンクリート以外にも、土砂崩れすることを防ぐための土止め支保工がされていたかも不明です。
おそらく1メートルから2メートルまでの深さの掘削だったとでしょうから、土止め支保工も検討されていたと思いますが、コンクリート片の落下を防ぐことは出来なかったようです。
さらに安全を確保した作業方法やKYなどの準備や作業中の管理も適切ではなかった可能性も考えられます。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 掘削部の危険調査が不十分だったこと。 |
2 | 土止め支保工などの崩落対策がなかったこと。 |
3 | 作業計画、手順、KYなどが不十分だったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
コンクリート基礎の一部が崩れ落ちる場所で作業していたので、建物に近い場所での作業であったと思われます。
そのような場所で掘削するのですから、作業着手前に作業方法や想定される危険などを検討し、準備して手を付けなければなりません
実際に掘削した後も、現場で危険が想定される箇所があれば、対処することが重要です。
例えば、コンクリートにき裂があり、崩れることが想定される場合は、作業者が穴に入る前に取り除いたりします。
調査などで、掘削面からの崩落が想定される場合は、土止め支保工を行います。
設置に時間と費用はかかりますが、安全な作業には変えられません。
しかし急に土止め支保工の材料を揃えることは無理なので、作業計画を作る段階で、検討しておく必要があります。
また作業当日は、KYなどで想定される危険とその対策について十分検討することが重要です。
対策をまとめてみます。
1 | 作業前には安全対策を盛り込んだ、作業計画を作成する。 |
2 | 土止め支保工などの崩落対策を行う。 |
3 | 崩れ落ちる可能性がある場所は、作業者が入る前に調査する。 |
地下を掘る作業では、土砂崩壊も注意しなければなりませんが、同時に付近の構造物が崩れ落ちることも想定し、対策することが大切です。
掘削箇所に入ると逃げ場所がありません。そのため事前に危険要因を取り除くのが重要なのです。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第361条 明り掘削の作業を行なう場合において、地山の崩壊等の危険を及ぼすおそれのあるときは、 あらかじめ、土止め支保工などの措置をとらなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。