○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川、ダンプのガタガタに翻弄され

blog-784

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第103話「猫井川、ダンプのガタガタに翻弄され」

工事はまずは基礎工ということで、地盤改良を行っていきます。
ひとまずオーガで試掘は行い、土質などの確認は無事終わりました。
次は本格的な地盤改良です。

その前に基礎地盤まで下げる必要があるので、まずは掘削です。
オーガはそれまで一休み。巨体を作業場の端に寄せて、鎮座していたのでした。

掘削は、保楠田がショベルカーに乗り行うことになりました。
猫井川と鼠川は深さの確認をしたり、ショベルカーが掘り終えた場所の床均しをするのでした。

ショベルカーは端からどんどん掘っていきます。

猫井川は、深さを確認しながら指示をするのでした。

「もう50掘って。」

指示に従い、保楠田はショベルカーのバケットを少し地面に差し込み、ソロリソロリと表面を削るのでした。

掘削を終えた場所では、猫井川が鼠川はトンボやジョレンで床均しをしていくのでした。

ショベルカーが掘り出した土は、ダンプで場外に運び出されていきます。
ダンプに乗っているのは、兎耳長でした。

ショベルカーは10回程度土を載せると、荷台にいっぱいになります。
そうなるとダンプは場外の土砂の仮置き場まで運んでいくのでした。

仮置き場は、そう遠くない場所にあるのでしたが、1台のダンプで行き来するので、なかなかスムーズに進まないのでした。

「1台では進まないですね。」

「そうだな。この広さだからな。せめてもう2〜3台のダンプがないとだな。」

「そうですよね。
 犬尾沢さんに言ったんですけど、人手がなくて。今は別の業者に聞いてるですけど。」

「兎耳長も1人でやるのは疲れてしまうからな。
 運搬先も運んだ土砂を整地しないとならんし。
 早く、どこか頼めるところを探すのが大事だな。」

「ええ、俺の方でも聞いてみますけど、鼠川さんどこか知りません?」

「そうだな、いくつか知っているところを聞いてみるよ。」

2人がそんな話をしていたところ、兎耳長のダンプが場内に戻ってきました。

ダンプはまた土を積み込むと、また運び出していくのでした。
保楠田は、土を積み終えると、新たな場所を掘り返すのでした。

午前中の作業を終えると、兎耳長もダンプを降り、休憩所に来ました。

「ちょっと疲れたよ。」

兎耳長が開口一番、そう言いました。

「ずっとダンプに乗っていますからね。」

猫井川が言います。

「午後から交代します?」

「出来たら、そうして欲しいかも。」

「では、鼠川さん行けます?」

「いや、わしもきついな。」

「そうですか。じゃあ俺がやりましょうか。
 写真とかは、鼠川さんお願いできますか?」

「ああ、分かった。」

こうして、午後から役割を替えたのでした。

午後になると、猫井川はダンプに乗り込むと土砂を運び始めたのでした。

舗装されていない道走り、仮置き場まで運搬します。

そして午前中いっぱい兎耳長が運び込んだ土の山の近くに、土を下ろしました。

「ああ、これはこっちにも1台ショベルカーが必要だな。」

猫井川はそんな思いをしつつ、また引き戻っていくのでした。

こうして何度も往復をするのでした。

ダンプが幾度となく通った道は、深い轍になっています。
この轍に猫井川のダンプが入り込んだときでした。

轍との段差にタイヤがとられ、車体はガタガタするのでした。
運転席の猫井川は、時折体を浮かせてしまいます。

「うー、兎耳長さんがきついといった理由が分かる。」

ちょっと気持ち悪くなる猫井川でした。

午後いっぱいダンプの運転をした猫井川は、よろよろと運転席から降りてきました。

「どうした?」

鼠川が聞きます。

「ちょっと仮置き場の進入路がガタガタだったので、揺られすぎて少し気持ち悪いですね。」

「そんなものか。そんな状態だったら、鉄板を敷いたほうがいいんじゃないか?」

「そうですね。地盤がかなり緩いので、鉄板は必要かと思うので、野虎さんに相談してみます。」

思いもよらぬ土砂の運搬の問題が起こり、ややフラフラする頭で翻弄されてしまった猫井川なのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回のヒヤリハットは、ダンプでの土砂運搬です。

ショベルカーなどで掘削した土砂は、ダンプに積み込むと、場外に運び出されることが多いです。
ダンプは、道路以外では、非整地の場所を走ります。

雨の後だと、深い轍が刻まれたガタガタ道です。
そのため、車体も揺れます。運転者は多少の揺れには慣れているでしょうが、長時間乗っていると車酔いすることもあります。

あまりにひどいガタガタになると、運転するのも危険になる可能性もあります。

必要に応じて、整地したり、鉄板養生などを行うことが必要ですね。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット ダンプで運転していたら、轍で車体が揺れ、気持ち悪くなった。
対策 1.整地する。
2.鉄板養生する。

大量の土砂運搬の際には、複数のダンプで行い、可能であれば、運転者の交代要員がいるといいですね。

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