厚生労働省労働局長登録教習機関
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今年の4月に新名神工事で大きな事故がありました。
大きなニュースになったので、記憶にある方も多いと思います。
この事故は新たな橋梁を掛けて作業していたところ、これが落下。
2人の方が亡くなり、8人の方が重軽傷を負われました。
落下の瞬間は、カメラに捉えられていたため、何度も放映されました。
事故の後始末で、しばらく通行止めになり、通行できるようになるのに約3ヶ月かかりました。
この新名神に関する工事で、死亡事故が起こってしまいました。
4月とは別の場所ですが、大きの事故です。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
新名神工事でまた作業員死亡 20メートル転落 (平成28年10月3日)
3日午後11時40分ごろ、兵庫県猪名川町広根の新名神高速道路の広根第二高架橋工事現場で、足場を撤去していた建設作業員が約20メートル下の川に転落した。病院に運ばれたが、全身を強く打っており、まもなく死亡が確認された。
県警によると事故当時、命綱を着けておらず、乗っていたパネルが二つ折りになった際、放り出されたという。県警は転落原因や現場の安全管理態勢について調べている。 新名神高速の建設工事をめぐっては4月、神戸市北区で橋桁が約15メートル下の国道176号に落下し、作業員10人が死傷するなどの事故が相次いでいる。 |
この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「足場」です。
橋の工事での足場は、吊り足場というものを使用します。
これは、チェーンで足場板を吊って支えるものです。
橋は川や谷などを跨ぐものなので、足場の組立て解体作業は常に高所作業となり、墜落の危険性がつきまといます。
事故は足場の作業床、パネルタイプのものと思われます、をクレーン撤去しているときに、投げ出されてしまいました。
高所作業では、安全帯を使用しなければなりませんが、この作業者は安全帯を使用していませんでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
別の記事によると、撤去して持ち上げようとしていたパネルに乗っていたとの文がありました。
クレーンで吊っている荷物に乗ることなどは論外ですが、少なくとも近くにいたことは間違いなさそうです。
もしかすると、足を掛けていたのかもしれません。
いずれにせよ、クレーンで運び下ろされるパネルに接近した位置にいたことは間違いなさそうです。
吊り荷に接近していると、荷触れに跳ね飛ばされる危険があります。
特に高所では、そのまま墜落してしまいます。
そして、安全帯を使用していないことが、墜落に至ってしまった原因といえます。
保護具の使用状況の監視は、作業主任者の職務ですが、務めが十分に果たされていなかったのではないでしょうか。
何より、この作業の進め方自体に大きな問題があったといえます。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 足場の撤去作業の計画・手順が決められていなかったこと。 |
2 | 安全帯を使用せず作業していたこと。 |
3 | 作業主任者が職務を果たしていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
このような大きな工事を請負っている会社は、大きな会社のはずです。
ゼネコンと地元の有力な建設会社JVなどだと思われます。
そのような工事現場では、安全管理にも力を入れています。
足場に関してでは、足場の組立て等特別教育の修了証がない作業者は、作業させてもらえません。
また事前に作業手順書の提出を求められるとともに、毎日作業計画を作成します。
しかしこの事故現場では、作業手順通りに作業されていなかったのでと思われます。
クレーンの吊り荷から十分退避していなかったこと、安全帯を使用していなかったことなどは、作業手順を守っていなかったのではないでしょうか。
作業者に安全意識が低かったのかもしれません。
同時に作業主任者が作業状況や保護具の使用状況の監視を行い、指導していれば、危険作業にならなかったかもしれません。
対策をまとめてみます。
1 | 作業計画、手順を作成し、それに従う。 |
2 | 作業主任者は作業中、監視し指導する。 |
3 | 足場の組立解体作業は、必ず安全帯を使用する。 |
大きな事故があった場所では、再発防止のため注意しているはずです。
おそらく元請け業者は気を使っていたと思います。
しかし全作業者が思いを同じくしないと、効果は半減します。
そのためには、日々の安全教育と職長や作業主任者に対する、働きかけが重要です。
直接、作業者に指示する立場の人の安全意識の高揚が重要といえます。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第519条 高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等には、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。