厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第106話「猫井川、鉄筋の荷崩れにゾワリする」 |
均しコンクリートの打設が終わってから、十分に固まるまでの間十分養生を行い、工事は次の段階へと進んでいきます。 次は、建物の基礎コンクリート工です。 鉄筋や型枠作業は、猫井川たちは行なわず、鉄筋工と型枠工を下請けで入ってもらうことになっていました。 そして、今日の猫井川たちの作業は、均しコンクリートの型枠を取り外すことと、鉄筋作業のための墨出しでした。 保楠田と兎耳長に型枠外しを任せ、猫井川は鼠川と墨出しを行うことになりました。 今回の墨出しは、建物を建てていく上で最も大事なポイントです。 「・・・というわけだから、この墨出しは大事だぞ。」 鼠川が猫井川に、言い聞かせていました。 「はい。墨出ししてから、立会検査があるはずです。」 「そうだろうな。ともかく進めていこう。」 「そうですね。今日ですが、鉄筋の搬入があります。」 「そうか。邪魔にならない位置に入れてもらわないとだな。」 「また、到着したら荷降ろしする場所を決めていきます。」 「では、墨出しをやっていくか。」 猫井川は車からトランシットを取出し、セットしました。 時折、2人で図面と現場を見合わせながら、チェックしつつ作業は進んでいきました。 しばらくすると、保楠田たちも型枠の取出し作業が終わりました。 保楠田は、現場に残り、作業の手伝いです。 こうして午前中は墨出しを進めていったのでした。 午後の作業開始してすぐに、鉄筋を積んだトラックが入ってきました。 3人はトラックの方に顔を向けます。 「おい、猫井川。 「わかりました。では、お願いします。」 猫井川は、トランシットを覗く役をを保楠田に預け、トラックに向かいました。 「お疲れ-っす。 もごもごした挨拶を交わすと、 「どこに置いたらいいっすか?」 と聞かれました。 猫井川は、掘削穴にほど近いスペースを指差し、 「あの当りに置いてください。 「了解っす。んじゃ、降ろしていきますんで。」 こうして、鉄筋の荷降ろしを行っていきました。 鉄筋は、すぐに組んでいけるように加工されています。 猫井川しばらく荷降ろしの様子を見ていましだが、順調に進んでいそうなので、墨出し作業に戻ることにしました。 猫井川が墨出しに戻って1時間ほど経ったくらいでした。 「んでは、終わったんで、今日は帰ります。」 猫井川は顔を上げると、 「ああ、お疲れ様でした。明後日から現場には入れるようになるので、お願いします。」 「了解っす。おつかれやしたー。」 作業員は、こうしてトラックに乗り込みました。 積み重ねられた鉄筋の束の1つが、山の上からごろりと崩れ落ちたのでした。 ガシャーン! しかしトラックに乗った作業員は、車の後ろに視線を向けたまま、気づいていません。 猫井川は慌てて、作業員に手を振りました。 猫井川は、崩れた荷を指差します。 車をまた少し前進させると、停車させ、ゆっくりと車を降りてきました。 「すいやせん。直していきます。」 そう言うと、またユニックのアウトリガーを引き出し、崩れた荷を吊り上げる準備をするのでした。 「あいつ、大丈夫か?」 ボソリと鼠川がつぶやきます。 「おそらく。」 そう答えるしかない猫井川なのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回のヒヤリハットは、材料の搬入と保管のときのものです。
鉄筋や型枠に限らず、工事現場には様々な材料が運び込まれます。
運び込んだ材料は一度に使うことはありません。そのため、現場で保管しておく場合もあります。
材料をてんでバラバラに置いておくと、後から使いづらいですし、つまづきの原因になります。
きちんと整理整頓して、保管しておく必要があるのです。
荷物によっては今回の鉄筋のように積み重ねるものあります。
積み重ねるもので注意が必要なことは、荷崩れしないことです。
下手な積み方をして、バランスを崩れると下敷きになったりする恐れがあるのです。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 鉄筋の束を積み重ねていたら、崩れた。 |
対策 | 1.積み重ねるとき、バランス確認する。 2.荷の左右に崩れ防止の柵などを立てる。 |
現場作業では、整理整頓することが、事故や怪我の防止になります。
一時的な材料であっても、注意しましょう 。