厚生労働省労働局長登録教習機関
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先日、安全パトロールで回っているときに、こんな質問がありました。
それは、工事で使用していた水中ポンプが故障してしまい、業者に修理に来てもらいました。
修理自体は問題なく修了しました。
しかしこの業者は、本工事の施工体系に入っていません。
この工事現場では、作業前に作業手順の打ち合わせを行い、修理を進めたようでした。
事故は、このような本来やるべき作業以外、つまり非定常作業のときに起こりやすいといえます。
本工事の施工体系に組み込まれていない業者であっても、工事現場内で事故が起これば、元方事業者(元請業者)の責任になってしまうのは、間違いありません。
非定常作業では、より一層の注意が必要になるのです。
山口県下関市のブリヂストン工場で、クレーン点検中に事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
クレーン点検中にはさまれ男性が死亡、別の作業員の操作ミスか(平成28年10月17日)
7日午前9時半ごろ、山口県下関市のブリヂストン下関工場で、天井付近に設置されているクレーンの点検中だった会社員がクレーンの柵と天井のはりに挟まれた。病院に搬送されたが間もなく死亡が確認された。
山口県警長府署によると、クレーンを運転していた別の作業員が、操作を誤った可能性があるとみて調べている。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「クレーン」です。
クレーンは荷物を吊り上げる機械です。
そして定期的に点検をしなければなりません。クレーンの点検は非定常作業です。
点検を行ってたのは、点検業者だったと思われますが、工場ごとに設置箇所や注意するべき点が異なります。
点検作業者同士の連携も、十分でなかったりすることもあります。
そのような状況中、作業者の操作ミスが事故を招いてしまったようなのでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この事故は、クレーンの点検作業中の作業者がクレーン柵と天井はりとの間に挟まってしまいました。
作業者がいたところに、クレーンが動いてしまい、逃げることもできず挟まれてしまったのでした。
原因は、別の作業者がクレーンの操作を誤ったとのことでした。
作業方法の確認、作業手順などの確認が出来ていなかった可能性があります。
またクレーンは本体と操作場所が離れていることが多いのですが、作業者同士の位置確認が不十分だった、意思疎通が不十分だった可能性が高そうです。
作業前の打ち合わせやKYなどをしっかり行えていなかったのではないでしょうか。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | クレーンの操作方法などの確認が不十分だったこと。 |
2 | 作業手順、作業方法の確認が出来ていなかったこと。 |
3 | 作業者同士の連絡体制が取れていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
非定常作業では、特に作業前の打ち合わせ、確認が大切です。
打ち合わせでは、作業内容、手順、連絡体制などの他、KYなども行います。
作業者全員が、事前に今から行う作業内容について、十分に理解することが重要なのです。
作業中はお互いに連絡を取り合い、手順書通りに進めていかなければなりません。
そして大事な点は、手順書のないことをやってはいけないということです。
手順書外のことで必要なことがあれば、作業指揮者や他の作業者と確認することが大事です。
対策をまとめてみます。
1 | 作業前に打ち合わせを行う。 |
2 | 予定外の作業を行う場合は、作業指揮者などに確認する。 |
3 | 作業者同士の連絡体制を取り合う。 |
点検や修理などは、非定常作業になります。
このような通常とは異なる作業は、慣れていないため、思わぬ事故を招きやすいので、注意が必要です。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【クレーン等安全規則】
第30条の2 天井クレーンに近接する建物、機械、設備等の点検、補修、塗装等の作業を行うときは、労働者の墜落、挟まれ等の危険を防止するための措置をとらなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。
クレーン点検中にはさまれ男性が死亡、別の作業員の操作ミスか(山口県下関市)
を読んだのですが、事故での事実に、重大な誤認や誤記が有ります。
但し、この企業の 最終対策は、この内容と全く同じで、これでは再発防止には成りません。 もっと きっちりした安全対策が有るのに。