はさまれ・巻き込まれ○事故事例アーカイブ

ショベルカーに轢かれ、19歳作業員が死亡(東京都中央区)

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建設業、特に土木工事で最も使われる機械は、ショベルカーです。
土を掘ったり、運んだりするこの機械は、ほぼ全ての工事で使用されているといっても過言ではありません。

土木作業中、ショベルカーと作業者は接近して作業することも少なくありません。
この時、起こりがちなのが、機械との接触です。

ショベルカーと接触すると、人の体は負けてしまうのです。

東京の銀座での工事で、作業者がショベルカーに惹かれる事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

ショベルカーに轢かれ、19歳作業員が死亡 東京・銀座のホテル建設現場 (平成28年10月28日)

28日午後3時55分ごろ、東京都中央区銀座の建設工事現場から「作業員がショベルカーの下敷きになった」と119番通報があった。作業中だった会社員が病院に搬送されたが、約1時間後に死亡が確認された。警視庁築地署が死因と詳しい事故原因を調べている。

同署によると、事故があったのはビジネスホテルの建設現場。金津さんを含む作業員7人が建物の土台を作る基礎工事の最中だったが、被災者がショベルカーの背後を横切ろうとした際、車両が後退。キャタピラーに巻き込まれたとみられる。ショベルカーは別の作業員が運転していた。

産経新聞

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「ショベルカー」です。

建物の基礎工事中に事故が起こりました。
基礎工事では、掘削作業などで、ショベルカーを使用します。そして機械の周りには作業者もいます。

ショベルカーが後進している時、作業者がそのルートを横切ろうとしたところ、ひかれてしまいました。
キャタピラとは、ショベルカーの走行部分のことです。

巨体のショベルカーでは人が接触しても、衝撃が少なく、運転者もわからなかったかもしれません。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

大きなショベルカーには運転席がありますが、後方には大きなカウンターウェイトがあり、どうしても死角が生じます。そしてこの死角に作業者が入り込むと、運転者は気づくことが困難です。

運転者が気づかないまま、作業者に向かうと大変です。知っておかなければならないことは、接触すると人間の体は力負けするということです。

そのため、原則としてショベルカーなどの重機作業中は立入禁止とするのですが、この作業場ではそのような措置はされていませんでした。
さらに人と重機が近接する場所ですが、合図者や誘導者もいなかったようです。

またショベルカーが動いているのに、横断してしまうことを許すということは、作業計画や安全教育が十分だったとはいえないでしょう。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

重機作業範囲が立入禁止でなかったこと。
誘導者が配置されていなかったこと。
重機と作業者の区画を分けるなどの作業計画が作成されていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ショベルカーなどの重機が作業者と接触すると、危険なのと言うまでもありません。
そのため、ショベルカーの作業範囲は立入禁止とします。

立入禁止範囲は、アームを最大限に伸ばした範囲から約2メートル離れたくらいとします。
また前後に移動するのであれば、この範囲も立入禁止とするのがいいでしょう。
立入禁止を明示するためにカラーコーンやバリケードを置くとよいです。

しかし、作業範囲を区分するのが困難な場合もあります。このようなときは、ショベルカーの移動をコントロールする合図者や誘導者を配置します。誘導者はショベルカーが移動したり、旋回するなどの作業中に、作業者が近づかないように見張らなければなりません。

現場でこれらの対策も重要ですが、何より注意すべきことは、動いている最中のショベルカーに迂闊に近づかせてはいけないことを教育することです。油断していると、思いもよらない事故に巻き込まれるので、日頃からの安全教育や作業時の注意事項も留意した作業計画の作成が大事なのです。

対策をまとめてみます。

重機作業の範囲は立入禁止とする。
立入禁止出来ない場合は、誘導者を配置する。
作業計画で、作業時の禁止事項、注意を明確にする。

重機作業中に最も注意すべきことは、接触です。
ほんの少しの接触でも、体には大きなダメージになるので、近づかないことが何よりも大事なことです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第365条
明り掘削の作業を行なう場合において、運搬機械等が労働者の作業箇所に後進して接近するとき、又は転落するおそれのあるときは、誘導者を配置し、誘導させなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

掘削作業等での安全対策について

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