厚生労働省労働局長登録教習機関
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マンションなどの高層建築工事では、一度に多くの業者が作業を行います。
そして作業者の数も多くなることもあり、1日の作業者数が50人以上になることも少なくありません。
元請業者は、現場の安全管理をするわけですが、多くの作業者がいると、1人1人まで目を届かせることは難しいです。
そのため作業者の中には、安全へ十分に理解がなく、危険行動をする人もいます。
危険行動させないためには、安全教育や安全施工サイクルで意識を高めることが大切ですが、それでも完全ではありません。
そして最も事故が多いものとして、墜落・転落があります。
建築工事では、足場を使うことがあり、ここから落ちることも少なくありません。
大阪府堺市で足場から墜落する事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
柵組み立て作業の2人、足場から転落か 堺の大阪府営住宅(平成28年9月26日)
26日午後1時50分ごろ、堺市南区高倉台の大阪府営高倉台第1住宅で、近くの住民から「作業員2人が、意識のない状態で路上に倒れている」と119番があった。2人は病院に運ばれたが、けがの程度は不明。外装工事中に7階付近の足場から転落したとみられ、南堺署が詳しい状況を調べている。
南堺署によると、搬送された作業員は、同府門真市の男性(23)と同府寝屋川市の男性(20)。転落防止の柵を組み立てる作業中だったとみられ、ともに安全ベルトをしていなかった。 |
この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「足場」です。
マンションの外装工事で、住民の転落防止柵を取り付ける作業で足場を使用しているときに、2人の作業者が墜落してしまいました。足場の高さは、7階付近です。10メートル近くの高さがあったと思われます。
その高さから落ちたのですから、命に関わるのですが、この記事が書かれた時点では、怪我の程度は不明とのことです。
墜落した作業者は、安全帯をしていなかったとのことなので、使用していなかったか、着けていなかったかです。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
足場作業は高所作業になりますが、作業床の上、手すりの間で使用する分には、そうそう危険なものではありません。
危険なのは、作業床や手すりなどに不備がある場所で作業する場合や、手すりなどから身を乗り出しての作業を行う場合です。
原則として手すり外に出ないようにします。しかし場合によっては、壁に取り付いて作業することもあります。この場合は、墜落防止設備がないので、危険が伴います。
手すりから身を乗り出す場合は、安全帯をするのですが、この事故の被災者は使用していませんでした。
何より、安全帯を使用しないような作業をさせないようにする作業手順書がなかったと思われます。同時に安全教育やKYなどがなかったのではないでしょうか。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 足場の手すりから身を乗り出して作業していたこと。 |
2 | 安全帯を使用していなかったこと。 |
3 | 作業手順書や安全教育がされないなったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
足場作業では、手すりから身を乗り出しての作業は控える必要があります。
ましてや手すりを乗り越えるなどは避けなければなりません。
壁に柵を取り付けるなどの、手すりから身を乗り出すなどの作業を行う場合は、安全帯を使用しなければなりません。
安全帯もただ身に着けているだけでは意味がありません。必ずフックを掛けて使用することが必要です。
足場から身を乗り出して壁に取り付く作業を行う場合は、安全対策を含めた作業手順書を作成し、リスクアセスメントKYなども必要になります。
元請業者は、作業者全体の安全を守るために日常の安全教育を行うことが重要になのです。
対策をまとめてみます。
1 | 足場の手すりから身を乗り出さない。 |
2 | 安全帯を正しく使用する。 |
3 | 安全教育や安全施工サイクルを行う。 |
先日、安全パトロールに行った現場でのことですが、壁の左官補修を行っていた作業者が、窓枠に取り付いて作業していた。安全帯は身につけてもいませんでした。
直ちに元請けさんが指導していましたが、KYなどで「安全帯を使用する」と書いていても、行動が伴わないこともあります。
日々指導が必要になるのですね。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第520条
労働者は、安全帯等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。 |
第521条
高さが2メートル以上の箇所で作業を行なう場合で、労働者に安全帯等を使用させるときは、安全帯等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。