厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第113話「猫井川、熱き火花の洗礼」 |
猫井川はしばらくの間、牛黒の現場の手伝いに行っていましたが、結局作業の最後まで付き合うことなったのでした。 「猫よ、最後までありがとうな。」 「最初は2、3日の予定だったんですけど、思いの外長いこと来ちゃいましたね。」 「ここは今日で終わりだけど、次はどこ行くんだ?」 「ん〜、まだ分からないでね。帰って犬尾沢さんに聞いてですね。」 「じゃあ、明日は俺の別の現場を手伝ってくれないか。」 「まあ、犬尾沢さんがOKしてくれるならいいですけど。」 「犬尾沢には、俺からも頼んでおくからよ。」 「じゃあ、連絡をお願いします。 「ああ、建築の現場なんだけど、倉庫の新築工事だ。 「そうなんですか。何か持っていくものかありますか?」 「そうだな、モルタルを持ってきてくれ。」 「わかりました。」 こうして、もう1日牛黒の現場に行くことになりました。 次の日、トラックにモルタルを載せ、牛黒に言われた現場に向かいました。 現場に着くと、牛黒がすでに到着していました。 「おう、着いたな。 そう指示を受けると、猫井川は早速新規入場教育を受けてきました。 「戻ってきたな。 猫井川はモルタルを練ると、土間のヒビなどを塗っていくのでした。 猫井川たちが黙々と作業を続けていた所、鉄骨の上に人影が見えました。 猫井川は特に気にも留めていませんでした。 すると上の人は、何の前触れもなく溶接を始めたのです。 溶接によって火花が落ちてきます。 火花が落ちていく先には、俯き仕事をする猫井川がいました。 「な、なんだぁ!」 尻もちをついてしまったのでした。 その様子を離れた場所で、その様子を見ていた牛黒は大声で怒鳴りました。 「何やってんだよ! 溶接をしていた人は作業の手を止めると、そこで始めて下に人がいることに気づいたようでした。 「すいません。」 謝罪を口にすると、溶接の手を止め、その場を離れていったのでした。 「下に人がいるのに、溶接するなんてな。 牛黒はぷりぷりと怒りながら、猫井川に近づいてきました。 「お前も大丈夫か?」 そうして猫井川の様子を確認し、また作業に戻りました。 猫井川も作業に戻ろうと思ったのですが、さっき驚いた勢いで、せっかく塗ったモルタルが踏みにじってしまっていて、何だか心の火が消沈した気持ちになるのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回のヒヤリハットは、溶接のヒヤリハットですね。
溶接は、金属同士を接続しますが、作業中は強い光と熱を発し、火花を飛びちらせます。
火花も高熱です。これを浴びてしまうと、熱傷を負います。
鉄骨の組み方などでは、溶接もありますが、この時、上下作業には十分注意が必要です。
下方に人がいるのに、火花など落とすと、問題です。
溶接作業では、上下も含めた周囲に人がいないことを確認することや、他の業者に作業計画を伝えることが大切です。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 鉄骨の上で溶接したら、下の人に火花が落ちた。 |
対策 | 1.上下作業はしない。 2.業者同士で作業場の使用についての連絡調整をしておく。 |
溶接の火花はかなり熱く十分に熱傷になります。
溶接作業では、周りに人がいないことの確認を確実に行いましょう。