石綿・アスベスト

石綿、アスベストの取り扱い時の危険防止 その13

先日、市街地の建物の解体現場の前を通りかかりました。
その建物は、解体に先駆けて安全パトロールに行った場所でした。

パトロールに行ってから2~3ヶ月経っていましたが、その後作業は順調に進んでいるらしく、建物の半分くらいは崩されていました。
作業現場は、パネル塀で囲われており、そのパネルには工事関係の掲示物が貼られていました。

しかしその中に石綿に関する掲示がありませんでした。
パトロールに行った際に、壁や天井削り、石綿調査をした様子はあったのに。

とはいうもののもしかすると、調査の結果、石綿が含まれていなかったのかもしれません。
また石綿が含まれていたとしても、作業場内部に掲示されていた可能性はあるのですが。

いずれにせよ、石綿調査の様子があったので、掲示について気になったというものです。

建物の解体を行うときには、作業者や作業場周辺の住人に被害が及ばないように、必要な掲示しなければなりません。

この掲示についても、石綿則で規定されているのです。

【石綿則】

(掲示)
第34条
事業者は、石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業場には、次の事項を、
作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示しなければならない。

 1)石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業場である旨

 2)石綿等の人体に及ぼす作用

 3)石綿等の取扱い上の注意事項

 4)使用すべき保護具

石綿を使った材料を使用して、新たに建物などを建築することは禁止されています。
しかし、高度成長期などで建てられ、劣化し解体される建物では、石綿が使われているものが多数あります。

そのため、解体作業にあたっては、調査などが必要になるのです。
調査の結果、壁などに石綿が含まれていたら、石綿を取り扱う作業となります。

石綿を取り扱う作業では、作業者に必要な内容を記載した掲示を行なわなければなりません。

作業に必要な内容とは、次の通りです。
・石綿等を取り扱う等の作業場であること
・石綿等の人体に及ぼす作用
・石綿等の取扱い上の注意事項
・使用すべき保護具

作業者の健康被害をもたらしかねないことなので、きちんと知らせることが大事です。

(作業の記録)
第35条
事業者は、石綿等の取扱い又は試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所に
おいて常時作業に従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、
これを当該労働者が当該事業場において常時当該作業に従事しないこととなった日から
40年間保存するものとする。

 1)労働者の氏名

 2)石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業に従事した労働者にあっては、
  従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間

 3)石綿等の取扱い又は試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における作業
  (前号の作業を除く。以下この号において「周辺作業」という。)に従事した労働者
  (以下この号において「周辺作業従事者」という。)にあっては、当該場所において
  他の労働者が従事した石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業の概要
  及び当該周辺作業従事者が周辺作業に従事した期間

 4)石綿等の粉じんにより著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が
  講じた応急の措置の概要

石綿が体内に取り込まれてから、健康被害で出てくるのは、かなりの時間差があります。
場合によっては、若い時吸い込んだ石綿が、30年、40年経ってから、肺がんや中皮腫などになることがあります。

病気と石綿作業との因果関係を確認するためには、作業の記録が必要です。

石綿が常時発生する場所で作業に従事する作業者について、作業記録を作成し、40年保管しなければなりません。

記録する内容は、次のとおりです。
・作業者の氏名
・作業の概要と期間
・石綿発生場所の周辺で差魚を行った場合は、その作業概要と期間
・石綿による汚染ががあった場合は、その事態の概要と事業者が行った応急措置内容

これらの作業記録は、大体1月ごと(1ヶ月を超えない期間ごと)に残していきます。

40年経つ間に、会社がなくなることもあるでしょうが、そういった場合は労働基準監督署に記録を提出するなどして、記録保管は維持していく必要があります。

石綿は症状が出るまでにかなりの時間がかかりますので、保管期間も長くなるのです。
記録してない、または紛失してしまうと、健康被害が出てきた時に、治療時の保険料にも影響します。そのため厳重に保管しなければなりません。

まとめ。

【石綿則】

第34条
石綿等を取り扱い作業では、従事する労働者が見やすい箇所に掲示しなければならない。
第35条
石綿の粉じんを発散する場所において常時作業に従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに記録し、40年間保存する。

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