厚生労働省労働局長登録教習機関
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石綿を取り扱う作業場では、湿潤化や局所排気装置などで、石綿が飛散しないような対策が行われています。
しかし、どんなに対策を行っていても、100%飛散を防ぐことができるかというと、難しい問題です。
特に常時取り扱っているような場所では、一部が除去できていなかったり、排気設備が不十分だったりすることで飛散し、作業者が吸い込んでしまう恐れがあります。
そのため、石綿を常時取り扱っている作業場では、石綿の飛散状態などについての測定を行い、状態確認を行う必要があります。
石綿の測定についても、石綿則に規定されています。
【石綿則】
安衛令第21条第7号の作業場には、このような文があります。
「石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する屋内作業場」
石綿を取り扱う作業場が対象となるということです。
屋内で石綿を取り扱う作業場では、定期に、石綿の空気中における濃度を測定しなければなりません。
除去作業などで臨時の場所では、作業時に行います。そして常時取り扱う場所では、6ヶ月以内ごとに1回測定を行います。
測定は、A測定とB測定で行います。
A測定は作業場の平均値を出し、B測定は濃度がピークになる場所と時間での値です。
これらの測定結果で次の条文の評価を出すことになります。
測定では、専用の機材や専門知識が必要となるので、実施するのにはかなり大変です。
そのため作業環境測定士などに委託するのが、確実で低コストかもしません。
測定した結果は、40年間保管しなければなりません。
これは健康診断と同じですね。
保管期間中に会社がなくなるような場合は、労働基準監督署に記録を提出します。
測定したら、その結果を保管するだけでなく、評価をしなければなりません。
石綿の屋内作業の測定結果は、作業環境評価基準に従い、評価しなければなりません。
評価はA測定とB測定の結果で判定し、第1管理区分から第3管理区分に分けられます。
各区分はこのような評価です。
第1管理区分 良好。今の状態を維持しましょう。
第2管理区分 可。基準値はクリアしていています。さらなる改善を行い、第1管理区分を目指しましょう。
第3管理区分 不可。今の状態では問題があります。直ちに改善を行って下さい。
表現は砕いていますが、内容としてはこんな感じです。
この評価も結果記録とともに、保管します。
測定結果に基づき、評価を行いますが、評価によってその後の対策が異なります。
特に第3管理区分となった場合は、問題ありなので、報知することは出来ません。
評価が第3管理区分となった場合、直ちに施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、改善策を講じなければなりません。
評価が出たからといって、いきなり局所排気装置などを設けるなどをしてはいけません。
なぜなら、どこに問題があるのかが把握できていない状態だからです。
まずは調査を行い、問題点を探します。
調査ポイントは、施設、設備、作業工程や方法などです。石綿に関わるもの全てを調査します。
調査結果により、どこに問題があるかを洗い出したら、問題解決の改善対策を行います。
施設や設備の改善など時間や費用がかかるものもあるでしょうが、後回しには出来ません。取り組みましょう。
改善し終えたら、再度測定を行います。
再評価で、第1管理区分が出たら良しですが、少なくとも第2管理区分に入るようにしましょう。
再測定で、また第3管理区分の評価になれば、調査と改善を繰り返します。
第39条 事業者は、第37条第1項の規定による評価の結果、第2管理区分に区分された場所については、 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置 又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を 講ずるよう努めなければならない。 |
評価が第1管理区分であれば現状維持になります。
しかし第2管理区分は、基準値はクリアしているが、まだ改善の余地があるというものです。
第2管理区分の評価の作業場は、第1管理区分になるよう調査と改善の努力しなければなりません。
義務ではありませんが、現状に満足することなく、より安全な作業環境を作るための努力が必要になるということです。
まとめ。
【石綿則】
第36条 石綿を取り扱う屋内作業場は、6月以内ごとに1回、定期に、石綿の空気中における濃度を測定しなければならない。 |
第37条< 石綿を取り扱う 屋内作業場について、作業環境評価基準に従って、第1管理区分、第2管理区分又は第3管理区分の評価を行なわなければならない。 |
第38条 評価結果が第3管理区分に区分された場所については、直ちに点検と改善を行い、管理区分が第1管理区分又は第2管理区分となるようにしなければならない。 |
第39条 第2管理区分に区分された場所については、点検と改善するよう努めなければならない。 |