厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第121話「牛黒、重機と壁のサンドイッチになる」 |
先日、測量の時に転んで、腰をしたたか打ち付けた鼠川ですが、どうやらその後の状態が良くないようです。
今日も事務所に来たものの、ずっと腰をさすって、辛そうです。 「痛いなら休んだらどうですか? と聞きました。 「ああ、その日の内に嫁さんに連れて行かれたよ。 「しばらく、現場は止めときますか?」 「うーん、どうしたものか。」 動けないほどの痛みではないので、悩んでしまいます。 「今はしっかり休んで治して下さい。 「牛黒か。大丈夫か?」 牛黒に少し不安を感じる鼠川でしたが、 「大丈夫ですよ。問題ないです。」 と、胸を張る猫井川。 「いや、お前も含めて不安なんだが。」 などと、ゴニョゴニョ呟くのです。 そんな様子に犬尾沢が、 「まあ、猫井川も牛黒さんに段取りを付けてきみたいですし、任せましょう。 と、猫井川の意見を後押ししたのでした。 「そうだな。何かあったら連絡してこい。 鼠川も、任せることにしたのでした。 今回から牛黒が新メンバーです。 牛黒は、最近はあちこち単発の仕事をこなしていたので、久々にレギュラーで入れる現場ができたので、少し楽しそうです。 「任せとけ」 と胸を張るのですが、今までの様子も知っている鼠川はやや不安を感じてしまうのでした。 猫井川と保楠田、牛黒が現場に到着し、準備をすることになりました。 保楠田はショベルカーに乗り、暖気を取っていると、牛黒も合流しました。 「外構工事になるんですが、まずはすき取りしていきます。 土砂を運ぶダンプが来るので、注意して下さい。」 作業内容と注意事項を伝えると、作業開始です。 保楠田はエンジンが温まったショベルカーを動かし、表面の土を30センチほど削っていくのでした。 そしてその後を猫井川と牛黒が均してく。 ある程度ダンプに土が溜まると、ダンプが運び出されて行きます。 そんなやり取りを何度か繰り返した時でした。 猫井川がバックで近づくダンプを誘導していた時、保楠田もショベルカーをバックで建物側に移動していました。 ショベルカーは視界の端に入っているようですが、構わず進みます。 ガガガという動きも、ダンプの音と混ざり、はっきり聞こえません。 牛黒にショベルカーが近づいた時、振り返った猫井川が、その様子に気づき、大声を上げたのでした。 「牛黒さん離れて!保楠田さんストップ!」 猫井川の声に気づき、2人は動きを止めました。 「何やってんるんですか!?」 剣幕で猫井川が、迫ります。 「いや、今のうちにあそこのゴミを取ろうと思ってさ。」 牛黒が指差す方向には、建築のコンクリート作業で使ったと思われる、コンパネの切れ端が溜まっていました。 「後でもいいじゃないですか。 「うう、すまん。」 呆れ顔の猫井川に、素直に謝る牛黒。 猫井川は、なるほど鼠川さんが、心配してたのはこういうことね、と少し納得したのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
前回、転倒で腰を痛めた鼠川はしばらくお休みになりそうです。
その代わりが牛黒ですが、周囲に一抹の不安を感じさせるキャスティングのようです。
そんな牛黒は早速やってくれました。
ショベルカーなどの重機に関して多い事故は、接触事故です。
周囲にいる作業者に激突する、または引いてしまうという事故です。
ショベルカーは大きな機械ですので、運転席からだと後方は死角になりがちです。
最近は、接近したらアラームの鳴るセンサーを搭載したり、バックカメラなどがついているものがありますが、接触事故を防ぐために最も効果的なものは、近づかないことでしょう。
重機作業では、原則として周囲を立入禁止にします。
これはただ口頭で「接近はダメ」というのではなく、バリケードなどで囲うか、誘導員が見張るなどの対処が必要になるのです。
牛黒のように後進している重機に近づくのは、厳禁といえます。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 後進するショベルカーに近づいたら、ひかれそうになった。 |
対策 | 1.重機作業では、周囲を立入禁止にする。 2.誘導員を配置して、接近させない。 |
今後外構は進んでいきますが、牛黒参戦で猫井川の成長が加速しそうです。。