厚生労働省労働局長登録教習機関
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有機溶剤の取り扱いは、健康被害を招く恐れがあるので、配慮が必要になります。
どんな配慮かというと、ひとえに体内に取り込ませないことになります。
配慮には換気や保護具などがありますが、いずれも蒸気を吸引させない、目や皮膚から浸透させないようにすることです。
作業時、特に屋内では、対策が義務付けされています。
しかし条件によっては、これらのことについて、適用除外される場合もあります。
適用除外になるといっても、自分たちで勝手に判断することはできません。労働基準監督署の認定を受ける必要があります。
有機溶剤取り扱い業務について、適用除外についても有機則に規定されています。
【有機溶剤中毒予防規則】
有機則第1条第6号では、有機溶剤業務について、一覧を挙げられていました。
以下の通りです。
イ 有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
ロ 染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可塑剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌又は加熱の業務
ハ 有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務
ニ 有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務
ホ 有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
ヘ 接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務
ト 接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
チ 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)
又は払しょくの業務
リ 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務
(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務を除く。)
ヌ 有機溶剤等が付着している物の乾燥の業務
ル 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務
ヲ 有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の 内部における業務
これらを行う場合は、後の条に出てくる対策(環境測定、換気、保護具など)を必要とします。
しかし、イ~ル(つまりヲを除く)については、条件により扱いが変わることもあります。
有機溶剤業務でも、一定の条件では、有機則は適用されない場合もあります。
条件とは、次のとおりです。
1)屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所の場合
作業時間1時間に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常態として超えないとき。
2)タンク等の内部の場合で、
1日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常に超えないとき。
タンク内部以外とタンク内で条件が異なります。
タンク内部以外は、 作業時間1時間での有機溶剤消費量 < 有機溶剤等の許容消費量 が常態として、超えない時です。
常態とは、「普通の常態」という意味です。普段の作業で、ほんの少量しか使わない場合といえます。
タンク内は、 1日で消費する有機溶剤等の量 < 有機溶剤等の許容消費量 が常に、超えない場合です。
常態では、ごく稀に超える日があるかもしれませんが、タンク内は「常に」なので、1日とて許されないと考えられます。
しかも1日の消費量なので、消費する量も制限されています。
なお、有機溶剤等の許容消費量については、以下の計算式で種類や作業場の気積などの条件で算出する必要があります。
第1種有機溶剤等 W=(1/15)×A
第2種有機溶剤等 W=(2/5)×A
第3種有機溶剤等 W=(3/2)×A
W 有機溶剤等の許容消費量(単位 g)
A 作業場の気積(床面から4 m を超える高さにある空間を除く。単位 m3)。ただし、気積が150 m3 を超える場合は、150 m3とする。
参考 法律データベースリスト
1と2の条件を満たしても、自己判断で適用除外としてはいけません。
適用除外となるには、所轄労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。
認定を受けるに当たっては、必要な申請を行う必要もあります。
有機溶剤作業で、適用除外となるには、所轄労働基準監督署長の認定が必要になります。
適用除外を受ける場合は、有機溶剤中毒予防規則一部適用除外認定申請書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
申請書を受けた後に、審査があり、適用除外認定などの通知を受けることになります。
認定後、作業内容が変わり、要件が該当しなくなった場合は、遅滞なく文書で報告しなければなりません。
申請時と条件が異なっているのに、報告しないままだと、後々問題になるので、忘れてはいけません。
まとめ。
第3条 有機溶剤業務でも、一定の条件下での作業で、労働基準監督署長の認定があった場合は、有機則は適用しない。 |
第4条 適用除外認定では、有機溶剤中毒予防規則一部適用除外認定申請書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。 |