厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第123話「猫井川、ダンプの誘導のコツを知る」 |
外構のための土木工事は、まだ続いています。 いつもはもう1人、牛黒が来ていたのですが、今日は別の現場に駆り出されてしまい、2人での作業です。 「2人でも、まあ何とかなるか。」 猫井川も保楠田も、そのように考えていました。 「写真の撮影とか、誘導とか、1人で大丈夫?」 「まあ、忙しくなると思いますけど、大丈夫だと思います。」 「そうか、焦らずやっていこうか。」 こうして、2人で作業を開始したのでした。 作業を開始すると、猫井川の仕事は思いの外、忙しくなりました。 のんびりする時間は全くありませんした。 休憩時間になると、忙しさにゼェゼェしているのでした。 「大丈夫?」 保楠田が聞きます。 「さすがに忙しいですね。 しばらくの休憩を挟むと、また仕事を再開するのでした。 またダンプの出入りが激しくなるのでした。 猫井川は写真を撮っている暇もありません。 急いでシャッターを押し、すぐに誘導にかからなければなりません。 そんな様子が続いていたときでした。 猫井川が手を振り振りダンプを誘導していたのでしたが、ぼんやりしていた立ち位置が助手席側の後方にいたのでした。 運転席からは全く見えていません。 ダンプがショベルカーに近づき過ぎる!その時に保楠田がクラクションを鳴らしたのでした。 「近づきすぎ!」 保楠田が、運転席から顔を出し、怒鳴ります。 その声が聞こえた、運転者はダンプは少し前進させました。 「そんなところに立って誘導しても、見えないよ。」 運転者も怒鳴ります。 「誘導するなら見える位置でやれよ。」 猫井川は「すいません」という言葉しか出ないのでした。 その後はダンプが入ってくる度に、猫井川は運転席側を確認して、誘導するのでした。 その日の仕事が終わった時、猫井川は、 「やっぱり、牛黒さんがいないと、大変です。 「だね。今日も見ててもそう思ったよ。」 「明日は、来てもらいます。」 こうして、現場を後にするのでした。 事務所に帰ると、犬尾沢が待っていました。 「おい、鼠川さんのこと聞いているか?」 「いえ、何ですか?」 「入院したらしいぞ。」 「えっ!?」 「さっき、奥さんから連絡があったんだが、倒れたらしい。」 「まじっすか!? 「市民病院らしい。 「はい。すぐ行ってきます。」 猫井川は、腰を落ち着ける間もなく、驚きすぐに出かけたのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回は、ダンプなどの誘導のヒヤリハットですね。
このヒヤリハットは、私がパトロールの際に見かけたものです。
状況は今回の話とは違うのですが、助手席側からダンプの誘導をしている様子を見ました。
運転者の様子も見ていたのですが、当然のことながら誘導がわかっていませんでした。
これだと誘導の意味はありません。
誘導は、運転者に見えてこそです。そのためには、運転者から見える位置で、誘導しなければなりません。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | ダンプの誘導を助手席側の後方で行ったところ、運転者から見えていなかった。 |
対策 | 1.運転者から見える位置で、誘導する。 2.作業計画で、誘導位置について確認しておく。 |
さて、ストーリーとしては、鼠川が入院という展開になってしまいました。
腰を強く打ったことが関係しているのでしょうか。
① 誘導員はベストポジションを考えて誘導する。(作業状況に応じ、どの位置で誘導することが、安全で作業者のストレスを発生させないかを考える。)
② バック時、運転手は、誘導員を目視できなければ、運転しない。(誘導員のミスであっても事故が発生し、遺族からは、人殺しと言われる事を考えれば安全運転を実施する)
③ 車と誘導員を隔離する作業計画を立てる。
④ 複数のダンプ、重機が同一敷地内で作業がある場合、現場での作業ルールを策定する。
バックで誘導員が轢かれる災害はありますが、前進時に作業員が轢かれる災害があります。どのようなケースだと思われますか。