○事故事例アーカイブ激突され

パワーショベルと接触、作業員死亡(京都府南丹市)

建設工事では、ショベルカーを使用することが多いです。
ほとんどの工事で使用すると言っても過言ではありません。

とても身近な機械ではあるため、危機感を薄れさせてしまうことがあります。
危機感の薄れは、作業中に必要以上の接近を許してしまうこともあるのです。

ショベルカーは強大な力を持っています。
そのため、旋回するバケットに接触すると、体はひとたまりもありません。

身近なものに対する危機感の薄れは、場合によっては命取りになるのです。

京都府南丹市で、ショベルカーに接触する事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

パワーショベルと接触、作業員死亡(平成29年2月24日)

24日午後2時ごろ、京都府南丹市園部町の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設予定地で、森林伐採中のパワーショベルが、建設会社の作業員とぶつかった。頭などを強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。

南丹署によると、現場は斜面で、パワーショベルの周辺で樹木にひもを結んだり、ほどいたりする作業をしていた。パワーショベルの運転者は「気がついたら倒れていた」と話しているといい、アームの先端部分が接触したと見て調べている。

京都新聞

この事故の型は「激突され」で、起因物は「建設機械」です。

東日本大震災以降、再生可能エネルギーについての関心が高まり、あちこちで太陽光発電所が作られています。
中には、かなり大規模な発電所、メガソーラー発電所が作られています。これはゴルフ場跡地に作られたりすることもありますが、森林を切り開き作られることもあります。

この事故もメガソーラーのために、森林を伐採している際に起こりました。
ショベルカーが作業している直ぐ側で作業者が作業していました。その時、作業者にショベルカーのアームの先端に接触したのです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

ショベルカーは人間の何倍もの力を持っています。
どんなに毎日直ぐ側で仕事をして、慣れていても、その力の脅威は変わりません。
しかし、慣れは、危険を忘れさせてしまうこともあるのです。

ショベルカーのアームは横方向に旋回します。
ゆっくり動いているように見えても、危険です。
そのため、周囲の作業者は、接触しないようにしなければなりません。

人と機械が同じ場所で作業する場合は、近づきすぎないようにしなければなりません。
この作業場では、接近を許す状況だったようです。

重機の作業時は、作業計画が必要になりますが、この作業場ではなかったのかもしれません。

また作業計画に加え、

それでは、原因を推測をまとめてみます。

ショベルカーに接近して作業していたこと。
作業計画が作られていなかったこと。
KYなどが行われていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ショベルカーなどの重機と同じ場所で作業する場合は、作業者が近づきすぎないように立入禁止としなければなりません。
立入禁止にしておかないと、不意にアームが動いた時に接触する恐れがあるのです。

立入禁止としては、バリケードで囲うようにしなければなりません。
コーンを転々と置くのではなく、バーも使用すると良いでしょう。

しかしショベルカーが移動するので、バリケードなどで限定的ない場合もあります。
このような場合は、誘導者を配置して、作業者が接近しすぎないようにすることが重要です。

立入禁止などを行うには、事前に作業計画を作らなければなりません。
作業計画には、作業範囲や立入禁止範囲、さらには誘導者について決めておきます。

また作業前の打合せや、KYも重要です。
作業前にどんな危険があるかを考えることは、事故防止になるのです。

対策をまとめてみます。

立入禁止か誘導者の配置を行う。
作業計画を作成する。
作業前の打合せや、KYを行う。

ショベルカーは身近ですが、強大な力を持っているものです。
近づきすぎると、大きな被害をもたらすことがあります。

程よい距離感を保つことも、事故を防ぐことになるのです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第158条
車両系建設機械に労働者が接触しないよう措置をとらなければならない。
第159条
車両系建設機械の運転について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に合図を行なわせなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置 その2

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