有機則○安衛法と仲良くなる

有機溶剤取り扱い時の規則。その4。

有機則第5条は、屋内で第一種と第二種有機溶剤を使用するときについてです。
これらのものを使用する際、注意しなければならないのが、体内に取り込んで、健康を損なってしまうことです。

発散源を密閉することや、局所排気装置、プッシュプル型換気設備は、有機溶剤とその蒸気が、作業者に接触しないためのものです。

設備を設けることが原則なのですが、条件によっては、適用除外となることもあります。

有機則には、設備設置の適用除外条件についても規定されています。

【有機溶剤中毒予防規則】

(屋内作業場の周壁が開放されている場合の適用除外)
第7条

次の各号に該当する屋内作業場において、事業者が有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、
第5条の規定は、適用しない。

1 周壁の2側面以上、かつ、周壁の面積の半分以上が直接外気に向って開放されていること。

2 当該屋内作業場に通風を阻害する壁、つい立その他の物がないこと。

有機溶剤を体内に取り込む恐れがあるのは、屋内作業で通気性が悪い場合です。
逆に、屋内作業であっても、風通しがよく、常に換気されている場所では、作業者に接触する前に、拡散するというわけです。

屋内であっても、周壁の2側面以上、かつ周壁の面積半分以上が開放されいる場所で、有機溶剤を使用する場合は、設備の設置は適用除外となる。

周壁とは、作業場を囲む壁のことです。2面開いていると、ひとまず風は流れ、換気されるということです。

ただし、壁が開放されていても、その外側に別の壁があり、風通しを悪くする場合は、適用除外にならないので注意して下さい。

(臨時に有機溶剤業務を行う場合の適用除外等)
第8条

臨時に有機溶剤業務を行う事業者が屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所における
当該有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、第5条の規定は、適用しない。

2 臨時に有機溶剤業務を行う事業者がタンク等の内部における当該有機溶剤業務に労働者を
  従事させる場合において、全体換気装置を設けたときは、第5条又は第6条第2項の規定にかかわらず、
  有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。

常時、屋内で有機溶剤を使用する場合は、発生源密閉や、局所排気装置などを設置しなければなりません。
では、1日だけ塗装するといった場合には、どうなるのでしょうか。

タンク内を除く屋内作業で、臨時に有機溶剤作業を行う場合は、整備等の設置は適用除外となる。

タンク内であっても、全体換気装置(いわゆる換気扇)を設置した場合も、適用除外となります。

臨時をどれくらいの期間と判断するかは、解釈が別れるところです。
一般的には数時間や1日、長くとも数日だけといったものです。

1ヶ月連続となると、臨時とは言い難くなるのではないでしょうか。

では1週間や2週間はどうかというと、設備等を設置したほうがよいのではないでしょうか。

(短時間有機溶剤業務を行う場合の設備の特例)
第9条

事業者は、屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において有機溶剤業務に労働者を
従事させる場合において、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、
かつ、全体換気装置を設けたときは、第5条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、
局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。

2 事業者は、タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、
  当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、送気マスクを備えたときは、
  第5条又は第6条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、
  プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。

1日の作業でも、朝から夕方までずっと有機溶剤業務をする場合もあれば、ほんの1時間程度しかやらないということもあります。
1日の内、ほんの1時間〜2時間程度の短い時間のみしかやらない場合も、条件次第で適用除外になります。

タンク内部以外での屋内で、有機溶剤作業を行う場合、短時間かつ全体換気装置を設けた時は、設備設置が適用除外となる。

タンク内の作業でも短時間で、送気マスクなどを使っている場合は、全体換気装置を含めた設備を設置しなくとも構いません。

屋内でもタンク内は特殊です。
完全密閉空間になるので、適用除外条件が異なるので、注意して下さい。

まとめ。

【有機溶剤中毒予防規則】

第7条
周壁の2側面以上、かつ、周壁の面積の半分以上が直接外気に向って開放されているなどでは、第5条は適用除外される。
第8条
臨時に有機溶剤業務を行う事業者が屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所で作業する場合は、第5条は適用除外される。
第9条
屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所で、有機溶剤業務に要する時間が短時間で、全体換気装置を設けたときは、第5条は適用除外される。

コメント

  1. 寺田信雄 より:

    いつも拝読させて頂いております。会社は給水タンク内部の補修(有機溶剤スチレン使用)も行っております。「有機溶剤取り扱い時の規則。その4。」で、「臨時」の定義について時間軸で見解が記載されておりましたが、通達(昭53・12・25 基発第707号)では、本来の業務以外の業務と定義付けられております。この定義では、弊社の作業は「臨時」に該当せず、有機則第五条の適用を受け、全体換気装置では違反となってしまいます。前述の通達以外に「臨時」を定義しているものがないでしょうか?FRP製の給水タンク内部に密閉する設備等を設置することはできません。宜しくお願い致します。

    1. itetama より:

      こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      質問いただいた内容について、私なりに考え、また他のコンサルの方にも意見を聞いてみました。
      そのため返事が遅くなってしまいました。

      臨時については、他の通達等に定義があるかは、見つけられませんでした。すみません。
      機会あれば、労基の方に聞いてみますが、もし可能でしたら、一度質問されてはいかがでしょうか?

  2. 寺田信雄 より:

    ご返信ありがとうございました。
    この記事で「臨時」の定義を「臨時をどのくらいの期間と判断」という時間で行っておられたので、もしかしたら他に定義があるのかと考えた次第です。
    お手間を取らせまして申し訳ございませんでした。

    ご指摘のように労基に質問したいところですが、全体換気ではダメといわれた場合に、弊社の業務がストップしてしまうことを危惧してしまい、なかなか聞けません。

    排気ファンとダクトの組み合わせで、簡単に局排ができればいいのですが。

    1. itetama より:

      コメントありがとうございます。
      質問いただいたのに、お役に立てず申し訳ございません。

      私も機会を見つけて、労基に聞いてみます。
      何かしらの回答があった場合は、ブログで書こうと思います。

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