30分間の安全衛生教育レシピ

自然災害の時、どうするのか確認しよう

先日、大阪北部を中震に最大震度6という大きな地震がありました。
亡くなられた方もおられ、水道やガスなどのインフラにも影響を与えています。
 
大阪の中心地を襲った地震なので、多くの人に影響を与えています。
 
地震やゲリラ豪雨等の自然災害は、誰にも制御することはできません。
豪雨等はある程度予報を元に、準備ができますが、地震については、予想はできません。
 
自然災害に遭うと、どうしてもパニックに陥ります。
そして場合によっては、パニックによって、適切でない対応を行い、二次被害などを招いてしまうことも少なくありません。
 
思わぬ自体にあった時、誰しもがパニックになってしまいます。
どんな人であってもです。
 
しかし中には、冷静にいち早く、適切に、行動したり、指示ができる人もいます。
 
パニックに陥り、あたふたする人と冷静に判断できる人は何が違うのでしょうか?
生まれ持ったものでしょうか?
 
自然災害等の緊急事態では、どうしてもパニックや混乱は避けられません。
 
避けられませんが、重要なことは、いち早く混乱を収め、被害を最小限にする行動をとることです。
 
冷静さを取り戻すために有効なのが、緊急時何をするのかを知っていることです。
そして、行動の第一歩を迅速に踏み出すことです。
 
やるべきことが定まると、冷静さを取り戻すことできます。
 
大事なことは、何をすべきかを事前に知ることです。
これは、平時にやるべきことを整理し、理解する機会を作るしかありません。
 
今回は、自然災害等の緊急事態に備えようです。
 
今回の教育の目的
自然災害等の緊急時に、迅速に安全で適切な行動がとれるようにする。
 
緊急時、どこに避難するのか、どのように対応するのか、誰に連絡するのかを身につける。
教育で使用するもの
1.記入用演習シート(今回の配布資料です)
2.緊急連絡体制、緊急時の対応マニュアル、避難先までの地図
今回の教育の
大事なポイント

(この教育の目標)
1.緊急時の対応方法を理解する

2.パニックを最小限に留め、迅速な行動を行えるようする
オープニング
開会の挨拶を行った後、今回のポイント、教育の流れを説明。
 
1.大阪直下型地震での対応から見えたもの
大阪での地震は、茨木市や高槻市等を中心に、大阪の北部で震度6になりました。
 
大阪は言うまでもなく大都市です。
地震が発生したのは通勤時間帯です。通勤、通学をする人は、行くべきか、留まるべきか、帰宅すべきかの判断が求められたでしょう。
 
SNSでは、地震直後、上司から安否確認とともに、出勤を命じられたという話もありました。
真偽の程はともかく、そのような指示をすると、後々わだかまりを残すことにもなりかねません。
 
また大阪の吉村市長は、Twitterで学校の休校を表明しました。
いち早く子どもの安全を確保する判断としては適切だと思います。ただ一方では教育委員会や教職員への指示の前の表明のため、現場は混乱したとの情報もありました。
 
このような場合、どのようにするのが正しいのか。
その判断基準はどこにあるのでしょうか。
 
判断基準がないから、アクシデントを脇に置き、通常のオペレーションを堅守してしまい、「何が何でも会社に来い!」という指示になったりするのかもしれません。
 
もし通勤を強行し、怪我をしたら、誰が責任を取るのか。もし家族が怪我をしていたのに、顧みなかったら、誰が責任を取るのでしょうか。
一つの判断や指示が、後々大きな被害拡大になる可能性もあります。
 
東日本大震災の時も、適切とは言えない指示等があり、物議を醸し出したこともありました。
 
おそらく指示をした本人も正しい指示かはともかく、職務を果たした思っているのではないでしょうか。
 
SNSでは不適切な指示等の情報がありました。
パニックになると、思わぬことも起こるのも確かです。
 
そして、緊急時には、誰もが程度の差こそあれ、誰でもパニックになります。
 
皆さんは、災害時どのようなことを思い、行動したでしょうか。
冷静になってみたら、失敗したなということもあったのではないでしょうか。
これを演習で話してみましょう。

(演習)

グループごとに話合う。
テーマ「自然災害の体験談」
5分間
失敗したこと、やってよかったこと、人にやってもらって嬉しかったこと、教訓なども含みましょう。
1人や2人発表してもらってもよいでしょう。
 
ポイントは、自分は冷静に行動できたかという振り返りです。
 
震災の後は、水やカセットコンロなどの備蓄をされている方も多いと思います。
これも災害体験からの教訓かと思います。
 
災害への備えは、リスク管理です。

不適切な行動や指示は、リスク管理なっていないと言われれば、その通りです。
 
では、なぜリスク管理がなっていなかったのか。
それは、緊急時への想定がなかったこと、対応が整備されていなかったことがあります。
 
2.自然災害時の対応を確認する
パニックからいち早く冷静さを取り戻すためには、「まず何をやるのかを知っている」ことが重要です。
 
緊急時(自然災害や事故等)に備え、工事現場などでは緊急時の連絡先が掲示されています。
掲示はされているものの、じっくりと見て、内容を確認したことは少ないのではないでしょうか。
 
各グループの職長などに配布して、再確認してもらいましょう。
 
また津波などが発生した際の避難先、最寄りの病院までの経路等、その他緊急時のマニュアルや対応をまとめたものがあられば、合わせて確認しましょう。
 
これらの資料を参考にして、各グループの職長が何をすべきかを具体的に落とし込んでいきましょう。
 

(演習)

グループごとに話合い、具体的な行動に落とし込む、
「緊急時、私はどこに行き、どのような行動をすればよいか」
5分間
誰に、どのタイミングで、どんな手段で、何を連絡し、指示をもらうのか等を決めます。
具体的にLINEするとか、メールするとかまで落とし込めるとよいでしょう。
 
一部の自治体では、工事現場の仮設事務所に、緊急時のマニュアルを配備することを求めているところもあります。
マニュアルを置く場所は、作業者の休憩所や詰所の出入口等、目に付きやすい場所に置かれているようです。
 
まず何をやるのかを明確にすることで、パニックからの立ち直り時間を短くすることを目指します。
 
連絡を受ける側も、誰から連絡をもらうのかが明確であれば、安否確認の目安ともなります。
 
3.不測の事態をある程度でも想定しよう
連絡先が明確になっても、やはり混乱は避けれません。
 
大阪北部の地震は、通勤・通学時間を襲いました。
そのため、行くべきか戻るべきかで迷ったり、混乱がありました。
 
大阪市の吉村市長のすばやい休校の判断は、児童や学生の安全を確保を目的としたものです。一方では、学校側への連絡が不十分であり、現場では少なからず混乱を招いたとのことです。
 
混乱を最小限にするため、不測の事態に備えた、ある程度のマニュアルを作成し、現場サイドでも迅速に対応ができるのが望ましいでしょう。
 
全てトップダウンで判断していると、時間がかかります。
そのためある程度の判断と実行権限は、現場に委ねるのが理想です。(少なくとも最小単位のリーダーが判断できると、素早い意思決定になる)
 
実際に不測の事態が起こったら、想定外のことなど多々あります。
全てを予測し、対応策を考えるのは無理です。
 
しかし、過去の事例などから、大枠で決めることはできるのではないでしょうか。
 
例えば、通勤時に豪雨や地震があった場合はどうするのかなどは、平時に検討できると思います。
 
緊急時の対応について、簡単な表を作ったので、経営者や管理者の方は参考にしてもらえればと思います。
もしこの表を完成したら、全員に配布しておき、どこで見ることができるのかも伝えましょう。
 
外出先でも見られるように、紙で配布するだけでなく、オンラインで見たり、データで渡すのも良いと思います。
 
また、ただ情報を共有するだけでなく、避難訓練を実施することも大事です。
トンネル工事では、半年に一度の避難訓練が義務付けられていますが、それ以外の作業場や事務所でも実施するのがよいでしょう。
 
一度でも、実施しておくと、体が記憶するものです。
 
4.締め
天災や地震、事故等の不測かつ緊急事態はいつ起こるかわかりません。
 
悪天候の基準については、次のような通達があります。
このような場合は、作業は中止し、避難などの対応が必要です。
 
作業中止する作業については、こちらも参考にしてください。
 
 
大阪の中心地に、震度6ものの地震だったので、悪天候等といえます。
 
まさか大阪にそのような地震が襲うなど、予測できていた人はいないでしょう。(いたとしても、ごく少数でしょう。
 
パニックは、被害を大きくしてしまいます。
 
不測の事態が起こった時、慌てたり、パニックを避けることはできません。
しかし備えあれば、パニックや憂いが少なくなります。
 
この準備は平素に行う必要があります。
 
今回の研修を実施する前には、管理者側で方針を決めておくことも大事です。
管理者側で決めたことは、必ず全員で共有してくださいね。
 
最後に、大事なポイントを繰り返します。
 
1.緊急時の対応方法を理解する
2.パニックを最小限に留め、迅速な行動を行えるようする
 
以上で30分くらいになるのではないでしょうか。
 
1時間に拡大するためには、一つひとつの話合いを10分くらいとりましょう。
 
最後に今回使用する資料とレシピのPDFも公開します。
自由にダウンロードしていただいても構いません。
 
 
 
ただこの教育を実施される場合は、コメントに報告やご意見をいただけると、今後の励みなりますので、ぜひお願いします。
 
 

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