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石綿作業主任者技能講習。石綿除去作業では必ず1人選任します。

石綿作業主任者技能講習。石綿除去作業では必ず1人選任します。

石綿画像
2005(平成18)年に石綿障害予防規則が成立し、2006(平成19)年には原則として石綿の製造、取り扱いなどが禁止となりました。しかし石綿(アスベスト)を使った建築物や工作物などは多数残っています。
今後、建築物などを解体、改修するためには、残された石綿を除去することが必要になります。
作業員が安全に石綿除去の作業ができるように、現場で指揮することが石綿作業主任者であり、その資格を得るために受講するのが石綿作業主任者技能講習です。
安全教育センターでは、本社のある宮城県だけでなく、北海道、岩手県、福島県、東京都、大阪府、福岡県にて講習を開催しております。
    1. 特定化学物質等作業主任者との違い

1 石綿作業主任者とは

労働安全衛生法施行令第6条には作業主任者を選任しなければならない作業が書かれています。この第23号に石綿を取り扱う作業が規定されています。
取り扱うとは、現在では研究を除くと、除去作業のみとなります。
労働安全衛生法施行令
(作業主任者を選任すべき作業)
第六条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
二十三 石綿若しくは石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のため製造する作業若しくは第十六条第一項第四号イからハまでに掲げる石綿で同号の厚生労働省令で定めるもの若しくはこれらの石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿分析用試料等」という。)を製造する作業
石綿作業主任者の職務は、石綿除去作業時に、作業者が石綿を吸い込まないようにすることです。そのためには、石綿の性質や安全な作業の進め方などについて確かな知識を持っていなければなりません。
石綿作業主任者は、建築物石綿含有建材調査者の受講資格にもなっています。

2 石綿除去作業での健康被害について

2.1 過去に多く使われた石綿

日本で使われた石綿の大半は海外からの輸入でした。1970年から90年の間は、年間で約30万トンが日本に運ばれました。
これほど多くの量の石綿が輸入されたのはなぜでしょうか。
それは石綿には多くのメリットがあったからです。石綿は繊維のようにほぐすことが出来ますが、元は鉱石であるので、次のような特性があります。
・耐熱性
・断熱性
・防音性
・耐候性
・耐摩耗性
・紡織性 他
このような性質があるため、石綿の使用はありとあらゆる場所に使われたと言っても過言ではないくらいに多岐に渡ります。中でも建築物の建材として使用されることが多く、全体の約8割以上となっています。
建物にとっては火災が一番の大敵。
石綿が建材として使用されたのは、耐熱性など火災防止に有用だったからです。

2.2 建材としての石綿

石綿は耐火性能を高めるなどの目的で、内装材、外装材など様々な建材として使用されました。
使用された場所や製品については次のものがあります。
石綿障害予防規則では、飛散性に応じてレベル分けをしているため、レベルごとに紹介します。
レベル1(飛散性が著しく高い)
 ・石綿含有吹付け材
 ・石綿含有ロックウール(湿式・乾式・半湿式)
 ・石綿含有バーミキュライト
 ・石綿含有パーライト
レベル2(飛散性高い)
 ・石綿含有耐火被覆材
 ・石綿含有断熱材
 ・石綿含有保温材
レベル3(飛散性低い)
 ・石綿含有整形板(せっこうボード、スレート材など)
その他
 ・石綿含有塗材
輸入された石綿の約90%は、レベル3の建材に加工されています。
その数は2000種類を超えるのです。

3 石綿作業主任者の役割

3.1 除去作業時の危険

石綿はほぐすと糸や綿のようになります。石綿の1本1本は約0.1マイクロメートル(髪の毛の1000分の1の太さ)の細さとなります。当然目には見えません。
この細い繊維状の鉱物が、呼吸とともに体内に入り、最終的には肺の中の肺胞にまで到達します。
そして長期間の潜伏後、病気を発症させるのです。
石綿を原因とする病気としては、石綿肺、肺がん、中皮腫などがあります。
これらの病気は、吸い込んですぐに発症するものではありません。吸い込んでから、少なくとも10年後に発症します。中皮腫に至っては吸い込んでから30年後から50年後に発症するのです。
石綿除去作業は、数十年後の病気リスクを抱えているのです。

3.2 石綿作業主任者の職務

石綿作業主任者は、石綿除去作業の際に、必ず選任しなければなりません。
その職務は、石綿障害予防規則第20条に次のように書かれています。
石綿障害予防規則
第20条
一 作業に従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
 二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
 三 保護具の使用状況を監視すること。
まとめると、作業時に作業者が石綿を吸い込まないようにすること、局所排気装置などの設備が正常に稼働するようにすることなどです。
作業者の安全な作業を確保することが、石綿作業主任者の職務であり、責任であるといえます。
また建築物にレベル1、レベル2の石綿建材が使用されている場合、作業の14日前までに所轄労働基準監督長に作業の計画届を提出しなければなりません。(石綿障害予防規則第5条)計画届の作成も作業主任者が中心となって作成することになります。
今なお多数の石綿を含有した建物が残っています。これらの解体、改修作業では必ず石綿作業主任者が必要になります。
つまり、石綿作業主任者は今後ますます需要が高くなるに違いありません。

4 石綿に関する他の資格との違い

4.1 特別教育との違い

石綿に関する別の資格として、石綿作業従事者特別教育があります。
石綿作業主任者と石綿特別教育との違いは何があるのでしょうか。
石綿特別教育は、文字通り作業従事者のための教育です。
つまり実際に作業する人が受けなければならない教育(資格)です。
これに対して作業主任者は、作業者を指揮・監督するための資格です。
石綿特別教育は作業には必要ですが、これを受けているだけでは、作業主任者にはなれないのです。
石綿特別教育については今回と別のお話。また別の機会に書きましょう。

4.2 建築物石綿含有建材調査者との違い

建築物石綿含有建材調査者は、解体・改修を着手する前に事前調査するための資格です。2023年10月からは、事前調査は建築物石綿含有建材調査者が行うことと義務づけられました。
建築物石綿含有建材調査者は、実際の作業は行いません。しかし石綿に関して知識と経験がなければ、石綿含有建材を見分けることが困難ですので、石綿作業に従事した経験または作業主任者として指揮した経験をお持ちの方も多数います。
また建築物石綿含有建材調査者講習受講のためには、受講資格が必要です。その1つが石綿作業主任者です。そのため石綿作業主任者を受講後、続けて建築物石綿含有建材調査者を受講される方も少なくありません。
事前調査と実作業との違いはありますが、非常に関係性が強い資格と言えます。

4.3 特定化学物質等作業主任者との違い

石綿作業主任者は2005年の石綿障害予防規則制定時にスタートしました。それ以前は、特定化学物質等作業主任者でした。「等」が石綿のことです。
そのため2005年以前に、特定化学物質等作業主任者資格を得た人は、石綿作業主任者になることができます。
しかしながら、もう20年も前に変わっています。法改正も繰り返されています。
できれば能力向上教育などを受けていることが望ましいです。

5 安全教育センターでの講習について

5.1 実施地域

安全教育センターでは、次の都道府県で講習を実施しています。
  • 北海道
  • 岩手県
  • 宮城県
  • 福島県
  • 東京都
  • 大阪府
  • 福岡県
これらの都道府県では、随時主催講習を実施しています。
また企業の依頼に応じて、講師を派遣する出張講習も行っております。
出張講習についての説明は今回と別のお話。また別の機会に書きましょう。

5.2 受講料

受講料は次のとおりです。
受講料(テキスト・資料代込)
16,280円(税込)

5.3 受講資格

受講資格は特にありません。18歳以上の方であれば、誰でも受講できます。

5.4 カリキュラム

講習は2日間のカリキュラムになっています。
1日目
時間 講習科目
9:30 - 9:40 開講挨拶・予定説明
9:40 - 10:40 健康障害及びその予防措置に関する知識
10:40 - 10:50 休  憩
10:50 - 11:50 健康障害及びその予防措置に関する知識
11:50 - 12:50 昼食・休憩
12:50 - 13:50 作業環境の改善方法に関する知識
13:50 - 14:00 休  憩
14:00 - 15:00 作業環境の改善方法に関する知識
15:00 - 15:10 休  憩
15:10 - 16:10 作業環境の改善方法に関する知識
16:10 - 16:20 休  憩
16:20 - 17:20 作業環境の改善方法に関する知識
2日目
時間 講習科目
9:30 - 10:30 保護具に関する知識
10:30 - 10:40 休  憩
10:40 - 11:40 保護具に関する知識
11:40 - 12:40 昼食・休憩
12:40 - 13:40 関係法令
13:40 - 13:50 休  憩
13:50 - 14:50 関係法令
14:50 - 15:00 休  憩
15:00 - 16:00 (修了試験)

5.5 試験

全20問の試験となっています。問題は4科目に分かれて出題しています。
合格基準は、合計60点以上、かつ各科目40点以上です。
きちんと講習を聞いていただければ、十分に合格することができる難易度です。
不合格の場合は、再試験などはありません。
もう一度2日間の講習を受けていただき、試験の臨んでいただきます。

5.6 過去問の紹介

試験では次のような問題が出ますので、参考にしてください。
石綿による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. じん肺は肺がんが合併する頻度が高いことが報告されている。
  2. 胸膜中皮腫の発症リスクは白石綿が最も危険性が高い。
  3. 石綿は非常に微細であるため、吸い込んでも気がつきにくい。
建築物の解体等における石綿ばく露防止対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 石綿建材として、吹付け材はレベル1カテゴリである。
  2. レベル3とは石綿含有成形板であり、発じん性は比較的低い。
  3. 石綿吹付け材の除去ではない、封じ込め等の作業は、石綿障害予防規則は適用されない。
呼吸用保護具全般に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1.  石綿を取り扱う作業で使用したフィルタは、コンプレッサー等で掃除してはならない。 
  2.  レベル3の作業では使い捨て式防じんマスクを使用してよい。
  3.   作業主任者は、作業者が防じんマスクの使用前点検が義務である。

試験問題は、毎年更新しています。こちらに紹介したテストは、傾向を見ていただくために、旧テストの問題にアレンジを加え紹介してます。
同じ問題は出ませんのでご注意ください。

問題パターンも数種類あり、どのテスト問題になるかはランダムで決定しています。

そのため、講習中はしっかりと聴講してくださいね。

試験では、設問を必ずチェックしてください。
「誤っているもの」を選ぶのか、「正しいもの」を選ぶのか。間違われることも多いです。

5.7 講習スケジュール

講習のスケジュールや実施地域などはこちらを参考にしてください。

石綿作業主任者講習

スケジュールにない日程でも、依頼に応じて講師を派遣する出張講習も行っています。

講習ができる範囲は、次の場所です。

宮城県、北海道、岩手県、福島県、東京都、大阪府、福岡県

今後、建築では必須となる知識ですので、ぜひともスケジュールの確認をしてください。

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