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マスクフィットテスト について 2023年4月1日から義務化!

マスクフィットテスト について

2023年4月1日から義務化!

溶接ヒューム発生状況
屋内アーク溶接作業を継続して行う場合、 マスクフィットテスト は事業者の義務です。
事業者は溶接作業の従事者に対して、1年以内に1回以上 フィットテスト を行わなければなりません。
これはマスク、つまり呼吸用保護具が正しく装着できており、漏れがないかを確認するものです。
マスクフィットテストは、定量的フィットテスト、定性的フィットテストのいずれかを行い、テストの結果防護係数を満たしているかを確認します。
安全教育センターでも、マスクフィットテスト講習を実施しております。
開催場所は仙台です。東北地方では数少ない実施場所となります。
開催スケジュールはこちらをご覧ください。
今回はフィットテストの説明と、実施者が受ける講習について紹介します。

1 マスクフィットテスト とは

 1.1 なぜ義務になったのか

金属アーク溶接作業のときには、煙が出ます。
この煙は水蒸気などではなく、溶接ヒュームというものです。
溶接ヒュームとは、金属が蒸発したもので、空気中で冷やされると金属個体に戻りますが、目にも見えないほど小さな粒子として、空中を漂うことになります。
溶接ヒュームを吸い込むと、肺にまで達し、じん肺(溶接肺)などの症状の原因になることは以前からわかっていました。
これに加えて、近年には溶接ヒュームには発がん性があること、そして成分として含まれる塩基性酸化マンガンが神経障害のおそれがあることがわかってきました。
このため、2021(令和3)年4月1日の特定化学物質障害予防規則の改正により溶接ヒュームが、特定化学物質管理第2類に入ることとなりました。
特定化学物質に追加されると、局所換気装置の設置や、作業主任者を配置するなど厳重な管理が必要となります。
そして呼吸用保護具を着用することについても、作業者任せにするのではなく、事業者が適切に確認することが必要となったのです。
呼吸用保護具、つまりマスクが正しく装着できているかどうかを確認することが、事業者の義務となりました。
マスクフィットテストは、2022(令和5)年4月1日から義務になっています。

2 マスクフィットテスト の実施事項

 2.1 対象者

マスクフィットテストが必要なのは、次は事業場です。
・金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行っている事業場
金属アーク溶接を実施であっても、屋外のみの場合は義務づけられていません。ただし呼吸用保護具の着用は必要です。
なお屋内とは、次のように定義されています。
「作業場の建屋の側面の半分以上にわたって壁、羽目板その他のしゃへい物が設けられている場所ガス、蒸気または粉じんが滞留するおそれがある場所」
継続的とは、同じ場所で金属アーク溶接を行う場合です。年に数回であっても、決まった場所で溶接する場合は、継続的に含まれます。
要約すると、屋内で金属アーク溶接作業を行っている人に対しては、マスクフィットテストをやらなければならないということになります。

 2.2 実施方法

フィットテストを実施する前には、マスクの選定をしなければなりません。
これは作業場の溶接ヒューム濃度を測定して、適切な呼吸用保護具を決定します。
溶接ヒュームの測定は、個人サンプリングで粒子を捕集し、測定します。
その測定結果から、防護係数を導き、それを満たす呼吸用保護具を選定します。
溶接ヒュームの濃度測定については、別のお話。また別の機会に書きましょう。
さて、適切な呼吸用保護具の選定が終わると、次に行うんがマスクフィットテストです。
フィットテストとは、一言でまとめると、JIS基準に則った測定方法でマスク内外の粒子の数を数え、要求フィットファクタを上回っているかをテストすることです。
要求フィットファクタとは、次の計算式です。
要求フィットファクタを計算するために、定量的フィットテストまたは定性的フィットテストのいずれかのテストを行います。
定量的フィットテストとは、測定器を用い、マスク内外の粒子数を実測します。
定性的フィットテストは、マスクを着用した上でフードを被り、フード内に甘味または苦味のミストを噴霧させます。
被験者は口呼吸をすることで、甘味または苦味を感じるかを自己判定します。つまり味覚を用いて漏れを検知する方法です。
定量的フィットテストは、測定器を用いますので、非常に正確な結果となります。
定性的フィットテストは、人の感覚に依存するところもあるので、個人差があることも念頭に置おいておく必要があります。
定量的テスト、定性的テストともに、マスクを着用したまま所定の動作を行います。
テストの時間は、大体10分くらいかかります。そのため1人実施するには、準備なども合わせると15分くらいかかると考えるとよいでしょう。
ただし、定量的フィットテストでは、使用する測定器によっては、短縮テストが可能です。短縮の場合は、一覧のテストは2分半で終わります。

 2.3 結果の保存

フィットテストを実施したら、その結果記録を3年間保存しなければなりません。
記録の内容は、次の内容です。
  • 実施日時
  • 実施場所
  • テスト実施者
  • 被験者
  • 被験者の特記事項(ヒゲの有無など)
  • テスト方法(定量または定性)
  • 使用した機材
  • テスト結果
  • 不合格の場合の対処
ヒゲなどがあると、マスクの密着性が損なわれます。そのため不合格になることがあります。またテスト前に飲食喫煙をすると、テストに影響が出ます。
特に喫煙は、体内から粒子が出てくるため、不合格する可能性が高くなります。
そのため、テスト前の喫煙は控えてもらわなければなりません。

3 必要になる機材

定量的フィットテスト、定性的フィットテストでは、それぞれ必要となる機材が異なります。

3.1 呼吸用保護具(マスク)

マスクは原則として、作業で使用するマスクを準備します。
サイズは複数準備すると良いでしょう。
定性的フィットテストでは、実際に使っているものでテストを受けることができます。
しかし定量的フィットテストでは、マスクに孔開け加工も必要になるため、テスト用として同型の、マスクを準備することも必要です。

3.2 定量的フィットテストの機材

定量的フィットテストで必要となる機材は、次のものです。
  • 測定器
  • 使用するマスク(テスト用に加工)
測定器が必要です。
現在(2023年3月時点)は、日本カノマックスと柴田科学から発売されています。
非常に高額ですが、補助金もあるようです。
※補助金は令和4年度予算で組まれていましたが、令和5年以降も継続するかは、今後の情報によります。
・日本カノマックス
・柴田科学
※上記は2023年3月の時点での情報ですので、更新される可能性があります。
カノマックスのAccufitは、短縮テストにも対応しています。
マスクには、チューブの接続などが必要になるため多少加工が必要です。
取替式マスクであればアダプタを取り付けるなどの方法をとります。
定量的フィットテスト実施方法の詳細は別のお話。また別の機会に書きましょう。

 3.3 定性的フィットテストの機材

定性的フィットテストで必要となる機材は、次のものです。
・フード
・試薬(甘味または苦味)
 いき値スクリーニング用と本番用
・噴霧器
・実際に使用するマスク
定性的フィットテストキットは、現在(2023年3月時点)は3Mと興研から発売されています。
・3M
・興研
※上記は2023年3月の時点での情報ですので、更新される可能性があります。
試薬は主に甘味を使用します。被験者が甘味を感じにくい場合は、苦味の試薬を使います。
試薬はいき値スクリーニング用と本番用があり、濃度が異なります。
いき値スクリーニングとは、本番前にマスクなしの状態で、味覚を感じる濃度を測るものです。いき値スクリーニングの結果により、
定性的フィットテスト実施方法の詳細は別のお話。また別の機会に書きましょう。

4 マスクフィットテスト 実施者講習について

安全教育センターでは、マスクフィットテスト実施者向けの講習を行っております。
マスクフィットテスト実施者に必要な知識を学び、実際の機材を用いて定量的、定性的いずれのテストもやっていただきます。
実施者の立場として、また被験者の立場としても体験できるため、非常に実践的な内容となっております。
なお安全教育センターの講習では、日本カノマックスのマスクフィットテスター AccuFIT 9000 と興研のフィットテストキットFIT-Ⅱ型を使用します。

 4.1 カリキュラム

時間 科目 時間
9:00~10:30
学科
フィットテストに関する基礎知識
フィットテスト方法に関する知識
1.5時間
10:30~10:40 休憩
10:40~11:40 実技 フィットテスト準備方法 1時間
11:40~12:40 昼休憩
12:40~16:10
※休憩随時
実技 フィットテスト実施方法 3.5時間

 4.2 講習費用

29,150円(税込)
※テキスト、資料等含む

 4.3 講習スケジュール

実施スケジュールは下記をご参照ください。
実技の時間を十分に取るため、20人程度の少人数で実施しております。
そのため満席になることがありますのでご注意ください。

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