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特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 職務と資格の取り方

特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 職務と資格の取り方

 

排気ダクト

特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者は、危険有害性が高い特定化学物質を取扱う作業場に選任しなければなりません。
特定化学物質の多くは、発がん性があり、少しでも取り扱い方を誤ると重大な健康被害をもたらしてしまうものがほとんどです。
特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者になるには、特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者講習を修了しなければなりません。
今後は化学物質は自律的な管理が求められます。その中では、特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者の役割は大きくなってくるはずです。
2021(令和3)年4月からは、金属アーク溶接作業でも、特定化学物質作業主任者の選任が義務になりました。
今回は、この特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者になるための技能講習について紹介します。

1 特定化学物質・四アルキル鉛を選任する業務

1 作業主任者の役割

安衛法第14条では、法令で定める危険有害業務において作業主任者を選任しなければならないと定められています。
作業主任者は、危険有害作業において、設備や保護具を点検し、作業を直接指示することが職務となります。
作業主任者は、該当作業に関して、免許または作業主任者技能講習の修了が必要となります。
作業主任者は危険有害作業でのリーダー、指揮者の役割です。直接的に命に関わる作業が多いため、その役割は非常に重要です。

2 特定化学物質・四アルキル鉛とは

作業主任者を選任する作業は、安衛令第6条にて定められていますが、その中に特定化学物質、四アルキル鉛の取り扱いが含まれています。
該当する物質を取り扱う時には、業種や規模に関わらず選任しなければなりません。

3 特定化学物質作業主任者を選任する作業場

安衛令第6号第18号に、特定化学物質作業主任者を選任する作業場として次のように書かれています。
労働安全衛生法施行令
第6条
18 別表第三に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く。)
簡単にまとめると、別表3にある特定化学物質を製造、取扱う作業では選任しなければならないということです。
()内は試験研究及び、特別有機溶剤等は除外するということです。
安衛令別表第3はこちらをご覧ください。
なお、同表第二号3の3以下のものは、特別有機溶剤等に該当するものです。これらを取扱う作業場では、「有機溶剤作業主任者」技能講習を修了したものから「特定化学物質作業主任者」を選任しなければなりません。非常にややこしいですね。
また、現在は指定されていなくとも、法改正によって対象物質が増えることがあります。例えば、第二類物質として34の2は「溶接ヒューム」指定は、令和3年4月1日から施行されました。これによって、金属アーク溶接を行う作業場でも、特定化学物質作業主任者の選任が義務づけられました。結果として、従来は特定化学物質と縁が浅かった建設業でも多数の作業主任者講習を受けに来られました。
※令和5年に金属アーク溶接作業主任者は独立した講習として制定される予定です。
金属アーク溶接作業主任者については、別のお話。また別の機会に書きましょう。
特定化学物質障害予防規則第27条には次のように書かれています。
特定化学物質障害予防規則
第27条 
事業者は、令第六条第十八号の作業については、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習(特別有機溶剤業務に係る作業にあつては、有機溶剤作業主任者技能講習)を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。

1.4 四アルキル鉛作業主任者を選任する作業場

安衛令第6号第20号に、四アルキル鉛作業主任者を選任する作業場として次のように書かれています。
労働安全衛生法施行令
第6条
20 別表第五第一号から第六号まで又は第八号に掲げる四アルキル鉛等業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除くものとし、同表第六号に掲げる業務にあつては、ドラム缶その他の容器の積卸しの業務に限る。)に係る作業
安衛令別表第5はこちらをご覧ください。
労働安全衛生法施行令別表第5
四アルキル鉛中毒予防規則には次のように書かれています。
四アルキル鉛中毒予防規則
(四アルキル鉛等作業主任者の選任)第14条
 
事業者は、令第六条第二十号の作業については、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、四アルキル鉛等作業主任者を選任しなければならない。
特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者講習を修了された方は、いずれの業務においても、作業主任者になることができます。

2 特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者の役割

特定化学物質と四アルキル鉛は、別々の省令にまとめられています。作業主任者の職務についても、それぞれの省令にまとめられていますので、内容を確認していきましょう。

1 特定化学物質作業主任者の職務内容

特定化学物質作業主任者の職務については、特定化学物質障害予防規則に次のように定められています。
特定化学物質障害予防規則
(特定化学物質作業主任者の職務)第28条 
事業者は、特定化学物質作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
一 作業に従事する労働者が特定化学物質により汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
二 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
三 保護具の使用状況を監視すること。
四 タンクの内部において特別有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第三十八条の八において準用する有機則第二十六条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
作業主任者は、特定化学物質を扱う作業場に必ずいなければなりません。そして局所排気装置などの設備を点検し、安全に作業ができるように労働者を指揮するとともに保護具の使用状況を監視することが必要になります。
作業場に1人以上選任しなければなりません。
しかし建設業などでは、金属アーク溶接は単独で、場所も移動しながら行うことが多いです。溶接作業者+作業主任者のペアで行動するより、溶接作業者自身が作業主任者になる方が現実的です。そのため、令和3年の法改正以降は、金属アーク溶接作業者が作業主任者講習を受けられています。

2 四アルキル鉛作業主任者の職務内容

四アルキル鉛作業主任者の職務については、四アルキル鉛障害予防規則に次のように定められています。
四アルキル鉛障害予防規則
(四アルキル鉛等作業主任者の職務)第15条 
事業者は、四アルキル鉛等作業主任者に次の事項を行なわせなければならない。
一 作業に従事する労働者が四アルキル鉛により汚染され、又はその蒸気を吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
二 その日の作業を開始する前に、第六条第一項第六号、第七条第二項又は第十一条第一項第二号の換気装置を点検すること。
三 保護具の使用状況を監視すること。
四 第二十条第一項各号のいずれかに掲げる場合において労働者が四アルキル鉛中毒にかかるおそれのあるとき、又は作業に従事する労働者が異常な症状を訴え、若しくは当該労働者について異常な症状を発見した場合において当該労働者が四アルキル鉛中毒にかかつているおそれのあるときは、直ちに労働者を当該作業場所から退避させること。
五 作業に従事する労働者の身体又は衣類が四アルキル鉛によつて汚染されていることを発見したときは、直ちに過マンガン酸カリウム溶液により、又は洗浄用灯油及び石けん等により汚染を除去させること。
なお、四アルキル鉛取り扱い作業では、作業主任者以外の作業者は特別教育を受けなければなりません。

3 特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者技能講習の内容

1 科目

 技能講習の科目は次のように定められています。
 1 作業環境の改善方法に関する知識
 2 保護具に関する知識
 3 健康障害及びその予防措置に関する知識 
 4 関係法令
 学科のみであり、実技はありません。講習の時間は合計12時間です。
 以上の科目をすべて受けていただいてから、修了試験になります。

4 安全教育センターでの化学物質管理者講習

安全教育センターでは、特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者講習を主催と出張講習で行っております。
出張講習とは、お客様の指定の会場に講師を派遣するものです。ただし出張講習は、都道府県労働局長の認可を受けている都道府県に限ります。詳しくは4.2をご覧ください。
いずれの場合も、修了試験合格者には修了証を発行しております。

4.1 受講料

受講料は、お一人あたり次の通りです。
 16,280円(税込み)

4.2 開催エリア

 以下の都道府県にて、主催及び出張講習を実施しております。
 北海道・岩手県・宮城県・福島県・東京都・大阪府・福岡県

4.3実際のカリキュラム例

 標準的なカリキュラム例です。開催場所などにより、開始時間が異なります。
 また学科が前後することもあります。
 1日目
時間
講習科目
講習時間(分)
9:30ー9:40
開講挨拶・予定説明
 
9:40ー10:50
健康障害及びその予防措置に関する知識
70
10:50ー11:00
休 憩
10
11:00ー12:00
健康障害及びその予防措置に関する知識
60
12:00ー13:00
昼 食・休 憩
60
13:00ー14:00
健康障害及びその予防措置に関する知識
60
14:00ー14:10
休 憩
10
14:10ー15:00
健康障害及びその予防措置に関する知識
50
15:00ー15:10
休 憩
10
15:10ー16:10
保護具に関する知識
60
16:10ー16:20
休  憩
10
16:20ー17:20
保護具に関する知識
60
2日目
時間
講習科目
講習時間(分)
9:30ー10:40
作業環境の改善方法に関する知識
70
10:40ー10:50
休 憩
10
10:50ー12:00
作業環境の改善方法に関する知識
70
12:00ー13:00
昼 食・休 憩
60
13:00ー14:00
作業環境の改善方法に関する知識
60
14:00ー14:10
休  憩
10
14:10ー14:50
作業環境の改善方法に関する知識
40
14:50ー15:00
休 憩
10
15:00ー16:00
関係法令
60
16:00ー16:10
休  憩
10
16:10ー17:10
関係法令
60
17:10ー17:20
休  憩
10
17:20ー18:20
(修了試験)
(60)

4.4 修了試験

修了試験は、学科講習修了後にすぐに実施します。修了試験に合格して、初めて修了証を手にして、作業主任者になることができます。
問題数は20問。試験の時間は1時間です。
合格基準は、全体で60%以上の正解、科目ごとに40%以上正解となります。
試験では次のような問題が出ますので、参考にしてください。
同じ問題は出ませんのでご注意ください。
特定化学物質について次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 第1類物質とは、製造する場合に都道府県労働局長の許可が必要な物質である
  2. 第1類物質は第3類物質に比べて、有害性が高い
  3. アンモニアは特定第3類物質に分類される
特定化学物質によるばく露を少なくするための次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 対策としては環境改善よりも、防毒マスク等の保護具の着用を徹底を優先する
  2. 有害化学物質の対策として、囲い込みや局所排気装置の使用は高い効果が期待できる
  3. 粉体原料では、湿潤化も有効な対策となる
特定化学物質の管理に関する次の記述について誤っているものはどれか。

  1. 特定化学物質作業主任者の職務には「保護具の使用状況を監視すること」は含まれない 
  2. 局所排気装置は1年以内ごとに1回の定期自主検査が義務づけられている
  3. 局所排気装置やプッシュプル型換気装置の定期自主検査の記録期間は3年である

試験問題は、毎年更新しています。こちらに紹介したテストは、傾向を見ていただくために、旧テストの問題にアレンジを加え紹介してます。

問題パターンも数種類あり、どのテスト問題になるかはランダムで決定しています。

そのため、講習中はしっかりと聴講してくださいね。

試験では、設問を必ずチェックしてください。
「誤っているもの」を選ぶのか、「正しいもの」を選ぶのか。間違われることも多いです。

ほとんどの方が合格されますが、時々不合格になる受講生もいます。不合格の場合は再試験は設けておりません。再度お申込いただき、全課程を受けていただきます。

4.5 実施スケジュール

今後の主催講習の予定は、次のページをご覧ください。
出張講習については、お問い合わせください。

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