熱中症への対応を強化してください!猛暑を乗り切るために現場でできることのまとめ
梅雨が明けてから、連日猛暑日が続いております。
安全教育センターの所在地である仙台も、今年は例年にない暑さが続いております。
夏は真っ盛り。
熱中症への対策も最大限警戒が必要となります。
今回は、作業場における熱中症対策についてまとめていきます。
1 熱中症とは
1.1 いつもと違う様子に注意
熱中症とは、高温多湿などにより、体温が上昇することで引き起こされる様々な症状のことです。
仕事をしていて、普段の様子と違うと感じたら、熱中症の疑いがあります。
例えば次のような様子があれば、注意が必要です。
- 汗がとまらない。汗をかかない。
- めまいがする。頭がぼんやりする。あくびが頻発する。
- 手や足がつる。筋肉痛になる。
- すぐに疲れる、イライラする
- 会話が成立しない。呼びかけに応じない
などです。周りの人もこのような様子が見られたら、熱中症を疑い、休憩させるなどの対処が必要です。
1.2熱中症の症状とは
症状をまとめると次のようになります。
軽症がⅠ度で、最も重い症状はⅢ度です。軽い症状であっても、一度は診察を受けるようにしてください。
症状が出ている場合は、ためらわず119通報することが必要です。その際には、熱中症の疑いありなどと伝えるようにしてください。
2 熱中症が発生しやすい場所・作業
熱中症が発症しやすい場所や作業は次の通りです。
1.直射日光が当たる場所・照り返しの強い場所での作業
2.風通しの悪い場所での作業
3.重量物を運搬するなど、身体的負荷の大きな作業
4.持ち場を離れられない、休憩が取りにくい作業
建設業では屋外での作業多く、上記の条件に該当する作業も少なくありません。作業中止とまでは難しいと思います。
環境を変えることはできないので、休憩頻度を増やすなどの対策で、熱中症対策をとることがもとめられます。
3.基本的な熱中症対策
3.1 日常生活
熱中症対策で最も重要なことは規則正しい生活を送ることです。具体的には次の点に注意が必要です。
・しっかりと睡眠を取る
・深酒をしない
・三食しっかり食べる
睡眠不足の翌日は熱中症リスクが高まります。もし体調に不安があれば、朝礼などで申告しましょう。
職長などは、体調不良の申告があれば、休憩頻度を増やすなどの対応を考えます。顔色が悪いようであれば、作業させずに帰らせる判断も必要になります。
コロナ禍によりマスクを付けることが習慣になった方も多いと思います。屋外ではマスクを外すなど、感染対策と同等に熱中症への対応も考えて着脱をするようにしてください。
3.2 暑さに慣れる
普段エアコンの効いている部屋にいる人が、突然強い日差しの中で作業などを行うと、体が暑さに慣れていないため熱中症のリスクが高まります。
暑さに慣れることを暑熱順化と言います。暑熱順化すると、人体は汗をかきやすくなり、体内のミネラルの排出を抑制するなどします。
暑熱順化には、ある程度の期間が必要です。期間は1週間から2週間程度かかります。
順化期間は、暑熱環境でフルタイム働くのではなく、毎日少しずつ時間と作業強度を段階的に増していくようにします。そして最終的にフルタイムで働けるようにしていきます。
暑熱順化は、暑熱環境から離れた生活が続くと、元に戻ります。
お盆休みなどの長期休暇では、エアコンのかかった部屋で過ごされることも多くなり、元に戻ります。
お盆休み明けは、1~2日は暑さに慣れるため、様子を見ながら作業するのがよいでしょう
3.3 WBGT値での管理
熱中症の管理の基本は、WBGT値での管理です。
今は天気予報やアプリなどで、熱中症への警戒アラートが出されています。
出勤前などに、熱中症警戒アラートなどを確認しましょう。
とはいうものの、8月はほぼ毎日「危険」アラートが出ているのですけれども。
作業場には、1つ以上WBGT計を備え、常時指数を確認できるようにします。
WBGT計では、熱中症指数により、「警戒」「厳重警戒」「危険」などアラートが出ます。
これらのアラートに応じて、休憩時間や水分・塩分補給のタイミングを決めるとよいでしょう。
3.4 休憩・水分・塩分補給
熱中症指数に応じて、休憩頻度や水分・塩分補給のタイミングを決めます。
「こまめに」と言われることが多いのですが、これでは個人の判断になります。
1時間ごと、30分ごとなど目安となる数字と示すことが重要です。
「危険」となった場合は、30分に1回、5分~10分の休憩と水分200mlと塩飴1個を摂取するなどのはっきりと示すことが重要です。
休憩場所は、エアコンが効いた休憩室などでとるようにします。
屋外作業で、近くに休憩所などを設けることができない場合は、最低限テントなどで日陰を作るようします。
屋外で工事現場入り口などに警備員を配置していることがありますが、ビーチパラソルなどで日陰を設けるなどしてください。
また決まった時間に水分補給をするだけでなく、作業者に水筒を携帯してもらい、いつでも接種できるようにするのもよいでしょう。
水分補給・塩分補給を徹底するため、記録してもらうのも有効です。
3.5 作業時の注意
作業では、次のような点も配慮します。
・ファン付きの作業服など、熱中症対策グッズを使用する。
・単独作業をさける(発症時に発見と対処が遅くなる)
・巡視では、声掛け体調確認も行う
今は熱中症対策のグッズも充実してきています。ファン付きの作業服は多くの方が着用されています。またヘルメットにファンを取り付けるものも出てきています。積極的に取り入れていきましょう。
作業時の様子を、お互いにチェックし合い、もし異変を感じたら声掛けすることも大事です。自身の体調に異変を感じた場合も、早めに伝えることも重要です。そのためには、言い出しやすい雰囲気を作らなければなりません。
4 熱中症が発生したときの対応
熱中症を発症したら、それが疑いであっても、いち早く対処することが重要です。
熱中症を発症した場合、直ちに涼しい場所などに避難して、休憩します。
もし意識がない、言動が通常とは異なるなど症状が見られたら、119通報をして、救急車を要請してください。
避難後は、衣服を緩め、体を冷却します。首や脇の下、足の付け根などを冷やすことも有効ですが、場合によっては体に水をかけることも推奨されています。
救急車を要請し、待っている間も衣服を緩め、体の冷却は行ってください。
水分補給は、意識がある場合のみ行います。意識がない人に無理やり飲ませてはいけません。
熱中症発症に備え、作業場には熱中症対策キットを1つ以上備えておきましょう。
中には経口補水液などもありますが、期限に注意してください。
厚生労働省も職場の熱中症対策を呼びかけておりますので、参考にしてください。
また熱中症の教育について、安全教育センターでは講師を派遣しての出張講習を行っております。
詳しくは、こちらの「特別教育/安全衛生教育」の項目からお問い合わせください。