厚生労働省労働局長登録教習機関
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職長安全衛生責任者教育は、現場の安全を確保して適切に作業を進められるように行う現場教育の1つで、下請事業者が関わる現場などで必須となる教育です。
しかし、職長安全衛生責任者教育とは言っても何を行うべきかわからない方もいるのではないでしょうか?
そこで、この記事では職長・安全衛生責任者教育の重要性について、職長教育と安全衛生責任者教育の基本概要や違い、講習内容や受講方法、注意点について解説します。
職長安全衛生責任者教育について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
職長・安全衛生責任者教育は、労働安全衛生法上の観点から重要と言えます。
平成12年3月28日付け基発第179号により、建設業などの協力会社は職長とともに安全衛生責任者も選任することが義務づけられました。そのため、建設業や造船業では職長・安全衛生責任者を併せた教育を行うのが一般的です。特に労働安全衛生法では、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成することを目的としています(安衛法第60条)。
つまり、現場の労働者が安全かつ健康に働けるだけでなく、快適に働ける職場を作ることを目的としている法律と言えるでしょう。
なお、労働安全衛生法の手段としては「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」や「責任体制の明確化」「自主的活動の促進の措置」などが挙げられ、計画的かつ包括的に安全衛生対策を推進することを目的としています。
職長・安全衛生責任者教育も、労働安全衛生法の一環ということです。
では、職長教育と安全衛生責任者教育は具体的にどのような内容を指すのでしょうか。ここからは、職長教育と安全衛生責任者教育の基本概要について解説します。
職長教育とは、労働者を管理する職長に対する教育を指します。
職長は労働者の安全確保や人材育成など多岐にわたる管理を行うのが仕事であるため、幅広い職務の技術や知識が必要です。また、作業の計画や説明、労働災害の防止に関するスキルをさまざまな仕事が必要となるでしょう。
職長教育は、そうした職長としてのコミュニケーション能力やリーダーシップ能力を身につけるのが目的となります。
安全衛生責任者教育とは、現場を管理する安全衛生責任者に対する教育を指します。
安全衛生責任者は統括安全衛生責任者や他事業者(協力会社)からの連絡や調整を行うのが仕事であり、建設業や造船業などの業界で必要とされる仕事です。
安全衛生責任者教育は、そうした安全衛生責任者としての連絡調整の必要性を理解し、安全施工サイクルにおける役割の理解を身につけるのが目的となります。
では、職長教育と安全衛生責任者教育にはどのような違いがあるのでしょうか。ここからは、職長教育と安全衛生責任者教育の違いについて解説します。
職長教育と安全衛生責任者教育は、受講対象者が違います。
職長教育では「新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導または監督する者に行うこと」と定められており、班長や工長なども対象です。
一方、安全衛生責任者教育は混在作業現場で一定の条件に該当する場合に必要となると定められており、建設業や造船業で下人(協力会社)の立場となる方が対象です。
どちらも似た講習内容ではあるものの、違いもあるので注意しましょう。
職長教育と安全衛生責任者教育は、対象となる業種も違います。
職長教育は現場を管理する方がいる業界全般が対象となるものの、安全衛生責任者教育は建設業や造船業が対象(例外あり)となります。
なお、2023年4月1日の法改正により食料品製造業や新聞業、出版業、製本業および印刷物加工業も職長教育の対象となったため、該当の業界に所属している方は注意が必要です。
職長教育と安全衛生責任者教育は、講習時間が違います。
職長教育が合計12時間必要なのに対して、安全衛生責任者教育は合計14時間必要です。
どちらも学科講習で実技はないという共通点がありますが、講義内に演習が設けられていることもあるため、実際の現場に照らし合わせて受講することが求められるでしょう。
職長教育と安全衛生責任者教育は、講習内容も違います。
全体的な講習内容は同じであるものの、職長教育では「安全衛生責任者の職務等」「統括安全衛生管理の進め方」が必要ないのに対して安全衛生責任者では必須です。
ここでは、前述した職長教育と安全衛生責任者教育の講習内容について、より詳しく解説します。
職長教育の受講内容は労働安全衛生法(安衛法第60条)によって規定されており、次のような講習内容が設定されています。
・作業手順の定め方
・労働者の適正な配置の方法
→2時間
・指導及び教育の方法
・作業中における監督および指示の方法
→2.5時間
・危険性又は有害性等の調査の方法
・その結果に基づき講ずる措置
・設備、作業等の具体的な改善の方法
→4時間
・異常時における措置
・災害発生時における措置
→1.5時間
・作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法
・労働災害防止についての関心の保持および労働者の創意工夫を引き出す方法
→2時間
講習時間は合計12時間と定められており、2日かけて受講するのが一般的です。
安全衛生責任者の受講内容も職長教育と同様に厳密に規定されており、次のような講習内容が設定されています。
・作業手順の定め方
・労働者の適正な配置の方法
→2時間
・指導及び教育の方法
・作業中における監督および指示の方法
→2.5時間
・危険性又は有害性等の調査の方法
・その結果に基づき講ずる措置
・設備、作業等の具体的な改善の方法
→4時間
・異常時における措置
・災害発生時における措置
→1.5時間
・作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法
・労働災害防止についての関心の保持および労働者の創意工夫を引き出す方法
→2時間
・安全衛生責任者の職務等
→1時間
・統括安全衛生管理の進め方
→1時間
講習内容は職長教育とほぼ同じですが、安全衛生責任者教育の場合は「安全衛生責任者教育の職務等」と「統括安全衛星管理の進め方」を追加で1時間ずつ受講しなければいけません。 講習時間も合計14時間と2時間分の追加が発生するため、注意が必要です。
ここからは、職長・安全衛生責任者教育の受講方法について解説します。
職長・安全衛生責任者教育は、全国の各都道府県で開催されている受講会場で受けられます。
受講会場での受講は、適度な緊張感により集中して受講に挑める点やわからない部分をその場で質問して解消できる点がメリットです。対して、平日に数時間の時間を確保しなければならない点や交通費がかかる点がデメリットです。
職長・安全衛生責任者教育は、講師を招待する出張講習会を開催して受講することも可能です。
出張講習会での受講は、大企業や大人数であっても受講できる点や移動時間を短縮できる点がメリットとなります。対して、講師に依頼するのにコストがかかる点やスケジュールが合わない可能性がある点がデメリットとなります。
職長・安全衛生責任者教育は、動画を使用してWeb講義を受講することも可能と言えるでしょう。
WEB講義での受講は、個人のパソコン・タブレット・スマホから参加が可能な点や会議室など広いスペースにも対応できる点、場所や時間に制限されずに受講できる点がメリットです。一方で、遠隔による受講で集中力が削がれ学習効果が薄くなる可能性がある点はデメリットとなります。
最後に、再教育と受講における注意点について解説します。
職長・安全衛生責任者教育は、5年ごとの再教育が求められます。一度講習を受けて終了ではなく、5年経過するごとに再教育を受けなくてはならないため、注意が必要です。
ただし、職場の管理者はもちろん労働者も数年で入れ替わる可能性があるため、再教育はむしろ効果的と言えるでしょう。現場の安全対策も常に進化しているからこそ、定期的な技術・知識のアップデートが必要と認識しましょう。
Web講義は要件を満たしていない場合は受講不可となる場合があるため、注意が必要です。主な要件については、以下にて厚生労働省労働基準局安全衛生部の通達を要約して紹介します。
①eラーニング等の教育内容が、各特別教育規程に定める範囲を満たしていない又はeラーニング等の教材の閲覧・視聴等による教育時間が、各特別教育規程に定める時間未満であるもの
②特別教育のうちの学科教育のために使用されている映像教材又はウェブサイト動画等に出演する講師並びに当該映像教材又はウェブサイト動画等を作成する者及び監修する者が、いずれも十分な知識又は経験を有することが確認できないもの
③特別教育のうちの学科教育のために使用されている映像教材又はウェブサイト動画等について、実際の視聴・閲覧時間を受講者自身が操作できる場合、特別教育としてeラーニング等を提供する者(以下「教育事業者」という。)又は事業者が監視者を配置していないために、当該映像教材又はウェブサイト動画等の視聴・閲覧中に受講者が自由に離席できる場合等、各特別教育規程に定める教育時間以上当該学科教育が行われたことが担保できないもの
④特別教育のうちの実技教育としての教育について、講師と同一場所で対面により実施していないもの
以上4つの要件のうち1つでも該当すれば、Web講座を提供したことになりません。簡単に説明すると「YouTubeやTikTokなど動画プラットフォームによる教育はWeb講座として認められない」ため、十分に注意しましょう。
職長・安全衛生責任者教育は、現場の安全を守るために必要なものです。管理者はもちろん労働者が健康でいて、安心して働ける現場を守っていくために必要な教育となります。
しかし、いざ自社で教育しようと思ってもなかなかうまく教育できない可能性も否めません。
その場合、安全教育センターの職長・安全衛生責任者教育をご利用ください。安全教育センターでは働く人の安全を守るための教育にフォーカスした事業を展開しており、職長・安全衛生責任者教育の実施も可能となっています。詳しくは安全教育センターにお問い合わせいただけますと幸いです。
5名からの受講で出張講習も行っておりますので、詳しくはこちらのページからご覧ください。