厚生労働省労働局長登録教習機関
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雇入れ時教育は、新しい人材を採用した際に行う安全衛生教育のことで、事業者は労働者を雇入れる際に教育を実施しなければなりません。
しかし、どのような教育を行えば良いのかわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では雇入れ時教育の目的と法的義務について解説します。安全衛生教育の重要性や背景、内容や対象者、実施方法について詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
雇入れ時安全衛生教育とは、新たな従業員が企業(事業者)に雇用される際に受ける安全衛生に関する教育のことです。この教育は労働安全衛生法第59条で定められており、業種を問わず実施しなければなりません。
労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
教育は、機械や原材料の取り扱い方法、安全装置の使用方法、作業手順、作業開始前の点検、疾病の予防、清潔の保持、応急措置や退避方法など、さまざまな内容を網羅しています。
特定の業種では、一部の項目を省略することも可能ですが、基本的な安全衛生教育は全ての従業員に必要です。対象者は事務職、派遣社員、外国人労働者を含め、全ての従業員です。
雇入れ時安全衛生教育は、各事業所での実施や外部委託、オンラインでの受講など、さまざまな方法で行われます。厚生労働省のテキストや資料を活用したり、外部の安全教育センターに委託することも一般的です。新入社員の安全教育に関しては、専門家に任せることでより効果的かつ適切な教育が提供されます。
ここからは、雇入れ時安全衛生教育の重要性について解説します。
雇入れ時の安全衛生教育は、労働安全衛生法に基づき義務付けられています。これは、従業員が業務を遂行する際に安全に作業を行うための基礎知識や技能を身につけるための重要な取り組みです。労働災害の予防という社会的責任を果たすためにも、事業者は従業員に対し適切な安全衛生教育を提供することが求められています。
雇用される従業員が業務を始める前に、事業者は労働安全衛生規則第35条のカリキュラムに則って必要な教育を実施することが必要です。
これにより、今後従事する作業について基本的な理解を深めるとともに、作業中の事故や健康被害のリスクを最小限に抑えることが期待されます。従業員が安心して業務に取り組める環境を整備するために、雇入れ時の安全衛生教育は重要な義務と言えるでしょう。
労働災害の発生は事業者や従業員にとって深刻な問題です。事故や健康被害は人命に関わるだけでなく、事業者の業績や信頼にも影響を及ぼします。
そのため、適切な安全衛生教育が必要と言えるでしょう。雇入れ時の教育は、従業員が業務を安全かつ健康的に行うための基礎を築く重要なステップです。労働者がリスクや危険を正しく認識し、それに対処するための知識や技能を習得することで、労働災害のリスクを最小限に抑えられます。そのため、雇入れ時安全衛生教育は、労働者の安全と健康を守るために必要不可欠な取り組みといえるのではないでしょうか。
ここからは、労働安全衛生規則第35条で定められている雇入れ時安全衛生教育の内容について解説します。
機械や原材料などの危険性や有害性に関する知識を提供し、労働者が機械を正しく取り扱い、原材料の適切な使用方法を理解することを目的としています。例えば、機械の動作原理や操作方法、危険な部位の識別、および安全な取扱い方法などです。
労働者が作業中に発生する可能性のある危険から身を守るための措置についての項目です。例えば、機械の操作中における安全装置の活用や、化学物質などの有害物質を取り扱う際の適切な保護具の装着方法などが含まれます。
従業員がこれらの安全装置や保護具を正しく理解し、適切に使用することで、労働災害のリスクを軽減し、安全な作業環境を確保できるでしょう。
作業においては手順の遵守が重要です。これには、作業の実施前に必要な手順や安全な作業方法の理解が含まれます。具体的には、作業に関する手順書やマニュアルの確認、必要な工具や装置の準備、および作業中の注意事項などです。
従業員が正しい手順に従って作業を行うことで、労働災害のリスクを低減し、安全な作業環境を確保することができます。また、効率的な作業プロセスを確立し、生産性の向上にも繋がります。
労働安全衛生法では、作業開始時に機械や設備の点検を義務付けています。これにより、機械の異常や不良部品を早期に発見し修理することが可能となる他、労働者が作業環境を理解し、危険を回避するための機会となります。
作業開始前の点検は効果的な安全対策の一環であり、法的にも必要な措置です。従業員には、適切な点検手順の習得と実践が求められます。
特定の業務には、特有の健康リスクが存在します。雇入れ時の安全衛生教育では、従業員がその業務に関連する疾病の原因と予防方法を理解することが重要です。
例えば、化学物質による業務上疾病、腰痛どが挙げられます。予防策には、適切な作業環境の整備や適切な作業手順の実施、個人保護具の着用などが含まれます。業務上疾病にはガンなど重篤になるものや、発症すると完治しないものなどもあります。リスクについての理解は予防する上で欠かせません。
整理・整頓及び清潔の保持に関することは、職場での安全衛生に欠かせません。
作業場所や共有スペースの整理整頓は、事故や怪我のリスクを軽減するだけでなく、効率的な業務遂行にも貢献します。定期的な清掃とメンテナンスを行い、作業環境を清潔かつ安全に保つことが重要です。また、物品や機器の適切な保管方法を労働者に指導し、安全性を確保することも重要です。整理整頓は生産性向上にも繋がり、労働者の健康と安全を確保するために欠かせない要素と言えるでしょう。
事故時等における応急措置及び退避に関する内容とは、万が一の事故や災害が発生した場合、速やかに的確な応急処置を行い、その後、安全な場所への退避などについてです。
労働者には緊急時の行動計画や避難経路などを十分に理解させることが重要となります。また、定期的な避難訓練や応急処置の練習を通じて、実践力を向上させることも大切です。これらの対策は、事故や災害の発生を最小限に抑え、労働者従業員の安全を確保するために欠かせません。
前各号に掲げる内容に加えて、当該業務における安全性や衛生状態を向上させるために、以下の事項が重要です。
まず、適切な労働環境を確保するために、定期的な施設点検や設備の保守管理が必要です。さらに、労働者への継続的な安全意識の啓発も効果的と言えます。また、作業場のレイアウトや設計の見直し、必要に応じた安全機器の導入、適切な労働者の配置や業務の見直しなど、業務に関するさまざまな側面からの安全対策が必要です。
これらの取り組みによって、労働者の安全と健康を確保し、業務の効率性と生産性を向上させられるでしょう。
1号から4号までの内容、主に非工業系、例えば事務業務を中心とする特定の業種において、省略することが認められていました。
これらの業種では、直接的な機械や原材料の取り扱いが少ないことなどが理由があります。
しかしながら令和6年4月1日からは、この省略規定が撤廃されました。そのため、全ての業種において1号~4号の教育も含めた教育が必要となります。
この改正は、主に化学物質管理に関する法令改正に関連してのものです。危険性・有害性のある化学物質を製造し、または取り扱う全ての事業場で、化学物質の安全衛生に関する必要な教育を行うこと義務づけられます。今まで雇入れ時教育を行ってきていなかった業種においても、必要な教育を行わなければなりません。
ここからは、雇入れ時安全衛生教育の対象者について解説します。
事業者が労働者を雇い入れた時は、必ず雇入れ時教育を行います。これは工場での作業、建設現場での作業、運送作業など危険生・有害性の高い業務に従事する人だけではありません。事務職なども対象となります。事務職などは一見すると危険がないように感じるかもしれませんが、長時間のデスクワークで腰痛などを招くこともあります。そのため従事する業務内容に関わらず、安全衛生の教育は必要になります。
派遣社員の雇入れ時の安全衛生教育は、派遣社員がさまざまな業界や職場で働くことを考慮して実施しなければなりません。派遣社員は常に異なる作業環境に適応する必要があり、現場によって業務内容や危険性が異なる場合もあります。そのため、派遣社員は機械や化学物質の取り扱い、安全装置の使用方法、業務手順、および事故時の対応方法などに関する教育を受けることが重要です。これにより、派遣社員は新しい職場で迅速かつ安全に業務を行うことができ、労働災害のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
外国人労働者に対しては、日本の労働環境や法律に不慣れであるがゆえに重要です。この教育では、日本の労働安全衛生規則や業務に関する具体的な安全対策について教育されます。また、言語や文化の壁を乗り越えるため、翻訳された教材や通訳者を活用することも重要です。外国人労働者にとって、日本の労働環境に適応するための安全衛生教育は、彼らの安全を確保し、労働災害を予防するために欠かせません。
ここからは、雇入れ時安全衛生教育の実施方法について解説します。
基本的には、新入社員が入った時に各事業者で実施しています。講師は社内の安全衛生担当者などが務めます。
自社の業務内容や労働環境に合わせた教育が可能となり、従業員の理解と意識の向上に繋がります。また、労働者従業員は自社の文化や方針についても学ぶことができ、より一層効果的な安全衛生意識を醸成することが可能です。
外部委託を利用する方法もあります。多くの専門機関や教育機関では、出張講座などの形で雇入れ時の安全衛生教育を提供しており、外部の専門家による教育のため、安全衛生について深い知識を学ぶことができます。また演習などを通じて外部委託を活用することで、効率的に従業員が適切な安全衛生意識を身につけられるため、労働災害を未然に防ぐことにも繋がるでしょう。
オンライン受講は、柔軟性があり効率的な雇入れ時安全衛生教育の方法です。
学習者は自宅やオフィスからアクセスでき、自分のペースで学習できます。一方で、学習者の主体性が必要となります。学習効果の測定も、事業者が行う必要があります。
安全教育センターは専門知識と豊富な経験を持ったトレーナーがおり、効果的な教育を提供しています。当社では厚生労働省のガイドラインに基づいてプログラムを設計し、新入社員が必要な知識とスキルを習得できるようサポートしているのが特徴です。
雇入れ時安全衛生教育は主催講習でも実施しております。詳しくはこちらのページの安全衛生教育からご覧ください。もし新規採用者の教育のことでお悩みであれば、ぜひ当社にご相談ください。当社では5名からの受講で出張講習も行っておりますので、詳しくはこちらのページからご覧ください。