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石綿取り扱い作業従業者特別教育とは | 教育内容や技能講習との違いについて解説

石綿取り扱い作業従業者特別教育は、石綿を取り扱う作業員が受けなければならない教育です。

しかし、石綿取り扱い作業従業者特別教育がどのようなものなのかわからない方もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では石綿取り扱い作業従業者特別教育とはどのようなものなのか解説します。

併せて、講習の内容や受講できる場所、石綿の健康影響についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

 

石綿取り扱い作業従業者特別教育とは?

石綿取り扱い作業従業者特別教育は、建築物や構造物の解体や改修に伴い石綿除去の作業に従事する労働者が安全に作業を行うための必須の教育です。石綿取り扱い作業従業者特別教育は石綿の有害性への理解から始まり、石綿が使用されている状況の確認や、作業前の準備、粉じんの発散を抑制するなど作業時の留意事項、適切な保護具の使用方法まで幅広く学ぶのが目的となっています。

これにより、肺がんや中皮腫などの健康被害を防止するための知識と技術を習得できるできます。石綿の健康影響は極めて深刻であり、適切な対策を講じなければ、重大な健康被害が発生する可能性があるため、正しい知識と技術の習得が欠かせません。ゆえに、建設現場などではあらかじめ労働者に教育を行っておくことが必要と言えるでしょう。

 

特別教育と技能講習の違い

石綿取り扱い作業従業者特別教育は、労働者が石綿を取り扱う際の安全な方法について学ぶものです。これに対し、作業主任者技能講習は、石綿取り扱い作業全体の監督や管理に関する技能を身に付けるものとなっています。

特別教育では、具体的な作業方法や保護具の使い方に焦点が当てられますが、技能講習は事前の届け出や作業時の管理項目管理職向けの内容となります。石綿作業主任者技能講習は、特別教育の上位資格となるため、技能講習を修了した方は特別教育を受ける必要はありません。実際に石綿除去作業を行う人が受ける教育です。建設業においては、現場管理をする上では作業方法の知識も必要です。そのため、現場の状況に応じて労働者だけでなく管理職の方も講習を受ける必要があると言えるでしょう。

 

石綿取扱い特別教育の内容

ここからは、石綿取り扱い特別教育の内容について解説します。

 

石綿等の有害性(0.5時間)

石綿は、呼吸器系や肺に深刻な被害をもたらす有害物質です。実際に肺線維症(じん肺)、肺がん、悪性中皮腫などの疾患を引き起こす可能性があります。

特に建設業の現場では、石綿による健康被害のリスクが高まります。労働者が石綿を取り扱う際には、この有害性を理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。その危険性を理解してもらうのが、石綿取り扱い作業従業者特別教育の目的の一つと言えるでしょう。

 

石綿等の使用状況(1.0時間)

石綿等の使用状況に関する特別教育では、労働者に石綿が使用される状況を理解させるのが目的です。

建設現場では、古い建物や配管などで石綿が使用されることがあります。そのため、石綿の存在や取り扱い方を把握し、必要な対策を講じることが重要です。特別教育では、それら具体的な作業現場での石綿の使用例やその危険性について学びます。

これにより、労働者は作業中に石綿が使われている箇所への注意を払うことができ、適切な準備を行うことが出来るため、より現場の安全性が保たれるわけです。

 

石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置(1.0時間)

石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置は、労働者の健康を保護するための重要な項目です。建設現場では、石綿が取り扱われる際に粉じんが発生するため、特別教育では粉じんの発散を最小限に抑える方法を学びます。

具体的な措置としては、湿潤化や粉じん吸引装置の使用などが挙げられます。2024年の法改正では、石綿等の切断等の作業において、除じん性能を有する電動工具の使用についての規定が追加されました。これらの措置を実施することで、労働者の石綿による被曝を最小限に抑えることが可能です。

 

保護具の使用方法(1.0時間)

保護具の使用方法を熟知することは、労働者が石綿を扱う際に欠かせないものと言えるでしょう。

特別教育では、適切な保護具の選定や着用方法、取り扱い方について詳しく学びます。例えば、防じんマスクなどの呼吸用保護具、作業服などの保護具が必要です。これらを適切に選定し、正しく使用することで、労働者の呼吸器系への石綿の侵入を防ぎ、健康被害を最小限に抑えられます。

労働者が安全に作業を行うためには、保護具の使用方法を正確に理解することも欠かせません。

 

その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項(1.0時間)

石綿取り扱い作業従業者特別教育では、石綿等のばく露を防止するために以下のような事項が重要です。

 

1.定期的な健康診断の実施:
労働者の健康状態を把握し、石綿による健康被害の早期発見を促します。

2.石綿のばく露を最小限に抑える努力

3.労働者への定期的な教育と訓練を通じて、石綿取り扱いに関する最新の情報や安全対策を提供し、意識を高めること

 

これらの対策を総合的に行うことで、石綿による健康被害を防止することが可能となります。

 

【補足】石綿の健康影響

石綿は極めて有害な物質であり、適切な対策を講じないと深刻な健康被害を引き起こす可能性があるため、正しい知識と技術が必要不可欠です。ここからは、補足として、石綿の健康影響について解説します。

 

肺線維症(じん肺)

肺線維症(じん肺)は、石綿を吸入した際に発生する重篤な健康問題の一つです。石綿の微小な繊維が肺胞に入り込み、炎症を引き起こすことで、肺組織が硬くなります。この状態が長期間続くと、呼吸困難、慢性的な咳、胸痛などの症状が現れます。肺線維症は進行性の疾患であり、肺機能が徐々に低下する可能性があるため、早期発見と適切な管理が肝要です。

 

肺がん

肺がんは、石綿暴露と深く関連した深刻な健康問題です。石綿が肺に長期間蓄積すると、正常な細胞のDNAを損傷し、がん細胞の成長を促進する可能性があります。そのため、石綿を扱う労働者は、肺がんのリスクが高まる可能性があります。喫煙との相乗効果も指摘されており、石綿曝露者が喫煙者である場合、肺がんのリスクがさらに増加するため、注意が必要です。

 

悪性中皮腫

悪性中皮腫は、石綿に曝露された人々の間で特に顕著な健康影響をもたらす可能性があるがんの一種です。石綿が体内に取り込まれると、その繊維が胸膜に付着し、慢性的な炎症や組織の損傷を引き起こします。結果として悪性中皮腫が発症するリスクが高まります。一度発症すると治療が難しいのが実情です。

 

石綿取り扱い作業従業者特別教育の講習は安全教育センターにお任せください

石綿取り扱い作業従業者特別教育の講習は、石綿の取り扱いに関する専門知識と安全対策を効果的に伝えるのが目的です。この講習では、石綿の有害性や使用方法、粉じんの発散を抑制するための措置など、具体的な内容が提供されます。

石綿取り扱い作業従業者特別教育の講習は、労働者の健康を守るために極めて重要です。石綿は肺線維症、肺がん、悪性中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こす可能性があるため、石綿の取り扱いについては深く知っておくことが重要となります。

なお、安全教育センターでは、出張講習という形で企業に講師を派遣して教育を実施しています。またオンラインでの講習にも対応しております。全国どこへでも講師を派遣しますので、まずは気軽にお問い合わせください。