厚生労働省労働局長登録教習機関
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林業は、非常に労働災害がい多い業種です。年千人率では、他の業種と比較しても高くなっています。(建設業と比較すると約4倍)。このように労働災害の多い林業ですが、仕事では激突され、切れ・こすれ、飛来・落下、転倒、墜落・転落など予想だにしない危険が伴うため十分に注意が必要です。
しかし、危険予知(KY)活動をあらかじめ実施しておけば、防ぐことができる危険もあります。
そこで、この記事では林業における危険予知(KY)活動のポイントについて詳しく解説します。林業を営んでいる事業者の方、林業に勤めている労働者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」によると、2023年の林業で発生した死傷災害は1,140件で、事故の型別では「激突され」「切れ・こすれ」「飛来・落下」「転倒」「墜落・転落」の順に多く発生していると発表されています。
件数自体は、他の業種に比べると少ないのですが、就業人数に対しての被災者数は非常に高くなっています。
ここでは、林業における労働災害発生状況について見ていきましょう。
「激突され」とは、樹木などの物体に激しく突き当たることを意味します。
同僚が伐倒した立木に激突し、倒木による労働災害が定期的に発生しており、命を落とすことも珍しくありません。伐採した樹木に激突したり、倒木の下敷きになったりと「激突され」による労働災害は毎年のように発生しているため、十分注意が必要となるでしょう。
厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」のデータによると「激突され」による労働災害は林業の中で最多とされ、全数に占める割合は死亡者数で41.4%、死傷者数で21.2%に達しています。数年前と比べて「激突され」による労働災害は減少傾向にありますが、未だに増減を繰り返しているため、事業者・労働者ともに注意が必要です。
林業では令和5年の労働災害では「激突され」による死亡者は12件、死傷者は242件であるため、決して油断できない災害と言えるでしょう。
切れ・こすれとは、チェーンソーや樹木の破片や本体によって皮膚が切れる・こすれることを意味します。
伐採した樹木の枝・皮・幹に接触し、負傷する労働災害が定期的に発生しており、復帰まで時間がかかることも珍しくありません。皮膚が切れたり、こすれたりと「切れ・こすれ」による労働災害も毎年のように発生しているため、十分注意が必要となるでしょう。
「令和5年労働災害発生状況の分析等」のデータによると「切れ・こすれ」による労働災害は林業の中で二番目に多く、年間で200件近く発生しています。ここ数年で増加した年も見られるため、事業者・労働者が改めて気を付けることが重要です。
林業では令和5年の労働災害では「切れ・こすれ」による死亡者は9件、死傷者は198件であるため、常に注意が必要な労働災害と言えるでしょう。
飛来・落下とは、樹木の破片や本体そのものが飛んできたり、落ちてきたりすることを意味します。
伐採した樹木の枝・皮・幹が崩落し、負傷する労働災害も発生しています。小さな怪我で済む場合もありますが、大きな怪我につながる可能性があるため、十分注意が必要となるでしょう。
「令和5年労働災害発生状況の分析等」のデータによると「飛来・落下」によるよる労働災害は林業の中で三番目に多く、年間で150件近く発生しています。ここ数年で増加した年も見られるため、事業者・労働者を含めた周知が大切です。
林業では令和5年の労働災害では「飛来・落下」による死亡者は2件、死傷者は164件であるため、日々の対策が必要となるでしょう。
転倒とは、樹木に躓いて転ぶことを意味します。
山の斜面で足をすべらせることや、伐採した樹木に足を取られて転倒し、負傷する労働災害も少なくありません。大きなけがにつながる場合があるため、十分に注意しなければなりません。
「令和5年労働災害発生状況の分析等」のデータによると「転倒」による労働災害は林業の中で四番目に多く、年間で150件近く発生しています。ここ数年で増加した年も見られるため、ちょっとした危険でも警戒が欠かせません。
林業では令和5年の労働災害では「転倒」による死亡者は2件、死傷者は146件であるため、足元に注意しつつ作業が必要となるでしょう。
墜落・転落とは、樹木から落ちることを意味します。
樹木に乗る形で枝落としなどを行うのですが、その際にバランスを崩して落ちる人がいます。墜落・転落は死傷件数は他の労働災害と比べて少ないものの、死亡件数は多いです。そのため、落ちないようフルハーネス型安全帯などの保護具を装着するなど、労働災害防止策による予防が必要となるでしょう。
「令和5年労働災害発生状況の分析等」のデータでは死傷災害の発生件数は140件と他の労働災害より少ないですが、死亡災害は9件発生しています。
では、具体的にどのような労働災害が発生しているのでしょうか。ここでは、実際に発生した林業の事故事例について見ていきましょう。
まず紹介するのは、伐採中に根腐れ立木が倒れ被災者に直撃した例です。該当の事故では、根腐れしていた立木に気づかず、被害者が激突した事例となっています。
伐倒時だけでなく根腐れ立木による「激突され」の労働災害が発生しているため、伐採前に確認が必要かもしれません。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
次に紹介するのは、枝払い作業中にチェーンソーで大腿部を負傷した例です。該当の事故では、枝払いをしている最中にチェーンソーのコントロールができなくなり、被害者が負傷した事例となっています。
枝払いなど実際の倒木とは別の場所で労働災害が発生する可能性もあるため、作業には十分に注意が必要となるでしょう。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
最後に紹介するのは、かかり木を外そうとして下敷きになった例です。該当の事故では、かかり木を移動させたところ制御不能となり、被災者が下敷きになった事例となっています。
ちょっとした判断ミスが労働災害につながる可能性があるため、常に周囲を確認ながらの作業が必要となるのではないでしょうか。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
各作業を行う際に特有の危険を予測し、予防対策を立てることが重要です。ここでは、林業特有の危険予知ポイントについて詳しく解説します。
間伐時は「飛んできたり落ちてきたりしたものに当たりそうになった」というケースが多いため、作業安全の確認を徹底するのがポイントです。
間伐する作業場所を考えて危険を考えましょう。作業環境や、作業方法を考え危険を考えましょう。飛んできたり、落ちてきて怪我するものがないかなどを危険を考えましょう。
下刈り時は「転びそうになった」というケースが多いため、作業姿勢の是正を徹底するのがポイントです。
下刈りをする作業環境は平坦だけではありません。雨天後などであれば、地面が濡れて滑りやすくなります。刈払機を使用するため、転倒して手足を切断するおそれもあります。足元の中だけではなく、刈払機による危険も考えなければまりません。
伐採作業中だけでなく集材や運搬の際にも労働災害が発生しやすいです。実際に集材や運搬の際に「挟まれそうになったり巻き込まれそうになったりした」というパターンが珍しくないため、作業安全の確認はもちろん無理な作業や使用する機械の操作にも注意が必要となります。
山道は決して広い道ではありません。そのためトラックが斜面を落ちることとも想定しなければなりません。
毎年のように労働災害が発生しており、令和5年2023年の林業で発生した死傷災害だけで1,140件となっています。事故の型別では「激突され」「切れ・こすれ」「飛来・落下」「転倒」「墜落・転落」の順に多く発生していると発表されています。
作業前のKY活動は、今から行う作業の危険を考え、その対策を考えることです。事前に危険を考えることで、予想される危険を未然に防ぐのです。可能な限り多くのパターンを考えることが重要です。この記事で紹介した、事故の型について危険を考えてみてください。できれば過去の災害事例も参考にしてください。実際のところ、発生している労働災害は、同じようなパターンで発生しています。KYはパターンを学ぶ機会になるのです。
しかし、実際にはどのように危険予知を行えば良いのかわからない場合もあるかもしれません。その場合は、安全教育センターにご相談ください。当社では現場の安全教育を行っているため、事業者・労働者ともに安全教育を周知したい場合はぜひお問い合わせください。